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» 2009年03月12日 00時00分 公開

2009年はプライベート・クラウド元年:IBMがプライベート・クラウド支援、“社内Amazon EC2”実現へ

[垣内郁栄,@IT]

 日本IBMは3月12日、企業が社内で利用するクラウド・コンピューティング環境の構築支援を開始すると発表した。米アマゾンや米グーグルが提供するパブリック・クラウドとは異なり、社内のシステムとリソースを活用し、社内向けにITリソースを提供する「プライベート・クラウド」を実現するための各種サービスを提供する。

 プライベート・クラウドは社内データセンターのITリソースを統合し、新しいビジネスやシステムに対して、迅速かつ柔軟にITリソースを提供できるようにする。データセンターの運営はできるだけ自動化し、運用管理コストも下げる。これまでのデータセンターは手作業の運用が多く、新ビジネスの立ち上げなどでIT環境を新しく用意するために時間がかかることが多かった。

日本IBMの執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏

 日本IBMの執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏は「2014年にはIT投資の66%がクラウドに向けられるとの調査もある。エンタープライズ内部のクラウドは大きな市場になる」と期待を示す。IBMはこれまでパブリック・クラウドの構築支援に力を入れてきたが、社内では3000人の研究者を対象にプライベート・クラウド「IBM Research Compute Cloud」(RC2)を運営してきた。典型的なIT環境やITサービスがイメージとして用意されていて、研究者はIT部門に依頼することなく、セルフサービスで自分の研究に必要なIT環境を構築できる。

 日本IBMの未来価値創造事業 クラウド・コンピューティング事業推進 部長の三崎文敬氏は「RC2はIBM社内にあるAmazon EC2」と説明。IBMが支援する企業のプライベート・クラウドでも同様のことができると話した。「Amazon S3やセールスフォースのForce.comのようなこともほとんどできる」(岩野氏)という。

クラウド・コンピューティングついてのIBMの取り組み
IBMが考えるクラウド・コンピューティングの構造

 IBMが提供開始するのはクラウド構築のビジネス・コンサルティングとテクノロジ・コンサルティング、設計/構築サービスの3つだ。ビジネス・コンサルティングは、プライベート・クラウドの構築で実現できるコスト削減効果やITサービスの柔軟性向上について分析し、顧客企業が採るべきクラウドの全体像を示す。そのうえで構築までのロードマップ作成を支援する。最短3カ月のコンサルティングを行う。価格は2500万円から。

 テクノロジ・コンサルティングは顧客企業のIT環境内でクラウドを適用するエリアを策定し、既存ITサービスをクラウド環境で実現するための戦略とロードマップ作成を支援する。最短1カ月半で行い、価格は700万〜800万円から。

 また、クラウドの設計/構築サービスは、プライベート・クラウド上で利用できるITサービスのカタログ作成を支援する。そのためのテンプレートを提供し、ユーザーインターフェイスの設計と開発を行う。ITサービスを標準化し、運用も自動化することでIT部門のコスト削減につなげる。開発期間は最短で4カ月。価格は3000万円から。

 三崎氏によるとIBMにはすでにプライベート・クラウドに関心がある企業からの問い合わせが来ているという。顧客企業の要望は2つあり、1つは研究開発やソフトウェア開発向けに、IT環境を素早く構築するためにクラウドを使いたいという要望。もう1つはデータセンターの最適化に合わせてクラウド環境を社内に構築し、運用管理を効率化していきたいという要望だ。岩野氏は「クラウドは企業にとって魔法の杖だ。現実のコスト削減につながる」とメリットを強調している。

 プライベート・クラウドの構築支援については日本ヒューレット・パッカードも参入を発表(参考記事)。マイクロソフトも「Windows Azure」のデモンストレーションを国内で行うなど(参考記事)、クラウドへの取り組みを加速させてきている。クラウドはパブリック分野が先行したが、2009年はその波が企業のデータセンターに及ぶことになりそうだ。

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