UISSが普及しない原因の1つに、UISSの構造上の問題がある。
UISSでは、人材像を議論する前に、ユーザー企業における情報システムの全体像を明らかにするためのタスクフレームワーク(図表3参照)、タスク概要、機能・役割定義が作られており、これらの機能・役割を果たすのに必要なスキルを明らかにしたうえで、人材像が作られている。
人材像とタスクとの関連(図表4参照)を見ると、タスクに対して複数の人材像が主たる領域として割り当てられているものはなく、ITSSのような同一フェイズに複数の職種、人材像が必要とされていることはない(図表5参照)。タスクとフェイズという捉え方の違いがあるが、UISSの方が整理されている印象を受ける。
一方、タスクとの関連で人材像を整理したために、人材像の数が多くなり、10種類の人材像がUISSでは定義されている。ここまでの人材像を必要とする企業はほとんどないだろう。もちろん、自社の情報システムの機能・役割を定義したうえで、取捨選択して人材像を定義していけばよいのだが、数が多いとITSS同様に人材像を組み合わせて、再定義する必要が出てくる。再定義は取捨選択と比較すると作業量が増加し、導入を困難にする。
人材像がタスクとほぼ一対一対応でありながら、タスクのくくりが細かなものしかなく大きなくくりがないことが、UISSの導入を困難にしている1つの原因である。
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