いまさら追加された「内部統制Q&A」のポイントSOX法コンサルタントの憂い(14)(2/4 ページ)

» 2009年05月13日 12時00分 公開
[鈴木 英夫,@IT]

重大な欠陥の判断基準

【問71】有価証券報告書の訂正報告書の提出と内部統制報告書

(問71) 財務報告に係る内部統制は有効である(重要な欠陥がない)と記載した内部統制報告書を、有価証券報告書と併せて提出した後に、財務諸表に記載した数値に誤りがあったとして有価証券報告書の訂正報告書を提出することになった。この場合、「重要な欠陥」がないと記載した内部統制報告書についても、併せて訂正報告書を提出しなければならないのか。

(答え抜粋) 1.内部統制報告制度の対象とする内部統制は、(連結)財務諸表を中心とした財務報告が法令などに従って適正に作成されるための体制である。

2.従って、有価証券報告書の訂正報告書が提出されたことをもって、直ちに連動して「財務報告に係る内部統制に重要な欠陥がないと記載した内部統制報告書」について、訂正報告書を提出しなければならないということにはならない。ただし、有価証券報告書の訂正報告書を提出する原因となった誤りを検討し、当該誤りが内部統制の評価範囲内からの財務報告に重要な影響を及ぼすような内部統制の不備から生じたものであると判断される場合には、当該内部統制報告書についての訂正報告書の提出が必要になるものと考えられる。

3.なお、適切に決定された評価範囲の外から重要な欠陥に相当する事実が発見された場合には、内部統制報告書に記載した評価結果を訂正する必要はないと考えられる。

◆筆者の分析

これも決算短信の修正と本質的には同じ考え方ですね。あくまでも、「その誤りに至るプロセスの内部統制に重要な欠陥があるかどうか」の評価を問うものです。しかしながら、有価証券報告書が「法律の要求している法定情報開示」であるのに対し、決算短信は「証券取引所の要求する開示」であることから、その重みは幾分異なるかもしれません。


【問75】重要な欠陥の判断(売掛金の残高確認)

(問75) 監査人が期末日を基準として実施した売掛金の残高確認において、得意先への売掛金の照会(確認状)に対する回答額と帳簿残高に差異があった。監査人から当該事実は重要な欠陥であると指摘を受けたが、直ちに重要な欠陥であると判断しなければならないのか。

(答え抜粋) 1.監査人が行った残高確認において、回答額と帳簿残高に差異があった場合、会社がすでにその原因を解明したうえで差異の調整を実施し、適切な残高に修正している場合には、会社の内部統制は有効に機能していると判断できるものと考えられる。

2.一方、監査人が行った照会(確認状)による差異について、会社が当該差異の原因を明らかにできない場合や、適切に差異の調整を行い残高の修正を行わないような場合には、内部統制上の不備によるものとして、重要な欠陥となり得る場合があると考えられる。

◆筆者の分析

要するに、差異がある場合に「会社内部で自律的にその修正を行えるようなプロセスが機能しているかどうか」が問題なのです。


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