連載
» 2007年09月27日 12時00分 公開

The Rational Edge:開発プロジェクトを「統治」するベストプラクティス/パート1:原則と組織(前編) (1/2)

The Rational Edgeより:現代のソフトウェア開発作業のガバナンスに対してIBM Rationalが推奨するアプローチをカバーする連載の第1回となる本稿では、高効率ガバナンスの目的と原則のほか、プロジェクトごとの成功に必要な組織と利害関係者のコラボレーションについて探求する。

[Scott W. Ambler, Per Kroll,IBM]

 ITガバナンスプログラムの目標は、責任、権限、そしてコミュニケーションの系統を確立し、企業全体の目標と戦略の支援者に権限を与えることだ。これは、IT関連投資のリスクと見返りのバランスを取ること、効率的なプロセスや手法を定着させること、部署の方向性や目標を定義すること、そして、その部署の中に入ったり、一緒に果たす役割を定義することによって行う。開発ガバナンスはITガバナンスの重要なサブセットであり、その対象範囲はソフトウェアやシステム開発プロジェクトの運営までカバーする。3回にわたってお届けする今回の連載では、高効率開発ガバナンスをサポートする手法に重点を置く。

ALT 本記事は、IBM developerWorksからアットマーク・アイティが許諾を得て翻訳、転載したものです。

 従来のガバナンスは、開発プロジェクトチームの明示的な管理および指導に務める指揮統制戦略に重点を置くことが多かった。これは状況によっては有効かつ効果的な戦略だが、多くの組織にとってはネコを追い払うようなものだ。つまり、ガバナンス活動に多大な労力をつぎ込んでも、実際にはほとんど何も達成できない。高効率ガバナンスは、チームメンバーにそれとなく権限を与え、やる気にさせるよう努める協調戦略に重点を置く。例えば、最初にガイドラインを作成してから正式な検討を通じて用法を守らせるのがガイドライン作成に対する従来のアプローチだ。高効率アプローチでは、プログラマーと協力し合ってガイドラインを作成し、ガイドラインを導入するために、なぜそれが重要なのかを全員に説明する。それからツール一式とサポートを提供し、開発者が可能な限りそのガイドラインに従いやすくする。この高効率ガバナンスのアプローチはネコを先導するようなものだ。生のサカナを手に持てば、ネコはどこにでもついてくる。

 本稿は、現代のソフトウェア開発作業ガバナンスに対するわれわれの推奨アプローチを説明するシリーズの第1回。われわれがこのアプローチを解説するのには次のような理由がある。

1.Control Objectives for Information-Related Technology(CobiT)やProject Management Institute(PMI)のOrganizational Project Management Maturity Model(OPM3)など、ITガバナンスに対する既存のアプローチに関するわれわれの経験から考えると、これらの従来のアプローチは、さまざまなアドバイスを得られるものの、多くの組織にとっては実際問題としてあまりに手に余る場合が多いCobiT)やProject Management Institute(PMI)のOrganizational Project Management Maturity Model(OPM3)など、ITガバナンスに対する既存のアプローチに関するわれわれの経験から考えると、これらの従来のアプローチは、さまざまなアドバイスを得られるものの、多くの組織にとっては実際問題としてあまりに手に余る場合が多い

2.ソフトウェア開発にアジャイルアプローチを採用するプロジェクトチームがますます増えており、[注1]これらのプロジェクトチームには効果的なガバナンスが必要注1]これらのプロジェクトチームには効果的なガバナンスが必要

3.多くの非アジャイルチームは、本稿で説明したより協調的なアプローチのメリットを享受できると思われる

4.上で述べた従来のフレームワークや、同様のフレームワークを採用している組織も、開発プロジェクトガバナンスに対するアプローチの「手綱を緩める」ことでメリットを享受できると思われる


[注1] Scott Ambler氏は2007年3月のDr. Dobb's Journal(DDJ、www.ddj.com)で「Agile Adoption Survey」を実施し、回答者の69%が最低1つのアジャイルテクニックを採用した組織で働いた経験を持つことと、そのほかの7%も所属する組織が1年以内にこれを採用する見通しであることを明らかにした。DDJの2007年8月号にこの調査のまとめがある。


 パート1では、高効率ガバナンスの目的と原則、そしてプロジェクトごとの成功に必要な組織と利害関係者のコラボレーションについて説明する。パートIIとIIIでは、プロセスとメトリクス 、そして役割/責務およびポリシー/標準についてそれぞれ説明していく。

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