「非常によい年だった」。グーグル日本法人のプロダクトマネージャー 倉岡寛氏は12月22日に開催した同社会見で2008年をこう振り返った。グーグル日本法人は今年、ユーザーを一般ユーザー層に拡大するべく、いくつかの施策を行った。その結果が出始めているとの認識だ。
世界では検索シェアトップのGoogleだが、日本ではYahoo!JAPANを追いかける立場。オークションを成功させるなどYahoo!が強すぎるとの声もあるが、「Yahoo!がGoogleより人気の日本、なぜと頭をひねる」との記事もあるように、Googleが低いシェアに甘んじているのは日本市場の不思議の1つだった。
しかし、その流れが少しずつ変わってきたようだ。グーグルが示したNetRatingsのサーチシェア調査(2008年11月)によると、Googleのシェアは41%で、44%のYahoo!との差が縮まってきた。
2009年1月19日追記:ネットレイティングスはこの数値について「弊社のデータ公表する際に必要な、弊社のチェックを受けずに発表されたものであり、一部、公平性に欠ける解釈がある」としている。詳細記事
倉岡氏は「社内データを見てもユーザーは明らかに増えている」と話す。NetRatingsによるとGoogleの検索サービスの利用者数は2008年9月で2106万人(発表資料)。前年同月と比べて17%の増加だった。加えて、Google マップやYouTubeなどすべてのサービスを合わせた総数は前年同月比で19%増の3090万人となっている。
Googleの利用が日本で増えている背景にはいくつかの理由がある。1つは一般ユーザーを意識したマーケティング活動だ。同社は3月に検索トップページをリニューアルし、トップからYouTubeやGmailにアクセスできるようにした。このような施策でユーザーのサービス利用が増えた。4月には著名アーティストがデザインしたポータル画面をユーザーが使うことができる「iGoogle」のキャンペーンを開始した。街角でGoogleをアピールする宣伝活動も始めた。「非検索系サービスの浸透とともに利用者数が大きく増加」(NetRatings)したのだ。
だが、Googleの名が今年、最も知れ渡ったきっかけは、同社に対する批判だった。Google マップの「ストリートビュー」や「マイマップ」機能に対してプライバシー保護の観点から批判が巻き起こった。Web上では抜群の知名度を誇っているGoogleだが、これらの批判に関連して新聞やテレビでの報道が増え、一般ユーザーが増えるという結果になったと見られる。上記NetRatingsの調査によるとGoogle マップの利用者数は2007年9月の399万人が2008年9月には795万人とほぼ倍増している。ストリートビューのプライバシー問題については9月末に米国本社の法務担当者が来日して説明会を開いたが、その後も批判は続いている(参考記事)。
Googleの利用が広がったもう1つの理由は日本のユーザーに合わせたサービスのカスタマイズが進んでいることだ(ストリートビューでは不十分だったかもしれないが)。先日発表した画像共有サービス「Picasaウェブアルバム」の刷新では、WebアルバムごとにURLを示すQRコードを表示するようにした。携帯電話のカメラで読み込んですぐにWebアルバムを開くことが可能だ。このQRコードの機能があるのは現在、日本語版だけという。
また、モバイル向けの検索サービスもユーザーの裾野を広げることになった。携帯電話のインターネットサービスのトップページにGoogle検索を組み込んだことで、一般ユーザーが拡大した。PC向け検索とモバイル向け検索の比率をグーグルは公表していないが、倉岡氏は「モバイル検索の割合はほかの国に比べて高い」としている。同社は「グーグルで初めて」(倉岡氏)というモバイル検索の2008年のランキングも発表した。「今後も日本に適したサービスを提供していく。それによってユーザーを増やしていきたい」(同氏)
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