Acrobat 9が登場、Office文書をプレビューできる新機能搭載PDFへのFlashの組み込みも実現

» 2008年06月03日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 アドビ システムズは6月3日、文書作成ソフトウェアの最新版「Adobe Acrobat 9」日本語版を7月上旬に発売すると発表した。PDFだけでなく、複数のオフィスファイルを統合して1つのPDFファイルにまとめる機能を向上させた。アドビは「新しい次元に行けたと思う」と新製品に自信を見せている。

 新しく追加したのはPDFポートフォリオ機能。PDFやWord、Excel、PowerPoint、Flash、動画、オーディオなどのファイルを1つのPDFにまとめることができる機能だが、これまでと異なるのは「iTunes」のCover Flowのようにまとめたファイルを回転させながら閲覧できること。それぞれのファイルはWordやExcelなどのクライアントアプリケーションを立ち上げずに、Acrobat 9と合わせて提供開始する「Adobe Reader 9」だけでプレビューをすることができる。PDFポートフォリオにまとめる各ファイルは、PDFに変換するほかに、WordやExcelなど元のファイルフォーマットのまま格納することも可能。閲覧だけの場合はPDFに変換、編集してほしい場合は元のファイルフォーマットのままと使い分けることができる。

PDFポートフォリオのカバーシート。共有するメンバーにどのファイルを確認するか指示を出すことができる
カバーシートの作成画面

 米アドビのナレッジワーカービジネスユニット シニアプロダクトマーケティング マネージャーの山本晶子氏はPDFポートフォリオの狙いを「いかに相手に読んでもらえる文書を作るかにこだわった」と話した。PDFポートフォリオでは、文書本体のほかに、文書のカバーシートや背景画像、ヘッダを作ることができる。Acrobat 9には整ったデザインのカバーシートなどを作成できる機能も備わっている。カバーシートには閲覧者に対してどのような文書を読めばいいのか指示できるようテキストを埋め込むことも可能。山本氏は「受け取った側がファイルを開いたときに次のアクションが分かり、コラボレーションが容易になる」と説明する。

 PDFポートフォリオはAdobe Reader 9単体でオフィスファイルをプレビューできるなど、従来のPDFの機能を大幅に拡張している。ただ、PDF 1.7を拡張した機能のため、Adobe Reader 7や8、もしくは他社製のリーダーで閲覧するとPDFに対する添付ファイルとして認識される。

米アドビのナレッジワーカービジネスユニット シニアプロダクトマーケティング マネージャー 山本晶子氏

 Acrobat 9はコラボレーションの機能も強化した。WebサイトをキャプチャしてPDFに変換する機能や、動画をFlashに変換してPDF文書に埋め込む機能を追加。Adobe Reader 9がネイティブでFlashをサポートするようになるため、Flashを埋め込んだPDF文書の共有レビューも可能になる。ベータ版として公開している Webのサービス「Acrobat.com」と連携すれば、作成したPDF文書をアップロードしてほかのユーザーに閲覧させたり、ローカル環境でのPDF編集画面をほかのユーザーに見せることができる。Acrobat.com上にPDFベースのフォームを作成して、情報を収集するという使い方もできるという。

 Acrobat 9は機能別の3つのエディションを用意する。「Pro Extended」(Windows対応、アドビストアの価格は8万9565円)は最上位版。ほかに「Pro」(Windows/Mac、5万7540 円)、「Standard」(Windows、3万6540円)がある。エディション間の機能差はアドビのWebサイトで確認できる。アドビストアでの出荷開始、店頭販売は7月上旬から。Adobe Reader 9は7月上旬に提供開始する予定となっている。

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