“新・お作法”定着への道──研修とガイドライン情報活用の新・お作法(3)(1/2 ページ)

情報に対する考え方として会社の基本ポリシーができたら、普及・実践のための具体的なアクションを行っていく。今回は、「スキル研修」と「ガイドライン&テンプレート」について解説する。

» 2007年01月06日 12時00分 公開
[村田聡一郎,リアルコム]

本稿は、リアルコムが発行するホワイトペーパー「VISION」の『情報活用の「新・お作法」がワークスタイルを革新する』に加筆・修正を加えたものを、許可を得て転載したものです。



B. スキル研修

 新・お作法を実際に「現場に落とし込む」原動力となるのは、社員1人1人に対するスキル研修である。

 以下を読むと「まるで新人研修のようで、ベテラン社員がやるまでもない」という声が上がりそうである。だが、ここで立ち止まってよく考えていただきたい。皆さんはこれまでこうした内容を「正しく」教えられたことがあるだろうか? 自分のやり方が実は「自己流」にすぎない、と自覚されているのではないだろうか?

 「新・お作法」という新しい領域においては、「全員が新人」であるといっても過言ではない。いやむしろ、自己流のクセが身に付いてしまっている分、新入社員に比べむしろハンディを背負っているといえるのだ。

(1)情報収集研修

 一般論ではなく、社内の実情を中心とした「今日から使える情報の在りか」をガイドすることで、情報収集時間の浪費をなくすことを目的とする。

 ・ 社内にある情報ソースの全容オリエンテーション

  • イントラネット、グループウェア/Notes、ファイルサーバほかの全容(どこに何があるか、きちんとしたガイドが整備されている例はまれ)
  • おのおのの提供部門、信頼度、更新頻度
  • 網羅性(「ある」情報は探せるが、「ない」情報を「ない」と確認するのは大変)

 ・ 検索エンジンの効果的な使い方ノウハウ

  • 複合検索、日付絞り込み、カテゴリ絞り込み……など、社内の情報ソースごとの検索方法
  • メール内検索、個人PC内(デスクトップ)検索

 ・ 社外の情報ソース

  • 業界サイトや購読すべきメルマガ
  • ウオッチしておくべき消費者サイト

(2)ビジネス文書作成研修

 「必要十分なクオリティとは何か」を明示し、「それ以上のものを作ることは時間のムダである」ことを理解させるのが第一歩。次に簡単なテクニックで時間短縮効果を与えて、「仕事が楽しく」なるようにする。

 ・ ビジネスライティング

  • 要点を簡潔にまとめた文章を書く
  • 量を抑える(紙時代の物理的な縛りがなくなった分、情報が水ぶくれしやすくなっている)
  • 内部文書として必要十分な資料を短時間で作る(イラスト、写真、色使い、動画など過度の装飾をしない)

 ・ ITテクニック

  • 「テンプレート」を効果的に使う方法を覚えれば、作成にかかる時間は大幅に短縮できる
  • またMicrosoft Office上のさまざまなテクニックを覚えることによって、やはり大幅な効率化が期待できる

(3)情報管理研修

 「情報は個人のものではなく会社のものである」ことを理解させ、実行に移させる。

 ・ ファイル管理

  • ファイルの命名ルール
  • データの保管場所
  • データのバックアップ

 ・ 情報共有への意識

  • 共有フォルダの利用ルール
  • 情報管理規程に対する理解(機密情報とは? 機密情報の扱いは一般情報とどう違うか?)

 ・ セキュリティに対する基本的知識

  • ウイルス、フィッシング詐欺、スパイウェアなど
  • パスワード管理(破られにくいパスワードの特徴は)
  • べからず集

(4)メールによるコミュニケーション研修

 メールの読み・書き・保管は業務時間の最も大きな割合を占めており、その効率化が寄与するところは大きい。ポイントは「定型化(テンプレート化)」とテクニックの駆使にある。

 ・ メール向け文書作成

  • 簡潔で要領を得た「結起承転」メールの作成
  • 開かなくても内容が分かるタイトル
  • TO、CC、BCCの使い分け
  • 報告書(紙文書)、メール、口頭、電話、ファクス……の使い分け
  • 社外向けメールでの留意点

 ・ メールに関するITテクニック

  • メーリングリストや掲示板とメールの使い分け
  • 添付ファイルの取り扱い
  • アドレス帳の利用
  • メーラーの自動フォルダ振り分け/色分け
  • フッタ/シグネチャ(署名)
  • ウイルスチェック
  • 不在応答

(5)会議の進め方研修

 議長として会議をリードする力も重要だが、それ以上にメンバーとして「リードされる力」を社員全員が身に付けて、初めて会議の改革は進む。

 ・ 時間コストへの意識

  • 時間どおりに集合し開始する
  • 予定時刻を意識して進行する
  • 予定時刻までに必ず終わらせる
  • 不要なメンバーを参加させない……

 ・ 会議の進行ルールへの意識

  • 主催者が議長となって進行を仕切る
  • 冒頭で会議の目的と決定したい事項をリマインドする
  • タイムキーパーを置く
  • 議論が本筋から外れないよう全員が注意する
  • 外れかけたら、軌道修正する
  • 最後の10分で既決事項と未決事項を確認する
  • 議事録担当を置き翌日中に関係者に配布する……

 ・ 会議のフォーマット遵守

  • 会議効率化のためのフォーマットを整備する
  • 招集、アジェンダ、資料、議事録の配布などを掲示板/グループウェアを通じて行うことにより、いつでも振り返ってフォローできるようにする

 もちろん、社会人のベテランである皆さんに、これらをすべて教える必要はない。ポイントだけをピックアップして半日程度、確認を含めて学べば十分だろう。このようにして上記のような知識を得ておくことで、今後の仕事の生産性が大幅にアップすることは間違いない。

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