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» 2005年03月03日 00時00分 公開

情報システム用語事典:ベンチマーキング(べんちまーきんぐ)

benchmarking

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 経営や業務・ビジネスプロセスの非効率な部分を改善するため、他分野における優良事例(ベストプラクティス)を探し出して分析し、それを指標(ベンチマーク)に自社の活動を測定・評価して、変革を進める経営改善手法のこと。

 日本経営品質賞アセスメント基準書(日本経営品質賞委員会)では、「組織が改善活動を行うときに、業界を超えて世界で最も優れた方法あるいはプロセスを実行している組織からその実践方法を学び、自社に適した形で導入して大きな改善に結びつけるための一連の活動」と定義している。

 ベンチマーキングの特徴は、改革・改善活動を進める上で“あるべき姿”として、ある分野で最高水準の業績を上げている組織の業務プロセスをベストプラクティスに設定することと、自社の“現状”やあるべき“目標”を数値化し、改善の進ちょく状況や効果を継続的に計測・把握することにある。現状と目標を比較するために用いる数値化した指標は「ベンチマーク」と呼ばれ、その適切な設定・設定がベンチマーキングの最重要ポイントとなる。

 ベンチマーキングは、米ゼロックスにおいて行われてきた体系的な業務改善運動がベースとなっている。同社は1960年代後半から、すでに競合他社の製品提供プロセス分析などを行い、その製品やサービス、財務指数、プロセスをベンチマーキングする活動を行っていた。1980年代に入ると日本企業に市場シェアを奪われ、これを奪回するために「日本に学べ」というコンセプトで全社的なベンチマーキング運動が行われるようになったという。また、このころ異業種の“プロセス”に注目したプロセス・ベンチマーキングが発達する。異業種の企業であれば競合他社に比べて幅広く深い情報を得ることができ、また業界水準を超える効果が期待できるというメリットがある。

 こうした活動の結果、1989年に米ゼロックスがマルコム・ボルドリッジ賞を受賞すると、ベンチマーキング手法は広く注目されるようになった。そのため同社で長年、ベンチマーキングを担当したロバート・C・キャンプ(Robert C. Camp)が提唱者とされることも多い。

 そのマルコム・ボルドリッジ賞を創設した米国生産性品質センター(APQC)はベンチマーキングの世界最先端の機関として知られ、1990年代にはベストプラクティス移転に力を入れるようなった。さらに1990年代半ばからナレッジマネジメントの領域にもベンチマーキングを適用する活動を行っている。

 初期のベンチマーキングでは比較対象となるベストプラクティスを見つけ出して分析する作業が必要だったが、近年ではAPQCビジネスプロセスモデルのようなリファレンスモデルが整備され、企業だけでなく自治体改革などでも実施されるようになってきている。

 なおコンピュータの世界では、同じ条件のタスクを実行することで、ハードウェアあるいはソフトウェアの性能比較することを「ベンチマーク(・テスト)」という。

参考文献

▼『ベンチマーキング――最強の組織を創るプロジェクト』 ロバート・C・キャンプ=著/田尻正滋=訳/PHP研究所/1995年10月(『Benchmarking: The Search for Industry Best Practices That Lead to Superior Performance』の邦訳)

▼『ベンチマーキング入門――業績向上の新手法』 グレゴリー・H・ワトソン=著/日本能率協会コンサルティング=監訳/日本能率協会マネージメントセンター/1994年9月(『The Benchmarking Workbook: Adapting Best Practices for Performance Improvement』の邦訳)

▼『ベンチマーキング入門――ベストプラクティスの追求とナレッジマネジメントの実現』 高梨智弘=著/生産性出版/2006年5月(『ベンチマーキングとは何か』の新版)


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