エンゲージメントスコアを測って終わり――。そんなサーベイの使い方が変わり始めた。従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウドサービスに対し、企業が新たに求め始めたものとは。その背景に何があるのか。
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矢野経済研究所は2026年8月17日、従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場についての調査結果を発表した。2025年の市場規模を事業者売上高ベースで前年比119.7%の133億2000万円と推計した。
拡大の背景の一つに、同社は人材確保への危機感の高まりを挙げる。この1〜2年で採用難や人手不足への危機感が一気に高まった。とりわけ人口減少が顕著な地方企業では採用難の課題が深刻で、人材確保のハードルは高まる傾向にある。従業員数が大企業に比べて少ない中堅企業では、従業員1人の退職が事業に与える影響も大きくなりやすく、人材流出への危機感も強まっている。
多くの企業では従業員エンゲージメントサーベイの導入から数年が経過し、導入後の効果を測るタイミングを迎えてもいるという。こうした中、従業員エンゲージメント診断へのニーズは「計測すること」から移り変わりつつあり、その動きは2025年に一段と進んだと同社はみる。今、企業はサーベイに何を求め始めているのか。
矢野経済研究所によると、企業のニーズはエンゲージメントスコアを「計測する」ことから「計測結果を基に改善する」ことに移行しつつある。従来はエンゲージメントスコアを計測するサーベイクラウドサービスのみを契約していた企業が、計測結果に基づく従業員エンゲージメント向上のための支援機能を備えたパッケージプランに切り替える動きが増加しており、これが市場拡大をけん引している。
地方企業を中心に従業員エンゲージメントサーベイの新規導入が進展していることも、市場規模の拡大に寄与している。従業員のエンゲージメントを改善したいというニーズの高まりを背景に、伴走支援やコンサルティングサービスを併せて導入する企業も増加傾向にある、と矢野経済研究所は指摘する。
計測から改善への動きは、人的資本の情報開示を巡る制度変更も重なって一層進むと同社は予測する。2026年2月に「企業内容等の開示に関する内閣府令」(注1)などが改正され、人的資本の情報開示方針が変更された。前述のように、企業にとってエンゲージメントスコアは経営戦略や人材戦略の成果を測り、改善し続けるための経営指標へと位置付けが変わりつつある。これが市場拡大の追い風になっているという。
矢野経済研究所は、2026年の市場規模を前年比118.6%の158億円と見込んでおり、今後数年間拡大が続くとしている。人材確保が難しくなる中で業績を維持、拡大するために、新たな採用施策に依存するだけでなく在籍する従業員の意欲向上や生産性向上へと目を向ける企業が増えている。その中心は従業員数300〜1000人規模の中堅企業だ。こうした企業による従業員エンゲージメントサーベイの新規導入も、市場規模拡大の要因になっている。
一方で、計測から改善へのニーズの変化によって、サーベイクラウドサービス本体ではなくコンサルティング領域や、エンゲージメントスコア以外の人材情報も統合的に活用できるタレントマネジメントシステム領域への注目が高まる可能性もあるという。2030年にかけて市場規模の伸び率は落ち着くと予測する。
なお、同調査の実施期間は2026年4〜6月。国内の従業員エンゲージメントに関連したプロダクトやサービスを展開している企業を対象として実施した。
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