企業内にあふれかえるさまざまな情報、そしてそれらをコントロールすることを求める法規制──。この難問に応えるリアルコムが提唱する情報戦略コンセプト「情報マネジメント」を解説する。
あなたは1日何通、電子メールを受信しているだろうか。図1は、ある機械メーカーA社社員の平均的なメール受信状況だが、A社社員は平均して1日60通のメールを受け取っている。1通のメールを読むのに1分かけるとするとそれだけで合計1時間、返信する時間も入れればあっという間に2時間近くがメールの処理だけで消えてしまい、業務を行うどころではなくなってしまう。これがすべて重要なメールならよいのだが、実は60通のうち本当に自分あての社内メールは6通で、それ以外はほかの人あてに送られたメールのCC(カーボンコピー)や全社一斉同報メール、スケジューラが自動的送信したメールだという。
これでは本当に必要なメールはゴミメールに埋もれてしまい、見落とされる可能性が高い。こうして受信者はメールをきちんと読まなくなり、発信者はメールを送っても反応してくれないのでさらに確認メールを送る……。こうした「メール洪水」はA社に限らず、いまや社会的な問題にすらなりつつある。
もう1つ、「情報洪水」の例を見てみよう。消費財メーカーB社では情報共有を進展させるために共有ファイルサーバを導入した。最初は個人間でファイルが共有できて便利と好評だったが、各自が勝手にフォルダを作ったためにフォルダが乱立、いまではフォルダ数5万、フォルダ階層16階層、ファイル数15万、とファイル情報の洪水に陥った。これでは情報を探すのは「干し草の山から針を見つける」より難しい。あなたの会社のファイルサーバも、このような状態に陥っているのではないだろうか。
電子メール、ファイルサーバ、イントラネット、共有データベース……。オフィスワーカーの生産性を向上させるべく1990年代後半から次々と各種の情報共有基盤が導入された。その便利さは情報量の増加を生み、一定の成果を見せた。しかしその便利さが両刃(もろは)の剣となって無秩序な情報洪水を生み、逆にオフィスワーカーの生産性を低下させつつある。これが「情報の量と質のパラドックス」である(図2)。
情報が少ない時点では情報量が増えると、意思決定の質やスピードが増加し業務の質が向上する。しかし、ひとたび情報量が個人の情報処理能力を超えてしまうと、さらなる情報量の増加はすべての情報をゴミにしてしまい、逆に業務の質は低下してしまう。
実際、今日のオフィスワーカーはその時間の大半をあふれかえる情報の処理に費やしている(図3)。今日の平均的なオフィスワーカーは1日の業務活動時間のうち50%をPCの前で過ごし、そのうち「資料作成」「情報検索」「メール処理」といった「情報処理」作業に業務時間の約40%を費やしている。そしてその時間は日を追うごとに増加しているのである。
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