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» 2008年03月31日 00時00分 公開

ITSS V3とUISS V1.2が公開:ITSSは大企業では6割、中小では1割が採用〜IPA

[大津心,@IT]

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は3月31日、ITプロフェッショナルの教育などのものさしとして提供しているITスキル標準の2年ぶりの最新版「ITスキル標準(ITSS) V3」を公開した。あわせて、ユーザー企業におけるITのスキルや知識を体系化した「情報システムユーザースキル標準(UISS)」の最新版V1.2も公開した。

 ITスキル標準とは、IT業界における職種とそれに必要とされるスキルを明確化するために、経済産業省が2002年12月に策定したスキル体系。2006年4月には「ITスキル標準 Ver.2.0」が公表され、今回が2度目の大幅改訂となる。IPAでは、IT人材の“ものさし”としての普及を目指している。

 IPA ITスキル標準センター センター長の丹羽雅春氏は、「ITスキル標準は発表から5年4カ月が経過し、幅広く浸透してきた。調査結果によると、大企業では6割の企業がすでに採用しており、大企業以外の企業を入れても約8割が導入を検討しているレベルにまで普及してきている。一方の中小企業では10%程度しか浸透していない。今後はこの点を強化していく。例えば、地方でITスキル標準を活用した成功例などを紹介して、中小企業にも役立つことをアピールしていきたい」とコメント。ITスキル標準が大企業で浸透してきている一方で中小企業ではまだまだであり、今後力を入れていくと説明した。

松田氏写真 IPA IT人材育成本部 本部長 松田晃一氏

 ITスキル標準 V3の改訂ポイントは大きく分けて3つ。1点目は、従来各専門分野別に分けられていたレベル1〜2の基礎知識部分を共通化し、指標を統一した点。2点目は情報技術者試験との連動した点。3点目は、「コンサルタント」「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」の3職種において、専門分野を見直した点だ。

 1点目の知識の共通化では、レベル1〜2の若い人材においては職種に制限された知識ではなく、幅広い知識が必要だとの判断から共通化した。これにより、キャリアチェンジや専門職への間口が広がったという。2点目の試験との連動では、レベル1が情報処理技術者試験の「ITパスポート試験(IP)」と連動しており、レベル2が「基本情報技術者試験(FE)」、レベル3が応用情報技術者試験(AP)と連動する。「このように試験と連動させることにより、より客観性のある人材評価メカニズムを構築できるようになった」(丹羽氏)とした。今回はレベル1〜3が試験と連動したが、2008年10月にはレベル4の連動も検討しているという。

 3点目の専門分野の変更は、プロフェッショナルコミュニティからの改善提案を受けて実施。コンサルタントでは、得意な産業にフォーカスしている専門家と、得意な業務領域にフォーカスしている専門家という2つの専門分野に再編した。具体的には、専門分野の「パッケージ適用」を廃止したほか、専門分野「BT」「IT」を見直して「インダストリ」と「ビジネスファンクション」へ再構成している。ITスペシャリストでは、専門分野の「分散コンピューティング」を廃止し、「アプリケーション共通基盤」を新設。アプリケーションスペシャリストでは、専門分野の「業務パッケージ」の内容を見直した。

 また、あわせて発表された「UISS V1.2」はユーザー企業における適切な人材配置を目的として、組織や人材に必要となるスキルと知識を体系化したもの。最新バージョンでは、情報システム機能の不足する部分を追加したほか、ITスキル標準との関係を明確化し、新しくなる情報処理技術者試験との整合性を取るために改訂方針を織り込んだ。丹羽氏は、UISSの浸透具合について「250社を調査したところ、まだ10%程度だった。平成20年度にはUISS単独のフォーラムを開催するなど、普及に務めたい」とコメントした。

 また、今後のITスキル標準の方針についてIPA IT人材育成本部 本部長 松田晃一氏は、「いまや、ITがすべての基盤になっていることを考えると、ITスキル標準の重要性は増す一方だ。今回のバージョンアップでは、情報処理技術者試験との連携を強化したが、『試験に合格したら終わり』というものではなく、試験はあくまでもそのレベルの最低必要条件を備えたことを担保するにすぎない。いわば人材像の道しるべとして連携させたものだ。その点をよく考慮して取り入れていってほしい。当面はITSSのアジア展開を計画しており、ベトナムでの採用が決まっている」とコメントした。

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