SAP、垂直統合と横連携を強化したEPM新バージョンNetWeaverやBusinessObjectsとの連携を強化

» 2009年10月07日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAPジャパンは10月7日、企業の経営管理を実現するためのEPM(Enterprise Performance Management)ソリューションの最新版「SAP BusinessObjects EPM7.5」(以下、EPM7.5)の出荷を開始すると発表した。最新バージョンでは、SAPのNetWeaverやERPなど各ソリューションとBusinessObjects製品との連携を強めたのが特徴。

 EPM7.5は、経営管理に必要なさまざまな機能をまとめたEPMソリューション。旧BusinessObjects製品や旧アウトルックソフト製品など、SAPが買収した6つの製品群をERPとして統合した。最新バージョンの7.5では、SAP NetWeaverなどのSAP既存製品との垂直統合や、Crystal ReportsなどBusinessObjects製品などとの横連携機能を強化した。SAP既存ユーザー向けにはNetWeaverとの連携を強化したバージョンを、NetWeaver非ユーザー向けにはMicrosoft SQL Serverを組み合わせることでNetWeaver環境がなくても利用できるバージョンを用意した。

EPM概要イメージ EPM7.5の概要イメージ図。下部分のNetWeaverやERPとの垂直統合を実現し、BIやレポーティングツールとの横連携も強化したという

 SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 副本部長 桐井健之氏は、「EPM7.5は当社が合併した会社の製品を多く含んでいる。それらのユーザーの中には、SAP ERPやSAP NetWeaverユーザーでないものも多くいる。従って、それら非SAPユーザーにも利用してもらえるようにした。もちろん、NetWeaverユーザーであれば、NetWeaverからEPMまで垂直統合でシステム構築でき、個別につなげるプログラムなども必要ない。また、今回のバージョンでは、ほかのBusinessObjects製品などとの横連携機能を強化した点も特徴だ。つまり、横と縦両方向の強化を図っている」と説明した。

 具体的にEPM7.5は、利益とコストを管理できる「SAP BusinessObjects Profitability & Cost Management 7.5」(PCM)、連結会計をサポートする「SAP BusinessObjects Financial Consolidation 7.5」(FC)、親子会社間のデータ統合やコミュニケーションロスを防ぐ「SAP BusinessObjects Intercompany 7.5」(IC)、企業戦略管理ができる「SAP BusinessObjects Strategy Management 7.5」(SM)、他社製品を含めたさまざまなソースからデータを収集してくる「SAP BusinessObjects Financial Information Management 7.5」(FIM)、予算・計画管理を実現する「SAP BusinessObjects Planning & Consolidataion 7.5」(PC)の6つのモジュールで構成されている。

 例えば、コストやキャパシティ管理であればPCMで主に管理しつつ、PCにデータを渡して計画をサポートする。また、KPIや目標設定であればSMで基本的に管理してPCと連携する、といった形だ。PCとFCなどはICによってデータ連携し、FIMはNetWeaverや他社製品からデータを収集するETL機能を持つ。

 桐井氏はEPM7.5の販売戦略について、「SAP Business Suiteを利用中のユーザーには、ぜひEPM7.5の垂直統合による機能強化を享受してほしい。また、既存のSAPユーザー以外であっても、“経営管理領域を強化したい”というニーズを持ったユーザーには、BIツールやレポーティングツールとの密な連携を可能にしたEPM7.5を活用してほしい。具体的には『IFRS適用に向けて連結経営管理を強化したい』『グローバル競争に勝つためにグローバルな見える化を図りたい』『環境の変化の早さに対応するために予算・計画管理プロセスを進化させたい』といったニーズを持ったユーザーが対象だ」と説明。そのためにはパートナー戦略も「EPM領域は、従来とは違ったパートナーが必要。EPMは終わりのない世界なので、豊富な実績やノウハウを持ち、EPM分野に専門・特化したパートナーが必要。今後、これらのパートナーとの連携を強化していく」といった変更が必要になるとした。

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