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» 2005年12月15日 12時00分 公開

目指せ!シスアドの達人(7):企画書作成の難しさと酔った男女の行方(第7話) (1/4)

[那須結城(シスアド達人倶楽部),@IT]

前回までのあらすじ

前回、当初の提案を縮小し、まず営業部をITに慣れさせるためにPDAの導入を決めた坂口啓二。今回は営業部でPDAを有効活用するために、部員からのアンケートを採って仕様に反映させることに。しかし、アンケート収集で苦労するなど前途は多難だ。また、坂口が過労で倒れてお見舞いに来た谷田亜紀子と……。



営業部員の要望調査の検討

 電子会議室では、第一線のユーザーである営業部員の要望調査をどうするかについて、熱心な議論が展開されていた。焦点は、営業部員の待てるレスポンスタイムや画面の構成、提供するコンテンツについてだ。

深田 「営業部員から広く意見を聞くには、アンケートを実施してみてはいかがでしょうか?」

松下 「アンケートもいいけど、直接、営業部員に話を聞く方が効果的だと思う。アンケートだと、みんな忙しくて、まともに回答してくれないような気がするから」

深田 「確かに、直接話を聞くことができれば、その方が真の声がつかめそうですね。でも、営業部員の人は、事務所にいないことが多く、捕まえるのは結構大変だと思います。また、一斉にアンケートしてある程度数を集めないと、傾向とか全体像がつかめないと思います」

坂口 「深田さんがいっていたように、一定量の定量的なデータを集めるためには、アンケートはとても有効だと思います。また、松下さんの意見もごもっともなので、インタビューとアンケートを併用するのがよいと思います。インタビューは、月曜日の部内連絡会の後に設定するとか、みんなで分担すれば、1日に4〜5人は聞けると思うし、それを2〜3週続ければ、それなりの数も集められるでしょう。後は、事務所にたまたまいる営業部員を捕まえるようにすればいい。さらに、部内連絡会のときに、部長からもみんなにちゃんと回答するよう指示してもらえば、回答率も上がると思います。いずれにしても、質問内容をあらかじめ、しっかり考えておく必要がありますね」

松下 「部長を使うのは名案ですね。部長への説明は坂口さんにお願いするとして、質問内容のたたき台を私の方で作成してみます」

坂口 「それでは、松下さん、質問内容に関するたたき台の作成をお願いします。深田さんも協力してくれるだろうから、あと、浜田課長にも相談して、谷田さんと、水元さんにも、手伝ってもらえるようお願いしておきます。みんなで協力して2週間くらいでまとめてほしいです」

深田 「坂口さん、質問項目案の作成に協力します。それから、集計、分析を考えると情報システム部の福山さんのアドバイスもお願いしたいですが、福山さん、お願いできますでしょうか?」

福山 「了解。必要なときに声を掛けてくればアドバイスします」

 こうして、営業部員の要望調査アンケートの作成が、松下を中心にスタートした。そして、1週間が過ぎるころには、画面構成、情報提供コンテンツ、といったカテゴリごとの質問項目案が具体的にリストアップされ、検討は、順調に進んでいった。

<画面周りの要望など>

  • 日報
  • 顧客情報
  • 商談情報
  • スケジュール
  • 担当店舗の情報配信
  • 担当店舗に関する過去のデータの閲覧や分析
  • 在庫状況や見積もり取得
  • ……

レスポンス、画面周りの調査

 しばらくして、営業部員が待てるレスポンスタイムの調査や、画面周りの要望に関する検討のところで、松下たちは悩み始めた。営業部員に聞いても、「速ければ速い方が良い」というに決まっているだろうし、何秒以内ならよいかと聞かれても答えられないだろう。画面周りに関しても、PDAすら使ったことがない営業部員が多いので、インタビューやアンケートでは難しいのでは、という壁にぶち当たっていた。

 そこで、質問項目案の作成の開始から約10日たち、坂口と松下ならびに検討メンバーが集まって中間検討会を実施した。

 すでに検討された質問項目は、20以上にもなっていた。これらに関しては、インタビューで確認する項目、アンケートで確認する項目に分類する作業を進めることにした。

 画面周りに関しては、仮想プロトタイプを作り、表示される画面のイメージ図を印刷して用意しようということになった。一方、レスポンスタイムに関しては、実際に使ってみないと分からないだろうという意見が大勢を占めた。そこで、PDAを何台か用意して、代表的なメニューや画面を準備し、それで実際に見てもらってから評価してもらうのはどうだろうかということになった。そこからさらに議論は進み、いっそのことPDAの先行配布とプロトタイピングをし、もう少し本格的に行うという案も検討しようということになった。この案は、福山が概算費用とプロトタイピングを実施した場合のスケジュール検討を宿題として、検討することになった。

 その後、現在、坂口がPDAを実際に活用している方法を紹介し、集まったメンバーも実際の使われ方を少し理解した。それを聞き、松下たちが宿題として、質問方法の分類とブラッシュアップを実施することとした。また、坂口の実使用における使い方とメリットなどを簡単にまとめて、インタビュー時や、アンケート時に紹介する資料の一部としようということになった。この部分は、深田がやりたいと申し出たので、深田の宿題とすることになった。1週間後に予定されているプロジェクト会議で、これらの宿題の結果もまとめて提案することで、このミーティングは終了した。

 深田は翌日の残業時間に、昨日の宿題作成を手伝ってもらうため、坂口に時間を取ってもらった。坂口が普段PDAを活用している方法やメリットを、実際のPDAの画面を使ってさらに詳しく説明してもらったのだ。

 このとき、会議室には2人きり。さらに坂口はPDAの画面を見せるために深田の横にぴったりくっついて説明していた。もちろん、この状況は、坂口に好意を寄せる深田の計算どおりだったのだが、計画を仕掛けた本人はすっかり舞い上がって説明など上の空の状態。実は坂口の説明などちっとも覚えていないほどの楽しい時間だった。

 深田は、打ち合わせが終わった後、こう口を開いた。

深田 「坂口さんは、いつも、夕食はどうされているんですか?」

坂口 「うーん、こっちに来てからは、外食ばかりだよ」

 深田は食事を一緒にしようとひそかに調べたお店を思い描きつつ、

深田 「栄養が偏りがちになりませんか」

坂口 「そうだなぁ……。そういえば、谷田さんに新宿のいい店を紹介してもらったから、そこにたまに行ってるよ」

深田 「谷田さんの紹介ですか……」

坂口 「じゃあ、俺はもう一仕事あるから、お疲れさま!」

 といって坂口は席に戻っていった。深田は少しショックを受けながらも、坂口から聞いたことを簡単にまとめて、その日は1人寂しく帰宅したのだった。

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