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» 2010年05月18日 00時00分 公開

BO Explorerは現場担当者による有効活用がカギ:クラウドでもオンプレミスと同等のセキュリティを確保〜SAP CEO

[大津心,@IT]

 独SAPは5月18日、ドイツ・フランクフルトで年次イベント「SAP SAPPHIRE NOW」を開催。ユーザー企業を招いたパネルディスカッションを実施した。

 パネルディスカッションに参加したのは、英国バーミンガム市評議会のグリン・エバンス(Glyn Evans)氏、南アフリカのコンソールグラス社IT事業部部長のヨハン・プレシス(Johan du Plessis)氏、ドイツ銀行CIOのウォルフガング・ガートナー(Wolfgang Gaertner)氏、ジッペルメディアCAO/COOのダニエル・ジッペル(Daniel Zippel)氏、SAP共同CEOのジム・スナーベ(Jim Hagemann Snabe)氏の5名。

登壇者写真 左から、英バーミンガム市評議会のグリン・エバンス氏、南アフリカのコンソールグラス社のヨハン・プレシス氏、ドイツ銀行CIOのウォルフガング・ガートナー氏、ジッペルメディアのダニエル・ジッペル氏、SAPのジム・スナーベ氏

 まずホストを務めるスナーベ氏が持論を展開。「イノベーションは素晴らしいものだが、それだけではだめだ。イノベーションとは良いアイデアをお金に変えることであり、そのような成果を出さないといけない。SAPはそのようなイノベーションを支援するために、現在主にオンプレミス環境でサービスを提供しており、今後オンデマンド環境を充実させていく。さらにはすべてのサービスをあらゆるデバイス上で提供していきたいと考えている」とコメントした。それに続き、各登壇者が自社の状況を説明した。

 ガートナー氏がCIOを務めるドイツ銀行は、8万人の従業員を擁するドイツ最大の金融グループ。2010年の第1四半期の利益は17億6000万ユーロで好調だという。同氏は「当社は現在、年間100億ユーロの利益を目指しており、そのためにはレガシー環境を大幅に刷新し、新しい文化を取り込まなければ実現できないと考えている。そのような組織変化をもたらすために投資も予定している」と語り、今後の継続的な成長のためにSAPを含むレガシーシステム刷新のための投資も検討しているとした。

 続いて英国バーミンガム市のエバンス氏は、110万人規模の同市市民に先進的なサービスを提供するため、2つの施策を実施しているという。1つは「プロセスの標準化・シンプル化」。市民にあまねく標準的なサービスを提供するためには、シンプルかつパーソナル化されて使いやすいサービスを提供する必要があるからだ。そのためにはパッケージをうまく活用することも重要だとする。2つ目は、「サービス品質のトラッキング」だ。エバンス氏は「Amazon.comのように各ユーザーをトラッキングし、そのユーザーに合ったレコメンドをするようなサービスが必要だ。サービスを提供するだけでなく、その品質をさらに向上させるためにも、トラッキングおよび見直しは非常に重要なポイントとなっている」と説明した。

 バーミンガム市では、このような施策を実施することで10年間で10億ユーロのコスト削減を目標に挙げ、その予算として7億ユーロの投資を予定しているという。

 次に説明したのは、南アフリカでガラス製品でシェア75%を持つコンソールグラス社のプレシス氏。同社が特徴的なのは、2009年に発表されたBI新製品「SAP BusinessObjects Explorer」のユーザーである点だ。以前は、社内に1万5000枚のスプレットシートが存在し、データソースの所在がかなり複雑化していたという。そこで、データソースを統合しBO Explorerを導入。その結果、「各自が好きなような形で情報を得ることができるようになった。“すぐに答えが欲しい”というニーズを十分に満たしてくれる製品だ。これにより、現場担当者の意思決定スピードも大幅に向上したと考えている」という。

 これに対してスナーベ氏は、「昨今ではリアルタイム解析・分析は、戦略上非常に重要だ。各社にヒエラルキーが存在するが、『その階層のどのレイヤで分析するか?』は非常に重要なポイントとなる。BO Explorerでは、階層の下の部分、現場のユーザーでも情報活用を容易に行える点は非常に大きい。結局ツールは使う人こそがポイントとなるためだ」とコメントした。

 最後に登壇したのは、ドイツ国内で業界向け・商業向けサイトを運営するジッペルメディアのジッペル氏。同社は社員100名程度で、2年半前から中堅企業向けのホスティング型ERPサービス「SAP Business ByDesign」のユーザーだ。同社では従来、顧客管理や人事管理などを個別システムで行っていたが、「システムのカバー範囲に問題があった。当社の規模の企業では効率化のために、単一システムで統一することが有効だと考えた。現在ではすべてのプロセスをBusiness ByDesignで実行している」と説明した。

 その結果、社内の業務プロセスが簡素化され、コミュニケーションもシンプルになったほか、時間の節約にもつながったという。この点は「統一プラットフォームにした効果は大きい」(ジッペル氏)とした。

 Business ByDesignに関してはほかのユーザーからもコメントが出た。例えば、ドイツ銀行のガートナー氏は、「ドイツ銀行も当然、Business ByDesignをフォローしなければならないと考えている。効率化を考慮すれば、SaaSやクラウドサービスも当然視野には入っている。しかし、当社はコアバンキング業務を行っているほか、企業規模が大きいことから採用には注意が必要だ」とコメント。また、「クラウドサービスは非常に魅力的だが、やはりセキュリティが心配だ。セキュリティに配慮して安心できるのであれば利用したい」(プレシス氏)といった意見も出た。

 これらの点について、スナーベ氏は「Business ByDesignは、先進6カ国でサービス提供しているが、まだフィードバックを収集している段階。2010年7月末に新バージョンをリリースするが、今後もまだまだ進化させていく。また、クラウドやSaaSのセキュリティに関しては当社も非常に真剣に考えて取り組んでいる。当社としては、オンプレミスであってもクラウド/SaaSであっても同じレベルのセキュリティを担保できなければ顧客は満足しないと考えており、そのようなセキュリティレベルを目指している。そのための改良も行っている」と説明した。

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