米MokaFiveは4月7日、デスクトップ仮想化ソリューション「MokaFive Virtual Desktop Solution」のプレビュー版を公開した。仮想デスクトップをイメージ化してUSBドライブなどでユーザーに配布できるのが特徴。組織内で使われる数十から数千のデスクトップを一元管理できる一方、OSやアプリケーションの実行自体はクライアントPCで行うという方式を採用している。現在一般的なVDI(仮想デスクトップ・インフラ)ソリューションは、サーバ上にデスクトップ環境を集約するが、MokaFiveはローカルPCのCPUリソースを活用するという違いがある。仮想デスクトップのイメージは、ローカル側にあるが、セキュリティパッチを適用したイメージを管理者側からプッシュできるなど、MokaFiveはデスクトップ管理のコストを削減できるとしている。
MokaFiveはスタンフォード大学の研究者らが2005年に起業したベンチャーで米国科学財団(NSF)の資金援助を受けているほか、ベンチャーキャピタルの投資を受けている。
現在15の特許を申請中という新しい仮想化ソリューションのコアとなるのは、サン・マイクロシステムズのSunRayにヒントを得たという「LivePC」だ。管理者はまず専用ツールを使って仮想環境にターゲットとなるデスクトップOSをインストールする。OSはWindows、Linux、Solarisなどが選べる。続いてアプリケーションのインストールや設定、壁紙の設定を行い、これを仮想環境とともにパッケージ化。このパッケージをUSBドライブなどで配布し、デスクトップ利用者は、このイメージファイルをローカルPCで起動した仮想環境で実行する。ユーザーは利用中のデスクトップを任意のタイミングで停止し、USBドライブを持ち歩くことでデスクトップ環境を異なるPC上に持って行ける。MokaFiveはMacでもPCでも同様に使うことができる。
LivePCはアプリケーションやOSとデータファイルを区別して保存しており、リブートするたびにOSやアプリケーションはセットアップ時のクリーンな状態となっている一方、ユーザーが作成したデータなどは保持されるという。MokaFiveは、マルウェアやスパイウェアの感染が発覚した場合、デスクトップOSをシャットダウンして再起動するだけでいいと説明している。また、管理者側の端末で「Client Service Management Console」を使えば、クライアント側のアプリケーションやセキュリティパッチを一元管理できる。
こうした仮想デスクトップの配備スタイルは最近「DaaS」(Desktop-as-a-Service)とも呼ばれている。組織内のデスクトップ管理のほか、テスト環境、セキュアなリモートアクセス環境、教育市場向けなどの用途が考えられるという。
MokaFiveでは、ユーザーが作成したLivePCのイメージをホスティングするサービスも提供する。ユーザーが作成したLivePCの中にはLinuxディストリビューションやOSSアプリケーションを含んだデスクトップ環境など広く公開されているものもある。
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