アドビ システムズの代表取締役社長に9月に就任したクレイグ・ティーゲル(Craig Tegel)氏は12月18日会見し、パートナーとの連携強化を柱とする2009年の事業戦略を発表した。ティーゲル氏は「何よりも重要なのは顧客との密接な関係を築くこと」と強調し、パートナーと連携してアドビ製品の売り込みを強化する方針を説明した。
「Adobe Acrobat」や「Adobe Photoshop」など製品の知名度は高いアドビだが、顧客企業内で製品を横展開しにくいのが悩みの1つだ。同じ企業でも、Acrobatを導入する部門とPhotoshopを導入する部門は別々というケースが多く、顧客企業内で提案を広げることが難しい。ましてやサーバ製品の「Adobe LiveCycle」は、顧客のビジネスプロセスを深く理解していないと提案すら難しく、効率的な販売はなかなか見込めない。ティーゲル氏が狙うのは製品単体ではなく、アドビ製品全体を顧客に知ってもらうこと。そのためにはまず、顧客と対面するパートナーにアドビ製品を広く知ってもらう必要があると考えているようだ。
ティーゲル氏は「顧客には最初に購入したアドビ製品だけではなく、そのほかの製品と統合して使うことでどのようなメリットが得られるかということも理解してもらいたい」と話し、そのような提案活動を行うパートナーを支援すると説明した。パートナー向けのトレーニングを積極的に開催し、アドビ製品全般に詳しい人材の育成で協力する方針だ。また、LiveCycleについてはパートナーとの共同のソリューション開発も強化する。
会見に同席した米アドビのクリエイティブ ソリューションズ担当 シニア バイス プレジデントのジョン・ロイアコノ(John Loiacono)氏は「アドビはいままでテクノロジの提供者だったが、今後は顧客の戦略的なパートナーになる」と話し、SAPとの協業を強化し、LiveCycleの拡販に力を入れると説明した。
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