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» 2009年02月03日 12時00分 公開

目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(22):ライバルにアドバイスをもらうずうずうしさも必要だ (4/5)

[那須結城, 石黒由紀,@IT]

加藤と伊東の思いがけない出会い

 それはおよそ1年前。加藤が総務部に用があって行ったときのことだ。

 加藤が総務部にあまり慣れていないために周りを見回していたところ、小柄な伊東がコピーした紙を抱えて通り過ぎようとしていた。しかし、伊東は大量の紙を抱えていて前が見えなかったらしく、加藤とぶつかってしまったのだ。

伊東 「ご、ご、ごめんなしゃーい!!」

 わたわたと散らばった資料を集める伊東に対して、加藤もしきりに謝った。しかし、伊東は慌てるあまり、加藤の言葉があまり耳に入っていないようだった。

河島 「いいんですよ! こんなドン臭いヤツ、放っておいてください。それより、総務部にご用ですか?」

 いつのまに現れたのか、2人の男性が加藤に近づいてきていた。伊東はまだ紙を拾っている。加藤は床にひざをついたまま顔を上げ、話し掛けてきた2人を見た。

加藤 「すみません。広報の加藤と申します。最近、社内電話帳のデータに間違いが多くて、内線をかけてもなかなかつかまらない人がいるのです。そうなると、転送、転送のたらい回しで皆さんに迷惑をかけるし、こちらも困ってしまって……。そこで、電話帳システムのデータは総務部の管轄だと聞いて伺った次第なのですが……」

 総務部の2人は顔を見合わせた。自分の担当以外のことは分からないらしい。そのとき、伊東が初めて声を出した。

伊東 「あ、あ、あの〜、それって9階から11階のフロアの話じゃないですか? あそこ、最近大きな席替えがあったんですよ。2週間ぐらいにわたって、順番に少しずつ移動したんです」

村田 「なんだお前、よく知ってるな〜」

伊東 「先輩たちが、引っ越しの手伝いに行ってこいっていったんじゃないですかぁ」

 そういいながら伊東がにらんでも、2人は涼しい顔をしている。すると、伊東はあきらめつつ、話を続けた。

伊東 「あの後、荷物を届けに行ったんですけど、届け先の人が見つからなくてあちこち回ったんです。あ、あ、あの、大変ですよね。すぐに人が見つからないのって。僕、荷物届けるために2時間ぐらいウロウロしちゃったから、よく分かりまっしゅ!」

 下を向いたまま一気に話していた伊東は、そこで初めて加藤の顔を見た。しかし、加藤がにっこりしたのが分かると、真っ赤になってまたうつむいてしまうのだった。

河島 「ああ、お前、よくパシリに使われてるもんな〜。でも、原因が分かっても、どうにもならないだろ。加藤さんの悩みを解決するには、どうすりゃいいんだよ」

 偉そうに見下ろす2人に、伊東は再度顔を上げた。

伊東 「社内電話帳のデータは、基本的に自分で変更してもらうことになってますけど、総務部にも管理者権限を持っている人はいるんです。でも、今日は不在だし、変更しないといけない人数が多過ぎますよね。なので、直接移動した部署にお願いしに行った方が早いんじゃないかと思います。えーと、ちょうどこの資料を届けないといけないところだし、偉い人は知らないけど、荷物の届け先を探すときに親切に教えてくれた人を何人か覚えてるんで……。僕、いま行ってきますよ!」

 小さく会釈してきびすを返す伊東に、加藤が声を掛けた。

加藤 「あ、私も行きます!」

 そして、加藤は伊東のおかげで引っ越した社員たちと連絡が取れ、無事問題は解決した。

 加藤はお礼をといおうと思っていたのだが、伊東は加藤の用事が済むのを見届けると、「ぼきゅも仕事があるので! お先に失礼しまっしゅ!」と恥ずかしそうにいいながら、すぐにいなくなってしまったのだ。加藤もその後仕事に忙殺されており、そのときの礼をいえないまま現在を迎えていた。

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