UISSはユーザー企業における情報システム人材の育成を目指した標準だ。しかし、導入企業はまだ少なく、ユーザー企業のIT人材育成に効果を発揮しているとはいえない状態だ。今回はUISSの現状を確認したうえで、導入が進んでいない原因を追究し、解決の道を検討する。
UISS(情報システムユーザースキル標準:Users' Information Systems Skill Standards)は、ユーザー企業における情報システムに携わる人材育成を目的に、2006年6月に情報処理機構(IPA)、日本情報システムユーザー協会(JUAS)、経済産業省からVer1.0がリリースされた後、さらに改訂が行われ、最新版は2009年3月に公表されたVer2.1である。
しかし、まだ導入している企業は少なく、ユーザー企業のIT人材育成に効果を発揮しているとはいえない状態である。ここでは、UISSの現状を確認したうえで、導入が進んでいない原因を追究し、解決の道を検討してみる。
IPAの調査によると、UISSを導入している企業はわずか3.3%であり、導入を検討している企業も9%しかない(図表1参照)。Ver1.0がリリースされてから、まだ3年と経過期間が短いということを考慮しても、あまりにも低い普及率だ。
これは、ユーザー企業のIT人材育成に対するニーズが低いということだろうか。同じIPAの調査の中で、ユーザー企業のIT人材に対する量と質の過不足感を調べているものがある。その結果を見ると、人材の量が「大幅に不足している」という企業は22.7%であるのに対して、質は31.8%の企業で「大幅に不足している」と感じている(図表2参照)。ユーザー企業において、質の向上を目指したIT人材育成ニーズは顕在化している。
では、なぜ、そのツールであるUISSの導入は広がらないのだろうか。
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