ファイアウォールと並んで、数多く導入されているプロキシサーバ。よく閲覧されるWebサイトをキャッシュしておくだけ、というイメージが強いが実際にはどのような働きをしているのだろうか? プロキシサーバの構造や仕組みなどを解説する
プロキシの機能や必要性を理解するために、Webアクセスの基本的な構造を知っておくことは重要です。ここでは、Webサイトとパソコンの関係について整理したうえで、その問題点を検討します。
1:Webサイト閲覧の裏側では
今日、Webサイトの閲覧は、企業、一般家庭を問わず、パソコンの用途として最も多いものです。閲覧方法は至って簡単で、ブラウザを起動し、閲覧したいWebサイトのURLを入力すると、該当する画面が表示されます。ブラウザ上では、1ページの画面が表示されているため、あたかもその画面を一括してダウンロードしたかのように感じられます。しかし技術的に解説すると、その裏ではサーバとパソコンとの間でさまざまなセッションが同時に確立されています。昨今、多くのWebサイトは利用者に多くの情報を伝達するために、画像や音声を駆使して作成されています。画像や音声をブラウザに取り込むためには、それぞれにセッションを張り、ダウンロードしてくる必要があります。
2:Webアクセスの種類
Webサイトは、情報発信という一方向のコミュニケーションから、利用者から情報を入手したり(アンケートの入力フォーム)、逆に利用者から情報発信(掲示板などのコミュニティサイト)したりする双方向のコミュニケーションへと進化してきました。
ここで、一般的に使用されているWebサイトへのアクセスメソッドにはどのような種類があるのか代表的なものに関して整理しておきます。
アクセスの種類 | 説明 |
---|---|
Get | URLに指定されたデータを取得する |
Connect | プロキシサーバに対してSSL等の暗号化通信を要求する |
Post | ブラウザからデータをアップロードする |
Head | URLに指定されたデータの基本情報(サイズ、変更時間等)を取得する。データそのものは取得しない |
3:Webアクセスに関する問題点
企業にとって、Webサイトへアクセスすることは、有効な情報収集の手段です。例えば、取引先の企業情報を入手したり、報告書作成のためのデータを収集したりすることが考えられます。しかし、実際にWebサイトにアクセスする前に、問題点もしっかり把握しておく必要があります。ここでは、企業におけるWebアクセスに関する問題点にはどのようなものがあるかを考えてみましょう。
■ネットワーク負荷
先ほど、企業のパソコンから単にWebサイトを閲覧するだけでも複数のセッションが同時に張られていることを説明しました。現在、多くの企業では、1人1台のパソコン環境が当たり前になっています。各パソコンからWebサイトを閲覧すると、膨大な数のセッションが同時に張られるため、それだけでネットワークの帯域を浪費することになり、そのほかの業務のためのアクセスが思うように行えなくなる恐れがあります。社員数の多い企業では、これは深刻な問題になりかねません。
■アクセス速度
「ネットワーク負荷」の問題を、個々の利用者の視点でとらえた場合の問題です。利用者が多い環境では、Webサイトの閲覧に非常に時間がかかってしまうことがあります。通常、Webサイトを閲覧すること自体が業務の目的ではないので、本来の目的達成までに時間を浪費してしまうことになります。
■不適切なWebサイトの閲覧
世の中に存在するWebサイトは、業務に必要なものばかりではありません。個人の私的なホームページ、ゲーム攻略サイト、アダルトサイトなど、およそ一般的な業務には不必要と思われるサイトも多々存在しています。勤務時間中にこのようなサイトを閲覧すれば、企業の資産であるパソコンやネットワークを私的に利用していることになり、生産性の低下につながります。現在、セキュリティポリシーでパソコンの私的利用を禁じている企業も数多くあります。
■情報漏えい
Webサイトの利用方法は、双方向のコミュニケーションへと変化してきたと前に述べました。個々の利用者による情報発信が可能になった現在では、情報セキュリティ上の問題に注意が必要です。社員のちょっとした不注意や認識不足から、企業の重要な情報が漏えいしたり、個人情報が流出したりする恐れがあります。掲示板への書き込みやWebメールの利用は、情報漏えいの経路として注意が必要です。
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