米アマゾン子会社の米Amazon Web Servicesは3月27日、Amazon EC2に新たに「Elastic IP」、「Availability Zones」の2つのサービスを追加し、提供を開始したと発表した。Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)はアマゾンが持つサーバ群上で提供されるホスティングサービス。利用するCPUの数やストレージ容量、ネットワーク帯域などを必要に応じてダイナミックに変更できるのが特徴。具体的には、OSやライブラリ、アプリケーションを含むイメージ(AMI:Amazon Machine Image)を作成し、それを同社のオンラインストレージサービス「Amazon S3」上にアップロードする。続いてWebサイトからネットワーク関連の設定を行い、AMIをインスタンス化してサーバを起動する。インスタンスの数はニーズに応じて1つから数千という単位まで増減でき、その変更は数分で完了する。Amazon EC2は、将来の負荷が予測しづらいサービスや、時間や季節による一時的高負荷が発生するサービス、急激に成長するベンチャー企業のサービスなど、必要なリソースを動的に変えるメリットがあるケースで経済的なITインフラを提供する。
今回、新たに加わったのは利用者から最もリクエストが多かった2つの機能という。
Elastic IPは特定のインスタンスに割り振られたIPアドレスを、別のインスタンスに動的に割り当て直す機能。通常の固定IPアドレスと異なり、IPアドレスの割り当て変更で、ネットワーク構成の変更やDNSの設定が不要となり、柔軟性が増す。
Availability Zonesは、インスタンスを稼働させる物理サーバが存在する地域を指定する機能。異なる国や地域にインスタンスを分散して冗長化することができる。地震や火災といったトラブル時のダウンタイムを最小限に抑えられる。Availability Zonesには、アマゾンがオンラインショッピング関連サービスで使っているのと同様のインフラが用いられているという。
Amazon EC2の利用料金は1インスタンスの実行が1時間0.1ドルから。最小構成の「スモールインスタンス」では1.7GBのメモリ、160GBのストレージが利用できる。Amazon EC2が提供するCPUパワーは2007年発売の1.0〜1.2GHzのOpteronに相当する単位「EC2 Compute Unit」で計算され、スモールインスタンスの場合、1ユニットのCPUリソースが割り当てられる。I/O性能が高く、CPUリソースやメモリ容量の大きい「ラージインスタンス」(1時間0.4ドル)、「エクストララージインスタンス」(1時間0.8ドル)も選べる。このほか、データ転送に1GB当たり0.13〜0.18ドルかかる。Elastic IPを使った運用自体は無料だが、IPアドレスが割り当てられていない時間に対して1時間当たり0.01ドルが課金される。また1カ月に100回以上の割り当て変更を行うと、1回の変更につき0.1ドルが課金される。
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