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» 2007年01月06日 12時00分 公開

情報活用の新・お作法(3):“新・お作法”定着への道──研修とガイドライン (2/2)

[村田聡一郎,リアルコム]
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C. ガイドライン&テンプレート

 これまで見てきた「A.情報に対する考え方」を具体化し、「B.スキル研修」を側面支援するのが、「C.ガイドライン&テンプレート」である。

ガイドライン

 ガイドラインとは、「A.情報に対する考え方」(基本ポリシー)を具体化・明文化したものである。紙時代からある「お作法」をIT時代に合わせて改訂し、新しい「ガイドライン」として全社員に配布し周知・徹底していく。以下はその一例である。

  • 情報管理規程
  • ファイルサーバ利用ガイドライン
  • 文書作成ガイドライン
  • 電子メール利用ガイドライン
  • PC利用ガイドライン
  • テンプレート利用ガイドライン
  • ……

 例えばB社では、図表1のようなファイル命名ルールおよびフォルダ作成ルールを策定している。

ファイル命名ルール
フォルダ命名ルール
日付
YYMMDDで作成年月日を入れる
タイトル
ファイルのタイトルを入れる
検索キーワードになる言葉を入れる
バージョン
ドキュメントのバージョンを入れる
10が完成版、20が第2版
分類
制限情報、全社情報、部門情報などの情報分類
corf:機密情報など
その他
ファイル名には空白を使わない
英数字はすべて半角を使う
フォルダ作成者
サーバ管理者以外はフォルダを作れない(管理者に申請する)
フォルダ
極力フォルダを作らない
 
情報内容でフォルダを作らない
3階層以上のフォルダを作らない
どうしても作る場合には、誰でも明確に区分できるものに限ってフォルダを作成する
 
情報の種類
作成組織
図表1 B社事例〜ガイドライン(ルール)の例

 周知する際、「なぜ」そのガイドラインがあるのか、目的・理由や背景についても理解させることが非常に重要である。ガイドラインは「(罰則規定を伴う)法律」ではない。ガイドラインを皆が順守することによって会社全体としての仕事の効率がアップするのが目的である。これまでのIT普及/利用促進をアクセルとするならば、「適切なブレーキの踏み方」を明文化したのがガイドラインといえるだろう。

テンプレート

 SI企業C社は提案型営業を得意としており、PowerPointの利用率はかなり高い。しかしこれまで、会社としてPowerPointのデザインテンプレートを統一するといった考え方がなかったため、社員各人が思い思いに工夫したデザインを、時間をかけて「開発」していた。しかし、全員がそれをする必要があるだろうか? ごく一部の「絵心」のある社員はともかく、ほかの社員はデザインに凝る力量も余裕もないのに、PowerPoint付属のテンプレートなどを適当に流用して、何とか美しい絵を作ろうと悪戦苦闘していたのが実態であった。そのため、他人から有用な企画書をもらったとしても、それを自分のPowerPointファイルへ統合するためにはデザインの修正が必要となり、余計な時間がかかっていた。

 そこでC社では会社としての「公式テンプレート」を作成することにした。これまで社内で流通していたデザインを参考に、CI(コーポレート・アイデンティティ)を反映させたものを社外デザイナーに作らせたのだ。

ALT 図表2 C社事例〜公式PowerPointテンプレートの制定

 新しいテンプレートは圧倒的多数の社員に歓迎された。そのほとんどが、事務局の強調した「使い回しのしやすさ」より、「センスが良くてカッコいい」という受け入れ方をしていた。考えてみれば当然のこと、自分のデザインセンスに自信がない社員の方がずっと多かったのだ。「誰かがカッコいいお手本を作ってくれれば、それに乗る方がずっと楽」という意見が皆の声を代弁していた。事務局がいう「使い回しのしやすさ」を社員が実感し始めたのはそれから数カ月後のことである。

 なお、「社外向けレター」や「メール」についても、同様に業務効率化を図ることができる。テンプレートを用意して手軽に使えるようにしておき、かつそれだけを使わせればよいのだ。

ALT 図表3 公式Wordテンプレート/メールテンプレートの例

筆者プロフィール

村田 聡一郎(むらた そういちろう)

リアルコム株式会社 ディレクター

東京都立大学法学部卒、ライス大学MBA

外資系IT企業勤務、米国本社駐在を経てリアルコムに参画。ナレッジマネジメントコンサルタントとして、国内外の大手企業のナレッジマネジメントプロジェクト・企業変革プロジェクトに参画。主にIT系、グローバル、営業系のナレッジマネジメントに精通。


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