営業支援システムの他社のベンチマーキングを、主な競合会社を中心にインターネット検索などで実施した。
キラリビールに対する調査結果は以下のようなものであった。
また、ユウヒビールに対する調査結果は以下のようなものであった。
さらに、営業支援システムの機能を調査した。
これらは、企画書作成や、アンケートの質問項目のブラッシュアップにも参考にできると気付いた。
さらに今回のベンチマーキングを通して、以下のような配慮が必要であることを坂口らはつかんだ。
本当は、現地にも足を運び、ベンチマーキングをすべきだろうが、インターネットの検索からだけでも非常に得るものが多い、と坂口らは感じていた。まずは、これらをベースに企画書作りの参考とすることにした。
ある週の月曜日、営業部の部内連絡会で、坂口が新営業支援システムの構築のプレゼンをし、その一環として、営業部員へのインタビューとアンケートの説明を実施した。その後、田所部長から、インタビューとアンケートへの協力を指示してもらった。アンケートはその場で配り、1週間以内に提出するように依頼した。また、インタビューは、部内連絡会の終了後数名を捕まえ、プロジェクトメンバー2名ペアで分担して、インタビューを実施した。後は、適宜、事務所にたまたまいる営業部員を捕まえて、インタビューを実施していった。
その中に、営業2課の氷室信次主任がいた。坂口と松下のペアでインタビューを実施した松下らがまとめた質問項目に従い、質問していった。
氷室は、最初はつまらなそうに質問に答えていたが、あるとき突然、
氷室 「これって、営業をシステムで支援することを考えているのですよね」
と聞いてきたので、坂口は当然「そのとおりです」と答えた。
氷室 「でも、システムで支援するっていったって、パソコンか、PDAのツールを用意して配るだけでしょう。きっと誰も使わないということになりませんか。しょせん、ツールはツールでしかないので、営業を支援するといった無理なことを考えない方がいいんじゃないですか?」
坂口 「いや、その意見は違うと思いますよ。営業は手帳と頭さえあればいいっていう時代は終わったと思います。他社を調査してみても、うまくITを活用して成果を上げています。当社も現在のままだと、大きく差をつけられてしまうという危機感を持っているんです。氷室さんもそう思いませんか?」
氷室 「ITやツールも便利だし、iPodのようなポータブルミュージックプレーヤーも最近のものはHDDが大容量になって、いまでは手放せないけれど、営業は何といってもノウハウなのですから、ITで何ができるかという部分に疑問に感じています」
坂口 「営業にもノウハウの部分と、情報とかデータで効率化できる部分もあると思うのですが」
氷室 「ないとはいえないですけど、当社では、社内でパソコンすら使いこなせていないので、無理があると思いますよ」
坂口 「それであきらめていたら、おしまいだと思っているんです。何とか協力してくれませんか?」
氷室 「納得したわけじゃありませんが、田所部長の指示だから、今日のインタビューには協力しますが……」
引き続き、用意した質問に対してすべてのインタビューが終了した。
坂口 「氷室さん、今日はどうもありがとうございました」
松下 「どうもありがとうございました」
翌週には、アンケートは50%くらいまで回収できた。その後、個別にフォローし、何とか、70%まで回収率を上げることができた。インタビューに関しても、当初予定した15名をクリアすることができた。
そして、松下を中心に、これらのインタビューの結果やアンケート結果の集計、分析を行っていった。
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