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» 2009年01月29日 12時00分 公開

“いいとこ取り”して、ERPをもっと生かそうERPリノベーションのススメ(5)(1/3 ページ)

いま、世界同時不況に多くの企業が苦しんでいる。こんなときこそ従来の戦略を見直し、それを支えるシステムを低コストで迅速に整備する必要があるが、その実現のキモとなるのが“作らない”“いいとこ取り”という発想だ。

[鍋野 敬一郎,@IT]

未曾有の金融危機

 北米の金融システムのつまずきから始まった今回の金融危機は、短い期間で世界経済に影響を及ぼし、いまや「100年に1度」ともいわれるほどの不況に陥っています。昨年の秋口から、テレビや新聞は連日のように、自動車やハイテク産業、不動産関連企業の厳しい業績や経営破たんを伝えるニュースで溢れ、株価や外国為替は1週間単位で2割以上もの乱高下を繰り返しました。

 一方、「コストダウンや効率化、生産性向上にはIT活用が有効」といわれていることもあり、IT業界は比較的不況に強いとされてきましたが、今回ばかりはその影響を回避することは難しそうです。最近よく聞くのは、IT投資の先送りや投資縮小、さらにはIT投資自体を中止するという話です。大手IT各社がリストラを行うというニュースも、すでに現実のものとなりつつあります。

 こうした中で、いま多くの企業が直面しているのが売り上げの著しい減少です。急激な市場環境の悪化と先行き不透明な状況から、B to C、B to Bを問わず、顧客が支出を必要最小限に抑えているのです。

 心理的な側面からも、いますぐ必要でないものや大きな投資は控える傾向が強まっています。企業にとっては新規顧客の獲得が難しく、商談期間の長期化や見込み客数の先細りが深刻な状況になっています。

 どうやら今回の景気悪化は、これまでの経験や知識では乗り切れないほどのものなのかもしれません。事業構造、顧客戦略、収益強化策を抜本的に見直す必要がありそうです。

収益性の高い既存顧客を 、もう一度見直してみる

 ところで、マーケティング用語に「1:5の法則」「5:25の法則」というものがあるのをご存じでしょうか。前者は「新規顧客を開拓して販売するためのコストは、既存顧客に販売するためのコストの5倍かかる」、後者は「顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%は改善される」という法則です。

 前者は「同じ金額を支払う顧客でも、新規顧客は販売に対するコストが高く、利益率は既存顧客の方がよい」ということを意味しており、後者は「顧客の維持率を改善すれば、利益はその5倍改善される」といったことを表しています。この2つの法則から得られる答えは、「同じコストなら、既存顧客の維持に掛けた方が利益は向上する」ということです。

 これらは“法則”といっても、俗説に近いものではありますが、CRMシステムの商談では、ときどきこうした論拠に基づいた提案を目にすることがあります。しかし実際には、「新規顧客獲得の営業支援にCRM/SFAを使う」というケースの方が多く、「既存顧客へのアフターセールスを強化する」という取り組みは、複写機のサプライビジネスや、自動車ディーラーにおける車検・修理サービスなど、限られた分野で行われるケースが多いようです。

 しかし現在の経済環境を考えると、むしろこのようなアフターセールス重視のビジネス、既存顧客維持のためのビジネスこそ、着実な売上確保、収益確保が見込めるのではないでしょうか。

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