いよいよMSもユニファイドコミュニケーションに本腰Microsoft Office Communications Server 2007 R2を発売

» 2009年04月20日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 マイクロソフトは4月20日、ユニファイドコミュニケーション製品の最新版「Microsoft Office Communications Server 2007 R2 日本語版」(以下、OCS R2)を5月1日から発売すると発表した。2007年11月に提供開始した「Office Communications Server 2007」(以下、OCS)の音声機能を強化した製品であり、デスクトップ上で着信に対応し、目的とする相手先の在席情報を確認して転送するといった通話管理機能や、電話会議、ビデオ会議機能などを搭載し、「業務効率を大幅に向上させられる」という。

 大きな特徴は3つ。1つは通話管理のための新しいツール「アテンダントコンソール」を用意したこと。着信があるとアテンダントコンソール上に着信情報が表示され、それをクリックするだけで通話ができるほか、目的とする受信者の在席情報を確認し、受信者のアイコンをクリックすることで転送ができる。

 代理応答を許可する委任機能も持つ。例えば、部署のマネージャなどが代理対応をするアシスタントを指定しておけば、「どの着信にどのアシスタントが対応しているか」といった情報がマネージャのデスクトップに通知され、電話の一次応対やその取り次ぎを確実に任せられる環境が整うという。

写真 通話管理のための新しいツール「アテンダントコンソール」のUI。電話が掛かってくると左カラム上段に相手先情報が表示され、通話状態に入ると、写真のように左カラム中段に相手先情報が移行し、通話終了とともに下段に記録が残る。画面右半分は社内スタッフの在席情報。

 2つ目は、電話会議などの際、会議の参加者間で同じデスクトップ画面を共有できるデスクトップ共有機能。Webブラウザベースのビューアのため、社外のPCやMacintosh、Linuxなど、PC環境に左右されることなく利用できる。そして3つ目は、Windows Mobile端末を利用してOCS R2の機能を利用できること。会社で使用しているのと同じ電話番号を使ってシステムにアクセスし、社員の在席情報を確認したり、インスタントメッセンジャーを利用することができる。

写真 電話会議などの際に重宝するデスクトップ共有機能の画面イメージ。同じ画面を見ながら会話ができる。

 マイクロソフトの業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏は「現在は、電話、電子メール、インスタントメッセージングなどあらゆるコミュニケーションツールがあるが、従来はこれらを別々のシステムとして、状況に応じて使い分けてきた。しかし、電話をしてみて相手が出なければ電子メールを送る、といったようにそのアクションには無駄が発生していた。その点、複数のコミュニケーションツールを一元管理できるUCは業務効率向上に大きく寄与する。特に厳しい経済環境の中で、コスト削減が重視されているいま、あらためてUCへの注目が高まっている」と解説した。

写真 マイクロソフトの業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏。「OCSは拡張性にも優れ、あらゆる業務アプリケーションへの組み込みも容易」と使い勝手のよさをアピールした。

 OCSの導入事例も紹介した。飲料メーカーのキリンは、プレゼンス(在席確認)機能とIP電話網の連携によって電話の取り次ぎ時間を削減できたとして年間7億円、ジュピターテレコムもWeb会議機能の導入により、導入前の同月比で出張コストを約20%削減できたと試算している。マイクロソフトも導入しており「年間、212億円以上コスト削減している」という。

写真 楽天のグループ情報システム部情報システム課 課長の塩谷克利氏

 2005年から企業向けインスタントメッセージング/プレゼンスサーバ「Microsoft Office Live Communications Server 2005」(以下、LCS)を使ってきた楽天も、現在OCSの導入を予定しており、「OCS、IP電話、携帯電話の一元化による、より確実なコミュニケーションの実現や、映像会議の多用による出張コスト削減などを期待効果として見込んでいる」(楽天のグループ情報システム部情報システム課 課長の塩谷克利氏)という。

写真 NTTコミュニケーションズ 理事 ブロードバンドIP事業部長 高瀬哲哉氏

 なお今回、マイクロソフトはNTTコミュニケーションズとパートナーを組み、OCSとNTTコミュニケーションズの企業向けIP電話ソリューションである「.Phone IP Centrex」を組み合わせた「.Phone Collaboration with Microsoft Office Communications Server」を今年8月から共同で提案していく予定。

 既存音声設備のIP化による通信関連コストを削減、プレゼンス機能によるコミュニケーションロスの低減など、UCの実現基盤から生産性向上というメリットまで、「ワンセットで提供し、ともに企業のコスト削減、効率化を目指して連携していく」という。

 OCS R2の販売目標は非公開。価格体系はライセンスベースで「100名規模の場合、200〜300万円が1つの目安になる」という。

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