ニュース
» 2010年04月28日 00時00分 公開

アダプティブ・プランニング、BPM製品の拡販に注力:「安いSaaSで、高収益につながる予算編成を」

[内野宏信,@IT]

 予算編成・管理を支援するBPM(ビジネス・パフォーマンス・マネジメント)製品の開発・販売を手掛ける米アダプティブ・プランニングは、2009年12月からBPM製品「Adaptive Planning 6.5」のSaaS提供を日本でも開始している。「メインターゲットは中堅・中小企業」としているが、同社がそのポイントに焦点を据えた理由はどこにあるのだろうか。来日した同社CEO ウィリアム A.ソワード(William A.Soward)氏に、日本の中堅・中小企業における予算編成・管理の課題について、詳しく話を聞いた。

Excelベースの予算編成はスピード、コストなどに問題が……

 市場環境がめまぐるしく変わる近年、企業には迅速な意思決定と、精密かつスピーディな予算編成が求められている。だが多くの場合、財務部門と各業務部門がMicrosoft Excel(以下、Excel)と電子メールを使って予算案を交換・管理しており、決して“効率的”とは言いがたい状況にある。むろん、こうした問題を解決するソリューションとして、オラクルの「Hyperion」、IBMの「Cognos」をはじめ、優れたBPM製品は複数存在している。だが、中堅・中小企業にとっては価格や運用コストの面でやや手を出しにくい状況にあった。

 同社ではそうした状況を勘案し、SaaSで提供するBPM製品「Adaptive Planning 6.5」の日本語版の発売を決定、2009年12月からの国内提供に踏み切ったという。同社CEO ウィリアム A.ソワード氏は、Excelを使った予算編成の問題について次のように指摘する。

写真 米アダプティブ・プランニング CEO ウィリアム A.ソワード氏

 「一般に、予算編成はまず財務部門が予算を決定して各業務部門に通達し、各部門はそれを受けて現状を考慮、現実的な案を財務部門に返す。こうしたやり取りを複数回行って、最終的な予算を決定する流れとなるが、これにはスピード、正確性、リスク、コストの面で問題がある」

 例えば、まず予算案のやり取りに時間が掛かる。「予算編成を担う財務部門や経営企画部門は、2〜3割の時間――すなわち年間4カ月をこの作業に費やしている」という調査結果もあり、これが「人件費などコスト面にも確実に響いてくる」という。

 正確性とリスクの面では、入力ミスなどの人的エラーが挙げられる。特に+と−やケタ数の間違いなどはありがちなミスだ。Excelファイルの電子メールでのやり取りには、情報セキュリティやコンプライアンスの面でも不安が残る。

 「特に予算編成のスピードは収益に大きく響く。市場環境は時々刻々と移り変わっている。各部門から返された予算を受けて、財務部門が調整してからExcelに入力し、再度各部門に通達したときには、すでに市場状況とその部門に最適な予算も変わっている、といったことも珍しくない。すなわち、情報を確実かつスピーディにやり取りできる環境がまずは不可欠となる」

 だが、中堅・中小企業には資金力という制約がある。そこで同社ではこれまでBPM製品のメインターゲットとされてこなかった層に焦点を合わせ、「“大企業向けのアプリケーション並みの機能とメリットを低価格で提供”し、真にきめ細かな予算管理が必要な中堅・中小企業の収益向上に寄与したいと考えた」という。

短いスパンでの、高精度な予算編成を実現

 Adaptive Planning 6.5には大きく分けて3つのメリットがある。1つは、予算編成と収益予測の大幅な効率化だ。Excelベースの予算編成・管理では、やり取りのたびにバージョンが増えるExcelシートを、間違いないよう確実に管理・配布したり、予算データを統合・合算したりする手間が掛かっていた。しかし、本製品ではWebベースで情報を一元管理できるため、そうした作業が一切必要なくなる。むろん電子メールを使う必要もない。これにより、予算編成・管理作業の正確性、安全性、スピードが大幅に向上するほか、「従来よりも頻繁に作業を行えるようになるため、予算編成の精度向上を狙うこともできる」。

写真 Excelのデザインを意識したなじみやすいUI

 2つ目はユーザーの閲覧しやすさ、使いやすさに配慮した帳票作成/ダッシュボード機能だ。例えば「各勘定項目の中から任意の項目を選んで多次元分析する」といった作業を、ドラッグ&ドロップ操作だけで行える。これにより、製品別/地域別損益、プロジェクト別/部門別損益など、知りたい情報を瞬時に把握できるという。

写真 「リーマンショック以降、導入数が伸びている点が予算編成の効率化・確実化に対するニーズや本製品の優秀性を裏付けている」と語るアダプティブ・プランニング 日本代表 吉岡賢司氏 

 既存の実績データに対して、「−10%」など任意の条件を適用して試算を行ったり、「従来の収益成長率を反映させた次期予算計画を導出する」といったシミュレーションも容易に行える。「もちろん勘定項目名も導入時に任意に設定できる。UIもExcelの印象を反映しているため、ユーザーは従来同様の感覚で違和感なく操作できるはずだ」(アダプティブ・プランニング 日本代表 吉岡賢司氏)

 そして3つ目は導入・運用の容易さだ。SaaS提供のため約3週間で導入できるほか、オンプレミスのように自社で運用する必要がない。また、既存のCSVファイルをインポートできるほか、ERPを導入しているケースも想定し、日本国内ベンダの中堅・中小企業向け各種ERP製品とのデータ連携も可能だという。

1シート当たり年間10万円から。ERPとのデータ連携も可能

 料金は1シート当たり年間10万円から。中小企業向けの「Corporate Edition」と中堅・大企業向けの「Enterprise Edition」があり、販売代理店のネットスイート、福島情報サービスを通じて提供する。

写真 予算にまつわる各種データを視覚的に把握可能とし、スピーディな意思決定を支援

 すでに国内の導入事例もあるという。「例えば、年商1000億円規模の某社では、不況によってサービスの平均単価が4割下落した中、売り上げの減少を1割にとどめることができた。さらに全国に数百ある拠点との予算編成作業を従来の3カ月から1カ月に短縮。この効率化により、約1億円のコスト削減が見込まれている」(吉岡氏)という。同社ではこれを受けて、予算編成を年1回から四半期に1度に変更したそうだ。

 ソワード氏は「予算にかかわるデータを一元管理し、その情報の交換・管理を確実化、効率化することは、経営層の意思決定を支援するのはもちろん、財務部門と業務部門の意思統一に大きく貢献する。例えば、ボトムアップ型の企業において、管理層と現場層の意思のすり合わせを短いスパンで行えるということは、現場経験に裏打ちされた“現場感覚”や“暗黙知”を有効に予算編成に反映しやすい、ということでもある」と解説。

 また、日本で提供開始する以前の2007年から日本企業特有のニーズを調査し、製品機能に反映させてきたことを挙げ、「Adaptive Planning 6.5は、さまざまな企業文化に柔軟に対応できると思う。全社のベクトル統一とコスト削減、収益向上に大きく寄与できると確信している」と締めくくった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -