管理コスト削減のキモとなる構成管理DBを学ぶコスト削減時代の資産管理(1)(2/4 ページ)

» 2010年04月20日 12時00分 公開
[武内 烈(株式会社コア),@IT]

構成管理DBのアーキテクチャとは

 IT資産管理の構成管理DBでは、物品の現物に対して、「属性情報」「人事情報(人、所属部署、場所)」「ソフトウェア資産」「購入額やリース・レンタル料」「契約(リース・レンタル、保守、保険)」などが一元的に管理され、それぞれの関係性がひも付けられて管理されている(図1参照)。

ALT 図1 IT資産統合管理のイメージ

 さらに、全体最適化を考慮すると、PCプラットフォームに限らず、ネットワーク機器、サーバ、ストレージ、ソフトウェアなどのIP機器はもとより、非IP機器も含めたITサービスを構成する全構成資産を管理対象としなければならない。

ALT 図2 IT資産管理の対象サービス

 今回はその中でも、PCに特化した解説をする。例えば、構成管理DBに必要となるPCインベントリ収集の項目を挙げると以下のようになる。

PCのインベントリ情報として必要な項目

  1. シリアル番号
  2. MACアドレス
  3. インストールソフトウェア情報
       ソフトウェア名
       シリアル番号
       ライセンスIDなど

 本連載の第2回で詳しく解説する「ソフトウェア資産管理(SAM)」では、インストールされているソフトウェアの購入証明が最終的に必要となるため、インストールされているソフトウェアと購入したソフトウェアの突合を可能とする情報収集が必要だ。

 しかし、インベントリ収集ツールの中には、この必要とされる情報の取得や管理ができていないツールも少なくない。このため、ソフトウェア資産管理を実現するためには、まず対象となる情報の取得や管理、および最終的な突合などについて、「ISO/IEC 19770(ソフトウェア資産管理)」を考慮・準拠している製品を選択することが前提条件となる。

 そして、PCのユーザー(使用者)とPC個体をひも付ける仕組みが必要だ。

 例えば、PCの使用者が自分が使用しているPCの画面から、「所属部門」や「社員番号」などの個人を特定する情報と、「PCを一意に特定する情報(例えば、MACアドレスやシリアル番号。ただし、シリアル番号はメーカー修理などによりBIOSのリセットによって、BIOS情報から削除さる場合があるため完全ではない)」をひも付けられなければならない。

 PCの資産管理としては、資産管理番号など一意の管理番号を割り当てるほか、そのPCにひも付く「属性情報」として、「インストールソフトウェア情報」などを管理する。

 また、PCとは別の資産として管理されている「購入ソフトウェアライセンス」の資産管理番号と、そのPCにインストールされているソフトウェアとのひも付けを実施・突合することで、購入ライセンス数の過不足を管理することもできる(実際には、一意に特定されるPCとユーザー、インストールされているソフトウェア情報および当該ソフトウェアの購入されたソフトウェアライセンスの資産情報、同ソフトウェアの構成要素である購入を証明する証明書やメディアなどがすべてひも付けて管理され、それが証明されなければ、ソフトウェアメーカーの監査に対応できない。詳しくは次回で解説する「ソフトウェア資産管理(SAM)」を参照してほしい)。

ALT 図3 構成管理DBの利用イメージ

 構成管理DBで管理対象となる情報は、大きく分けると以下のように「人、モノ、カネ」である。

  1. 資産
  2. コスト
  3. 契約

 これら「人、モノ、カネ」の情報の関係(リレーション)が管理され、関係各部門の役割(ロール)や職務内容(タスク)によって、多次元的に利用できる構成管理DBがあって、初めてライフサイクル管理が可能となるのだ。

 そのため、構成管理DBで管理する異なるデータテーブルにおける「データ項目の関係(リレーション)」は、ロールやタスクを考慮したひも付けが設計されていなければならない。

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