米ジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)は1月29日(現地時間)、米国ニューヨークで新製品発表会を開催。同社初となるエンタープライズ市場向けのイーサネットスイッチ「EXシリーズ」3製品を発表した。EXシリーズを投入することで、同社はエンタープライズ向けスイッチ市場へ本格的に参入する。
ジュニパーは、従来から通信事業者やサービスプロバイダ、公共機関など向けにハイエンドスイッチ製品「Mシリーズ」「Tシリーズ」「MXシリーズ」をワールドワイドで2万7000台提供している。今回、EXシリーズを導入することで、ハイエンド市場で培ったノウハウや技術を“ウリ”に、エンタープライズ市場に参入する。
EXシリーズは、同社がキャリア向けコアルータなどで提供しているモジュラー型OS「JUNOS」を搭載したエンタープライズ向けレイヤ3のスイッチ製品。「EX3200」「EX4200」「EX8200」の3製品で構成される。EX3200とEX4200は、10/100/1000BASE-Tを24ポート、もしくは48ポートを備える1Uサイズのレイヤ3スイッチで、アクセスセキュリティ機能や認証機能などを有する。また、全ポートまたは一部ポートへPoE(Power over Ethernet)給電機能を搭載している。
EX4200の最大の特徴は、「バーチャルシャーシー」機能を搭載している点だ。バーチャルシャーシーとは、最大10台のEX4200をバーチャルに統合して、最大128Gbpsに拡張することができる機能。冗長性を確保するため、電源や冷却ファン、ルートエンジンも冗長化されているという。この機能を利用することで、まずはEX4200を1台導入し、その後需要拡大に応じて台数を増やしたとしても、あたかも1台のように管理できるという。
ジュニパーネットワークス AT営業開発本部 本部長 短田聡志氏によると、「スタッカブルハブの帯域では不十分なユーザーのニーズからこの製品は生まれてきた。一般的なリダンダント接続も可能だが、前面にある10GbEポートを使って、距離がある場合でも冗長構成を構築することが可能だ」と説明した。
また、米ジュニパー イーサネットプラットフォームビジネスグループ担当副社長のヒテシュ・シェス(Hitesh Sheth)氏は、「例えば、企業の本社にはEX4200を導入し、支店にEX3200を導入すれば、支店やデータ量が増えて本社のスイッチを拡張しなくてはならなくなった場合でも、容易に拡張できる。これは管理面でもコスト面でも優位だ」とコメントした。
EX8200は、EXシリーズの最上位機種で最大3.2テラビットの処理能力を有するマルチシャーシ型スイッチ。リリースは2008年後半を予定。1.6テラビットの処理能力を有する8スロット型と3.2テラビットの処理能力を有する16スロット型の2機種で構成される。8スロット型の場合は10GbEを最大64ポート、16スロット型の場合は10GbEを最大128ポートまでをサポートする。
EXシリーズのもう1つの“ウリ”は、電力削減やスペース削減などのグリーンIT的な側面での優位性だ。例えば、2500個所のアクセスポートや80GbE分のアグリケーションポートを有し、20個の10GbEバックボーンを利用している会社の場合、伝統的なネットワークシステムと比べて、電力では最大65.7%、スペースでは最大80.5%の削減ができるという。
シェス氏は、エンタープライズ市場への参入について「エンタープライズ市場は、競合他社が多い市場だ。その中に、必ずハイパフォーマンスを要求する企業もいる。まずは金融などから攻めていきたい。ただし、エンタープライズ市場へ浸透するためには、ある程度の時間がかかると思っている」と長期的な視野でシェア拡大を図るとの考えを示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.