シスアド試験前の休息、猛アプローチ始まる!(第6話)目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(6)(3/4 ページ)

» 2007年04月09日 12時00分 公開
[山中吉明, 那須結城,@IT]

勉強会の追い込みで波乱が始まる……

 壮行会から1カ月が過ぎ、いよいよ、情報処理技術者試験が間近に迫ってきた。伊東は、勉強を始めてからまだそれほど期間は経過していないものの、勉強会には毎週参加して確実に力を付けてきている。一方、坂口は忙しさを口実に、勉強会に顔を出すことは少なかった。

 今回、前半の輪講形式の部分は谷田の出番だ。今回のテーマは、「利用者支援」であり、内容は「利用者マニュアルなどの利用環境を整備したうえで、利用推進および技術指導を行う」という部分だった。

 谷田は、去年、坂口と一緒に作ったA4版1枚のマニュアル作りの経験を生かして今回の講義で使用する資料を作った。坂口に心から感謝された、あのマニュアルである。

 「谷田さん、ありがとう! 本当に助かったよ!」という坂口の言葉を思い出しながら、準備をしてきたのだった。

福山 「谷田さん、この資料、分かりやすくていいね」

谷田 「(あーあ、今日は坂口さんに聞いてほしかったのにな。期待が外れちゃった)」

 谷田はそう思いながらも、一生懸命説明を続けた。一通り説明が終わると、メンバーからは積極的に質問が出た。谷田は自分なりの知識を総動員して自分の言葉で解説をした。時折、松下が補足説明を加えてくれたこともあり、メンバーの納得感も高まり、輪講としては申し分のないできとなった。

 その日の勉強会の後半は、先週の宿題として、各自が実施してきた模擬テストの答え合わせだ。講師役の福山、松下が採点を行った結果、深田は合格点、谷田、伊東はもう一息という点数だった。みんなが間違えた問題を中心に福山、松下が講師役となり、講義形式でそれぞれの得意とする問題の解説を行った。

 解説が半分くらい終わったところで、松下がいった。

松下 「それでは、少し、全般的な質疑応答の時間にしましょうか」

伊東 「間違えた問題のことじゃなくてもいいですか?」

松下 「はい、何でもいいわよ、遠慮なくね」

伊東 「昨日、模擬試験問題を解いていて思ったんです。午前の部は、コンピュータの基本的な知識とか、データマイニングとか、データベースとか、損益計算とか、とにかく範囲が広くって、とっても大変だって。シスアドって、どうしてこんなにいろんな知識を知ってなきゃいけないんですか?」

松下 「そうね、シスアドに必要な知識はスキル標準で定義されているんだけど、結構範囲は広いわね。ユーザーの立場だからって、開発者側の知識を知らないとシステムの中身が分からないでしょ。ある程度の知識がないと、問題の本質も見えてこないの。だから必要最低限の知識を広範囲に勉強しておく必要があるの。大変だけど、頑張ってね」

伊東 「参考書を読んでもなかなか覚えられなくって……。僕の場合、まだまだ、分からないことばかりで、とても試験までに間に合いそうもないんですけど」

谷田 「私も最初は同じようなことで悩んでいたわ。でも、前に松下さんから過去問をできるだけたくさん解いた方がいいよって、アドバイスをもらったの。それで過去問を繰り返し解くようにしたら、最近、だんだん分かるようになってきたの」

松下 「そうね。参考書を初めから熟読するより、過去問を解いてみて、分からないところは参考書を使って勉強しながら、間違った問題を繰り返し復習する方がいいわよ。3年分くらいやれば十分じゃないかしら」

伊東 「そうか、直接問題に当たった方が手っ取り早いってことですね。過去問とか、今日みたいな模擬テストの問題を繰り返し解いて勉強すればいいんですね。分かりました!」

松下 「ほかに、質問は?」

深田 「午後って、システム化とか、業務改善とか、コスト削減効果とか、いろいろ交ざった問題が出るから、きっと混乱して時間が足りなくなると思うんですが、何か良いアドバイスはないですか?」

福山 「祐子、じゃなくて深田さん、シスアドには、実際に仕事をしている現場で、『業務改善における問題点を把握し、情報技術を活用してその解決を図る』という役割が期待されているんだ。だから、業務改善とシステム化の両方をカバーする問題が出る。まずは、業務改善の施策とシステム化の要素を問題文から読み取って、それから、現状の業務内容とか、システム化による費用対効果というような観点で考えていくといいよ。時間が足りなくなるっていっても、みんな条件は同じだから、みんなから一歩リードするために、午後も午前と同じように、何度も過去問を解いて解答形式に慣れておくしかないね」

深田 「なるほど?、いろいろ訓練が必要なのね。うーん、役割のところは何となく分かったような分からないような……。福山さん、後でもう1度教えてくださ?い!!」

伊東 「そうか……午後もあるんですよね。はぁ?」

 伊東は、前途多難を感じて、ため息をついた。

松下 「それじゃあ、質疑応答の時間はこのへんで終わりね。この後は、間違えた問題を個別指導します」

 質疑応答の時間も終わり、その後は、それぞれが間違えたところを個別に指導した。深田は、早々と見直しが終了したが、谷田と伊東は、時間内に終了できなかった。福山と深田は、予定の19時半になったので先にそろって退社した。松下は、しばらく残って2人の見直しを手伝っていたが、ふと時計を見上げて、申し訳なさそうにいった。

松下 「ごめん、あたし今日は約束があるから、悪いんだけど、先に失礼するね」

谷田 「そうなんですか。すいません。長くお付き合いさせてしまって……」

松下 「ううん、いいのいいの。でも、今日のうちに今日の課題はつぶしておいてね」

伊東 「わ、分かりました。松下さん、ありがとうございました。後は2人で何とか頑張りますので」

 谷田は思わず『えっ?そうなの?』というような顔をしたが、成り行き上、伊東と一緒に居残り勉強をすることになった。

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