HP Quality Center 10.0が、成果の出るシステム開発を実現「変わり続ける要件にも、柔軟に対応できる」

» 2008年12月11日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 「ユーザーの望む要件は変わり続ける。だが、それでもビジネスの成果につながるITシステムを開発して競争優位に立たなければ、生き残ることはできない。HP BTO softwareなら、それが可能だ」

 ヒューレット・パッカード・カンパニーは12月8日から10日にかけて、オーストリア・ウィーンでイベント「HP Software Universe」を開催した。同社BTO担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのロビン・プロフィット(Robin Purohit)氏は、イベント中の取材において“要件定義の変更が多く、その後の開発工程に支障が出やすい”といったユーザーの課題に対してこのように語り、同社のソフトウェア開発支援製品に対する自信をうかがわせた。

要件定義に変更は付きもの

 周知の通り、システム開発の現場では要件定義が最初にして最大の難関となる。開発の方向性を決定付けるものだけに、開発スタッフにとっては最も明確にしておきたい部分だ。だが、業務環境変化の激しさも手伝い、ユーザー部門には“作りながら考える”といった傾向が強い。その結果、要件定義のあとで仕様変更が発生し、納期の遅延を招くといった事態に陥ることも珍しくない。場合によっては、ビジネスの要件を満たしきれなかったうえ、IT投資効果も思うように得られなかった、というケースも多い。

写真 ヒューレット・パッカード・カンパニー BTO担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのロビン・プロフィット(Robin Purohit)氏

 しかし、プロフィット氏は「たとえ要件が変わっても、しっかりと管理し、確実かつ迅速に開発・運用に反映できる体制が必要。HP BTO softwareを使えば、変わり続ける要求にも確実に対応できる」として、12月8日に発表したHP BTO softwareシリーズの新製品、「HP Quality Center 10.0」の新機能、「ベースライン管理」と「バージョン管理」を紹介した。

 ベースライン管理とは、任意の時点における一連の要件やテスト計画を“基準(ベースライン)”としてキャプチャすることにより、いつでも基準設定時の状態を復元可能とする機能。バージョン管理は、個々の要件やテスト計画に加えられた変更を、履歴(バージョン)として管理し、任意のバージョンの比較・再利用を可能とする。

 これらにより、要件に変更が生じても、当初の要件やテスト計画を随時確認できるほか、既存の要件やテスト計画も再利用できる。そのため作業の変更を最小限にとどめ、あらゆる変更に対して柔軟かつ迅速に対応することが可能になるという。

 「ビジネスの要件に基づいて正しいプランニングを行い、それを基に最小の労力とコストで効率的に開発を進められる体制があってこそ、ユーザーの希望通りのシステムを、納期までにきちんと納めることができる。HP BTO softwareは、開発の現場スタッフからCIO、CEOに至るまで、各階層におけるミッションの実現を大きくサポートする」(プロフィット氏)

アプリケーションライフサイクルは、ビジネスの問題

 ところで、“アプリケーションライフサイクル全般にわたるプロセスの管理、統合”という点で、HP BTO softwareのライバルとなり得るのが、IBMの分散開発プラットフォーム「Jazz」と、IBM Rationalのソフトウェア開発支援ツールだ。Jazzプラットフォーム上でIBM Rationalのソフトウェア開発支援ツール群を連携させることで、さまざまな立場にある開発担当者間のコミュニケーションの円滑化や、開発から運用までに使用する、あらゆる開発リソースの管理、有効活用を支援する。

 これに対してプロフィット氏は、「特にライバルとは認識していない」と回答した。「確かに各種開発支援ツールの連携が可能など、技術的な側面から見ればライバルといえるのかもしれない。ただ、HP BTO softwareの場合、“ビジネス上の成果を挙げるために、開発品質を向上させる”といったビジョンありきで、製品化を進めてきた経緯がある」(プロフィット氏)

 すなわち、“開発支援ツール同士を連携させる”といった技術的な側面からではなく、開発当初からアプリケーションライフサイクル全般を見据え、「各製品に一貫性を持たせて設計している点で、アプローチが異なっている」という。

 「常に“ビジネスの成果を見据える”ことが大切な点で、“アプリケーションライフサイクル”とはシステム開発の問題ではなく、ビジネスの問題と認識すべき。HP BTO softwareはそうした認識に基づいた製品であり、“ビジネスとITの連携を高める”ことを命題としている。HP Quality Center 10.0に“変わり続ける要件”に応えられる機能を持たせたこともその一環だ」(プロフィット氏)

 プロフィット氏はこう述べたうえで、「現在は経済情勢も厳しく、業務環境の変化も激しい状況だが、HP BTO softwareはそうした環境の中でも、確実に競争優位に立てるシステム開発に、大いに貢献できるはずだ」と力説した。

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