「内部統制の有効性の評価」の結果、不備や重要な欠陥が見つかることがあります。しかし、単独の不備が即、重要な欠陥となるわけではありません。
重要な欠陥とは、「一定金額以上の虚偽記載、または質的に重要な虚偽記載をもたらす可能性のあるもの」を指します。実施基準では、金額的に重要な欠陥として「例えば、税引き前利益の5%程度」と例示しています。
トップダウンリスクアプローチで重要となる「全社的な内部統制」において、重要な欠陥となる不備が、実施基準で次表のとおり例示されています。
■重要な欠陥となる全社的内部統制における不備の例
他方、業務プロセスにおいて不備が発見された場合にはその不備が単独で、またはほかの不備と合わさって「金額的にあるいは質的に重要な虚偽記載をもたらす可能性があるかどうか」を判断し、是正しなければなりません。
というわけで、重要な欠陥が発見されたときは、(上司や当該業務担当部門の長など)適切な者、経営者、取締役会、監査役などに報告するとともに、その是正措置を取らなければなりません。
また、期末までに是正されないで重要な欠陥が残る場合には、内部統制報告書にその内容と、是正されない理由を記載しなければなりません。
内部統制報告書に「財務報告にかかわる内部統制に重要な欠陥がある」と記載することは、決算には重大な誤謬(ごびゅう)の可能性があると公表することですから避けたいですね。避けるためには、期末日までにそれら重要な欠陥を是正しなければならないということになります。
全社的な内部統制に欠陥がある場合には、基本方針や当該業務の組織体制、職務分掌などの規定の整備、情報の伝達方法の見直しなどを図る必要があります。また、業務プロセスに係る内部統制に欠陥がある場合には、当該内部統制が対象としている(実在性、網羅性などの)アサーションごとに、相互チェックの仕組み、システム化、業務手順の再整備やチェックの厳正化を図ることにより、欠陥を是正します。
組織体制の見直しや業務のシステム化など、すぐにはできない是正措置があることを念頭に置いて、内部統制の評価は、期中の早めに実施しておくことが肝要です。
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