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» 2007年04月09日 12時00分 公開

目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(6):シスアド試験前の休息、猛アプローチ始まる!(第6話) (1/4)

[山中吉明, 那須結城,@IT]

第5回までのあらすじ

名間瀬が役員からの圧力に屈し、強引にプロジェクトの立て直しを図る。しかし、またもや坂口と激しく対立し、プロジェクトは迷走状態に。また、坂口は会議中に知識不足を露呈した伊東を鍛えるため、初級シスアド勉強会への参加を勧める。伊東はそこで出会った谷田に一目ぼれしてしまい……。



試験壮行会(東京ディズニーシーにて)その1

 坂口が伊東を連れて勉強会に現れた翌週の土曜日、勉強会メンバー6名(坂口、谷田、福山、深田、松下、伊東)は、千葉県浦安市にある東京ディズニーシーのエントランスに集合した。開園時間までまだ30分はあるというのに、エントランス前には長蛇の列ができている。

伊東 「うひゃー、やっぱ土曜日はやめといた方がよかったっすね!」

福山 「これは過酷な壮行会になりそうだ。試験本番のつもりで気合を入れないとな!」

 エントランスのにぎわいにメンバー全員があっけに取られていると、携帯メールで松嶋と連絡を取り合っていた谷田がいった。

谷田 「松嶋さん、いま、舞浜駅に着いたって」

 松嶋の10歳になる娘がディズニーシーに行きたがっているという話を、以前メールで聞いたことがあった谷田が、気を使って今回の集いに松嶋親子を誘ったのだ。

 今日のお目当ては、垂直落下型の新アトラクションだ。しかし、オープン後間もない人気アトラクションのため、普通に並ぶと2時間以上の待ち時間を覚悟しなければならない。

福山 「とにかく、まずはファストパスをゲットしなければならない。開園と同時に男性は全員ダッシュしてもらうよ!」

深田 「福山さんは、テーマパークのプロだから、彼のいうとおりにしてね」

全員 「はーい!」

 坂口は、ハワイ大学に在学していた当時、クラスメイトとフロリダのディズニーワールドに行って以来のテーマパークに、子供のころのわくわく感を思い出していた。

 それともう1つ、先週の飲み会で松下から、谷田のことをもっと考えなさいと説教を受けて自分なりに素直に反省して、今日は谷田と経堂駅で待ち合わせをして一緒に舞浜駅までやって来た。今日は谷田とたくさん話をしよう、と思う坂口だった。

松嶋 「おはようございま?す」

 カジュアルなトレーナーにジーンズ姿、涼しげな色合いのCOACHのトートバッグを抱えた松嶋が、さわやかな笑みを浮かべながら現れた。隣には、松嶋とおそろいのジーンズ姿に、長い髪をツーサイドアップに結った活発そうな女の子が寄り添っていた。

 坂口は女の子の前にしゃがむと、声を掛けた。

坂口 「おはよう。君、名前は?」

女の子 「まりん。松嶋真鈴」

 やがて、開園時間となり、人の波がパーク内に吸い込まれ始めた。

 エントランスゲートを抜けると、坂口と福山、伊東が一目散に新アトラクションへと向かったが、案の定、すぐさま伊東がつまずいて激しく転倒した。驚いた谷田が思わず駆け寄って声を掛けた。

谷田 「大丈夫?」

 一瞬、谷田と目が会ってドキッとした伊東はうつむき加減にいった。

伊東 「す、す、すいましぇ?ん!! 大丈夫です。これでも学生時代は陸上部だったんですけど!!」

 伊東は、ひざを払いながら再び足早に坂口たちの後を追いかけた。結局、11:30からのファストパスを獲得した坂口たちは、時間までパーク内を散策して、いくつかのショウとアトラクションを楽しんだ。

 お目当ての新アトラクションでは、真鈴が大はしゃぎだったが、谷田と隣り合わせに座った坂口は、クライマックスの瞬間に谷田が叫びながら思わず坂口に寄り添ってきたので、少し顔を紅潮させてアトラクションを降りた。出口付近にあるギフトフォトコーナーには、落下の瞬間をとらえたゲストたちの画像が映し出されており、そこには絶叫するメンバーたちと寄り添う坂口と谷田の姿がばっちり映っていた。記念に松嶋親子がそれを1枚購入した。

 昼食は、福山があらかじめ予約していた、パーク内を流れる運河に面したイタリアンレストランのテラス席を確保した。松嶋親子、坂口、伊東が1つ目のテーブル、残る4名がもう1つのテーブルに座った。

坂口 「(それにしても、こんなに開放的な気分になれたのは、何て久しぶりだろう)」

 坂口は、ベネチアの雰囲気を醸した街並みの中、眼前をのんびりと行き交うゴンドラを眺めながら、そう感じるのだった。

真鈴 「あー、楽しかった!もう最高!」

松嶋 「よかったわね?まりん、お兄さんたちに感謝しなきゃダメよ。伊東さんなんて転んでひざを擦りむいちゃったのよ」

伊東 「い、いぇ、そんな……。大丈夫ですよ、転ぶのは慣れてますから」

坂口 「まりんちゃんは、学校がお休みの日にはお母さんとこうして遊ぶことが多いの?」

真鈴 「うんたまに。サッカーの応援に行ったり……。とかかな」

坂口 「へー、サッカーの試合か。Jリーグ?」

真鈴 「ううん、違う。クラスの男の子でね、康介くんっていうんだけど、小学校のサッカークラブの代表選手ですっごく格好いいんだ。だから、康介くんが出る試合を応援に行くの」

坂口 「そっか。まりんちゃんは、その男の子のことが好きなんだ」

真鈴 「大好きだよ。でもね、康介くんはサッカーに夢中で、まりんとはろくに話もしてくれないんだ?」

 真鈴は恥ずかしがるそぶりも見せず、楽しそうにしゃべっている。

坂口 「それじゃあ、寂しいね」

真鈴 「ちょっとね、ちょっとだけ。……本当は……シュートを決めたときに、まりんだけにガッツポーズしてほしいの。まりんは、康介くんが活躍してるところを見るのが好きなんだぁ」

 なんてあっけらかんとした性格なのだろう、この子も松嶋に似て活発で秀才なのかもしれないな、と坂口は思った。

 松嶋は2人のやり取りを聞いていて、思わず言葉が出そうになったが、やめることにした(坂口くんと2人きりのときに話そう……)。

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