「e-文書法」で夢のペーパーレスオフィスが実現?トレンド解説(12)(2/3 ページ)

» 2005年02月26日 12時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

企業の本格対応は2006年か

リコー 販売事業本部 ソリューションマーケティングセンター ソリューション企画室 室長 兼 e-文書法推進室 室長 平岡昭夫氏

 e-文書法は2005年4月1日に施行されるが、すぐに文書の電子保存を行えるわけではない。各省庁が文書の電子化を行うための要件を個別にまとめているからだ。そのため「本格的に企業が対応をスタートさせるのは2006年になってから」(平岡氏)との見方が大勢だ。

 紙の文書を電子保存するための技術要件としては、主に「真実性」と「可視性」の2つの観点から考えられそうだ。真実性とは、紙文書を確実に電子化し、そのデータの保証ができるということ。電子化した文書とオリジナルを比較して、異なっていないことを保証する。真実性を確保するための技術要件としては、主に「電子署名」と「タイムスタンプ」がある。経済産業省の「文書の電磁的保存等に関する検討委員会」が2005年1月11日に発表した中間報告書「文書の電磁的保存等の要件について」では、電子署名とタイムスタンプについて、「電子文書へのアクセスについてのログ管理機能、公開鍵暗号方式を活用した電子署名を施すことや時刻を保証する措置を講ずる」と要件を示した。電子文書に記された内容が改変されたり、電子文書自体の消去、差し替えが行われた際に、そのことを確認できる仕組みが必要になるという意味だ。

 電子署名についてはさまざまな製品、サービスがすでに登場していて、文書への適用は容易だ。タイムスタンプはアマノセイコーインスツル(SII)がタイムスタンプサーバを出荷している。中間報告では「電子文書へのアクセス権限管理・認証機能によりアクセスを適切に管理し、『ログデータ』の保存機能を設けること」とさらに具体的な要件を示し、「ログ管理機能により、ネットワーク等を経由した電子文書の保存、更新日時等が検出可能となる。本機能は、権限を有する者を特定する認証機能、文書の種類毎のアクセス権限管理機能やシステム時間の適切な管理などを組合せて実現される。また、『ログデータ』についての監査を行い、電子文書への改変の有無等を検出できることが望まれる」としている。

解像度の要件は150dpi以上

  すでに作成された紙の文書や外部から受け取った手書きが交じる文書は、スキャナを使って画像イメージに変換することになる。その際に問題となるのが、どの程度の解像度でスキャンすればいいのかということだ。中間報告では、求められるスキャナの解像度について、「カラー文書はカラーで、モノクロ文書はモノクロでイメージ化するという原則」を示したうえで、カラー文書は「RGB 各色8ビット(256階調)かつ150dpi以上で読み取りを行う」としている。モノクロ文書は、「モノクロ2値かつ200dpi以上で読み取りを行う」「モノクロ中間調かつ150dpi以上で読み取りを行う」などとしている。イメージ化した文書の保存についても「圧縮率は、実際にイメージ化した文書を復元して、原本の情報損失が少なく、圧縮によって損なわれる影響が甘受できるレベルであることを確認の上使用する」と指摘する。

 また、e-文書法に関する要件の中で、技術的に最も厳格になると予想されている税務書類の電子文書化については、2005年1月31日に公布された「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が、

  • 解像度である1ミリメートル当たり8ドット以上で読み取るものであること
  • 赤色、緑色および青色の階調がそれぞれ256階調以上で読み取るものであること

 としている。つまりRGB 256階調で約200dpi以上を要件としていることになる。今後、各省庁から各業界向けの技術要件が示されると見られる。

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