デルは9月2日、法人向けノートPCのラインアップを一新した。同社としては初めて1kgを切る軽量モデル「Dell Latitude E4200」や、19時間のバッテリ駆動時間を実現した「Dell Latitude E6400」のほか、コストを抑えた「Dell Latitude E5400/5500」、CADや映像編集を行うユーザーを対象としたモバイルワークステーション「Dell Presicionシリーズ」2モデルなど、9モデルを発表した。
「長い時間をかけて(本社と)交渉した」。日本市場ではありふれているものの同社が入り込めなかった1kg以下のモバイルノートPC市場へのモデル投入の背景について、同社クライアント・マーケティング本部 ディレクターの常松正樹氏は、そう語る。「日本のユーザーの要望と、ほかの市場のユーザーの要望の間には違いがある。例えばバッテリ駆動時間の長さなど、日本のユーザーの声が届いていなかった」。同社は日本における法人向けノートPC市場では4番手。「まだ日本市場に機会がある」(常松氏)ことから、今回は日本市場の声を大きく取り入れた。
「現行のDシリーズや、その前のCシリーズとの大きな違いは、今回のEシリーズが日本のユーザーの声を初めて反映したシリーズという点だ」(常松氏)。日本では1kgを切るかどうかでユーザーの受ける印象は大きく異なるが、米国本社では「2.2ポンドというのはピンと来ない」(同)。本体だけでなく、ACアダプタも大幅に小型化した。
Latitude E4200は4セルバッテリ搭載時には約997グラム。バッテリ駆動時間は4〜5時間。6セル時には1.3kgでバッテリ駆動時間は7.5〜8時間となる。12.1インチ、1280×800ドットのディスプレイを搭載。OSはWindows Vistaの各エディションのほかWindows XP Professionalも選択できる。CPUは低電圧版Core 2 DuoのSU9400(1.40GHz)。メモリ1GB(最大4GB)、64GBまたは128GBのSSDを搭載する。光学ドライブは内蔵しない。
Latitude E4200の実売想定価格は30万円台前半で9月中旬に発売する。同じ4000番台の小型モデルとして、13.3インチWXGAディスプレイ搭載のE4300もラインアップする。重量は3セルバッテリ時で1.5kg。
9月の出荷時には間に合わないが、Latitude E4200には新機能「Latitude On」を搭載する予定だ。Latitude Onは電源の切れた状態で、電源ボタンと左右対称の位置に配置された専用ボタンを押すことで起動する。起動すると、あらかじめ設定したExchangeサーバにアクセスし、Outlookを使ったようなメール・カレンダーの閲覧・操作ができる。Latitude OnはOSとしてLinuxを採用。デルが独自に開発したアプリケーションでメールの送受信が可能という。ただし、オフィス文書などの添付ファイルには対応しない。
Latitude Onにはメインプロセッサで起動するモードと、専用プロセッサを搭載したドータカード側で起動するモードの2種類がある。メインプロセッサで起動した場合にはメールの受信のみが可能。
Latitude Onは、メールのチェック程度の作業であれば素早く行うことができ、また省電力にも貢献する。日本市場のように携帯電話でのメール送受信が一般化していない市場向けの機能だ。
日本のユーザーの声として大きかったのはサイズのほかに、バッテリ関連だったという。「バッテリ残量の心配が不要なPCが欲しいという声が強かった」(デル 代表取締役社長 ジム・メリット氏)。
メインストリームのE6400/E6500では標準の9セルバッテリと12セルの大容量バッテリスライス、デル独自のソフトウェア「Dell Control Point」を組み合わせることで19時間のバッテリ駆動時間を実現した。
このほかE6400/E6500ではマグネシウム合金を使ったシャーシ、メタルヒンジ採用などで耐久性を高めた。オプションでSSDが選択可能なほか、落下センサー付きHDDも選べる。また対衝撃構造によりデータ保護性能を高めた。
セキュリティ機能では「Dell Control Vault」を搭載。TPM、指紋認証、スマートカードリーダー、ディスク全体の暗号化などの設定を一元管理できる。
サポート面では2008年2月から開始したプロサポートで、新たにバッテリ交換サービス、HDDデータ復旧サービス、HDDデータ消去サービスを提供開始する。またデータ遠隔消去サービスを提供する予定もあるという。
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