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» 2006年02月15日 12時00分 公開

アリの生態にみる自己組織化のルール自己組織化プロジェクトの育て方(2)(1/3 ページ)

働きアリが巣を作って餌を集め、その巣の中心には働きアリを産んでいる女王アリが鎮座している……。長い間、女王アリによる中央コントロールがアリの集団を支配していると考えられてきたが、実情はことなる。女王アリは命令なんかまったくしないのである。

[山根圭輔,アクセンチュア]

第1回のまとめ:自己組織化を促すために

 前回「プロジェクトを管理しないという発想」の内容のまとめから始めましょう。

『システム開発が複雑で変化が激しいものになっている』ということの真の意味は何か?

 現在のプロジェクトの問題点である『複雑さ』とは、プロジェクトを構成する『もの』=『粒』が増えたことによる、粒同士の関係、ネットワークの爆発にある。

 昔のプロジェクトと現在のプロジェクトを比較し、現在は、プロジェクトを構成するものの数が増えていることで、関係性=ネットワークの複雑さが爆発的に増えていることを示しました。

自己組織化を目指す解決案

 プロジェクトを、さまざまな『粒々』が無秩序につながって混沌とした状態から、ほんの少しだけ『カオスの縁』に動かしてやること。ランダムで無秩序な状態でなく、最適化された完全な秩序でもない状態にすること。これができると、プロジェクトが『自己組織化』する。

 『粒』のネットワークが複雑な状態で、環境の変化が激しい場合、完全な秩序を目指すCMMI的なアプローチを取るのは難しいことを述べました。

 そこで異なる方法として、混沌(カオス)と秩序の中間状態である『カオスの縁』にプロジェクトを誘導することが、プロジェクトの自己組織化につながるということを提案しました。

プロジェクトの自己組織化を促すための具体的なポイント

  1. 大きさのそろった『粒』をできるだけ増やすこと
  2. 『粒』と『粒』との連携は可能な限りシンプルにすること
  3. 『粒』と『粒』との連携方法に例外をなくすこと

 混沌とした大火事開発プロジェクトで、自分が取った具体的な方針を述べました。その中でのポイントは、『粒』が増えてネットワークが複雑になり、困っていたのにもかかわらず、なぜかあえて大きさのそろった『粒』をできるだけ増やす、という正反対のアプローチを採用したか、ということです。

 今回は、この一見不可解な方針が自己組織化につながっている例をいくつか紹介していくところから始めます。

 例といっても、システム開発とまるで関係がないように見えるため、驚かれるかもしれません。まずは、昆虫のアリの巣(コロニー)についてです。

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