マイクロソフト、MS Project 2010から“Office”を外した理由Visio 2010はSharePointとワークフロー連携を実現

» 2009年11月09日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 マイクロソフトは11月9日、報道関係者向けの記者会見を実施。2010年上半期にリリース予定のプロジェクト管理ソフト「Microsoft Project 2010」、描画ツール「Visio 2010」の概要を説明した。説明を行ったマイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 部長 吉村徹也氏は、「今回から製品名から“Office”を取った。これは、OfficeブランドがExcelやWordを中心とした“Officeスイート”のイメージが強くなったためだ。もちろんProjectもExcelなどとの連携は引き続き強化していくが、SharePointを中心としたエンタープライズ製品色を強く出すためにOfficeブランドを外した。今回特に注力したのが、操作性の向上だ。また、クラウド時代に合わせ、オンプレミス型とオンライン型の2種類を用意している」と同製品の特徴を説明した。

ポートフォリオ機能やSharePoint Serverとの連携を強化したProject 2010

吉村氏写真 マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 部長 吉村徹也氏

 マイクロソフトのProjectは25年の歴史を持つプロジェクト管理ソフトウェアで、現在1万社、2000万人のユーザーを持ち、マイクロソフト製品群で第6位の売上高を誇るという。新製品の「Project 2010」では、office 2007で好評だったリボンUIを採用しているほか、Excelライクなユーザーインターフェイス、ガントチャートからタイムラインを出せるようになった。また、SharePoint Server 2010との連携を強化しているほか、従来は独立していたポートフォリオ管理ソフト「Portfolio Server」を吸収統合した。Project 2010は、2009年11月からベータ版の提供を開始し、2010年上半期に出荷開始する予定。

 Project 2010は、サーバ機能を持つ「ProjectServer 2010」とクライアント側の「Project 2010」で構成される。ProjectServer 2010は、企業で実施されているプロジェクトのハブになることを想定したソフトウェアで、プロジェクトの起案・稟議から承認、メンバーのアサイン機能などを統合する。マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 相場宏二氏は、「企業における予算配分はポリシーが不明確な企業が大部分。声が大きい部長がいる部署が多く予算を取っていたりする。また、プロセスが不明確で、鶴の一声ですべてがひっくり返ることもある。これを可視化し、管理するためにPortfolio Serverの機能を完全に統合した。Project 2007では別製品でさらに日本語化されていなかったが2010では日本語で利用できるうえに、完全にProjectServer 2010に統合された」と説明した。

プロジェクト画面イメージ ProjectServer 2010の画面イメージ。新たに統合されたPortfolio Serverの機能を利用すれば、予算管理もプロジェクト進行管理とあわせて行うことができるようになった

 また、「わざわざProjectServerを導入するにはハードルが高い」というユーザー向けに、中規模なプロジェクト向けに管理機能を提供する「ワークグループモード」を用意した。これは、ProjectServerを用意せずとも、「Windows Server SharePoint Services(WSS)」とクライアント側の「Project 2010」を連携させることで、中規模なプロジェクトの管理ができるというもの。具体的には、ガントチャート連携や計画の共有、タスクの管理、要員のアサインなどができる。

SharePoint Serverのワークフロー機能との連携を実現したVisio 2010

 ビジネス向けのグラフィックソフト「Visio 2010」も機能が一新された。強化されたのは「操作性」「プロセスマネジメント」「Visio Service」の3点。

 操作性では、office 2007などで採用された「リボンUI」を導入した。このほか、いくつか操作上の改良を加えることで、「実際にVisioに精通したものがワークフローを作るテストを実施したところ、Visio 2007で21.51秒かかっていた作業が、Visio 2010では15.12秒で作れた。これはリボンUIの採用だけでなく、ユーザーからの声を多く採用した結果でもある」(相場氏)と強調した。

 プロセスマネジメントでは、Visioで作ったワークフローをSharePoint Server 2010と連携させることを可能とした。例えば、出張稟議用のワークフローをVisioで作った場合、そのワークフローがSharePoint Server上で実行できるようになる。「『VisioでSharePoint のワークフローを作成したい』というニーズが従来から多くあった。これをようやく実現することができた。これにより、ワークフロー作成が格段に楽になったはず」(相場氏)と説明した。

 また、Visio ServiceではVisioの画面を発行し、Webブラウザ上などでの閲覧が可能になった。これは「Visioの画面をSharePoint上で表示・共有したい」というニーズに応えたもの。また、各種データソースとの連携も可能になり、ExcelやAccess、SQL Serverなどのデータソースのデータを、Visio画面で関連付けることでデータベースとVisioとの連携を可能にした。このデータをSharePoint Serverと連携させることもできる。

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