ユーザー企業はUISSで人材育成できるのか間違いだらけのIT人材育成(2)(1/3 ページ)

UISSはユーザー企業における情報システム人材の育成を目指した標準だ。しかし、導入企業はまだ少なく、ユーザー企業のIT人材育成に効果を発揮しているとはいえない状態だ。今回はUISSの現状を確認したうえで、導入が進んでいない原因を追究し、解決の道を検討する。

» 2010年03月16日 12時00分 公開
[井上実,@IT]

 UISS(情報システムユーザースキル標準:Users' Information Systems Skill Standards)は、ユーザー企業における情報システムに携わる人材育成を目的に、2006年6月に情報処理機構(IPA)、日本情報システムユーザー協会(JUAS)、経済産業省からVer1.0がリリースされた後、さらに改訂が行われ、最新版は2009年3月に公表されたVer2.1である。

 しかし、まだ導入している企業は少なく、ユーザー企業のIT人材育成に効果を発揮しているとはいえない状態である。ここでは、UISSの現状を確認したうえで、導入が進んでいない原因を追究し、解決の道を検討してみる。

UISSの現状

 IPAの調査によると、UISSを導入している企業はわずか3.3%であり、導入を検討している企業も9%しかない(図表1参照)。Ver1.0がリリースされてから、まだ3年と経過期間が短いということを考慮しても、あまりにも低い普及率だ。

ALT (図表1)ユーザー企業におけるUISSの利用状況
(出典)『IT人材白書2009』(IPA IT人材育成本部編、オーム社、P98)

 これは、ユーザー企業のIT人材育成に対するニーズが低いということだろうか。同じIPAの調査の中で、ユーザー企業のIT人材に対する量と質の過不足感を調べているものがある。その結果を見ると、人材の量が「大幅に不足している」という企業は22.7%であるのに対して、質は31.8%の企業で「大幅に不足している」と感じている(図表2参照)。ユーザー企業において、質の向上を目指したIT人材育成ニーズは顕在化している。

ALT (図表2)人材の量と質の過不足感
(出典)『IT人材白書2009』(IPA IT人材育成本部編、オーム社、P90) 

では、なぜ、そのツールであるUISSの導入は広がらないのだろうか。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ