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» 2010年09月24日 12時00分 公開

上手なプロジェクトの進ちょく管理とは?WBSでプロジェクトを成功させる(6)(2/2 ページ)

[安達裕哉,トーマツイノベーション]
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進ちょく率を計測する

 ネットワーク図が完成すれば、ガントチャートは簡単に作成できますが、ガントチャートだけでは進ちょく管理はできません。進ちょく管理は「進ちょく率の算出」を行なって初めて可能となります。そこで、ガントチャートが完成した後に「進ちょく率の計測方法」のルールを定めます。

 例えば、下図の(1)のように「タスクに着手して10%、作成完了して50%、レビュー開始で60%、レビュー終了で90%、承認が下りて次工程に進めるようになって100%」など客観的基準によって進ちょくを報告するルールを定めておけば、人によって進ちょくの計測方法がばらばらになるということが防げます。また、数週間経っても、進ちょく率が90%のままで変わらない「90%シンドローム」と呼ばれる虚偽報告を防ぐことが可能です。

 そのほか、(2)のようにWBSのタスクが終わっている、終わっていないという2通りだけで報告させる方法などもあります。

タスクの進ちょく率の計測方法
基準を作る タスクの進ちょく率を一定の基準に従って報告してもらう方法。

例)
 着手:10%
 作成完了:50%
 レビュー実施:60%
 レビュー完了:90%
 承認 :100%
「終わっている」/「終わっていない」で報告する タスクの進ちょくを「終わっている」/「終わっていない」で報告してもらう方法。 遅延が発覚した後の対応が遅れないよう、作業WBSを細かく分解(5日以内が目安)する必要がある。
「あと何日」で把握する タスクの進ちょく率を「あと何日」で報告してもらう方法。 レビュー待ち、承認待ち、ほかのタスクの完了待ちなど、パーセンテージでは分かりづらい遅れを把握できる。

 進ちょく率の計測ルールを定めたら、プロジェクトを実施し、その都度報告された進ちょく率を基に適切な手を打つことが必要になります。ここで1つ注意すべきは「どのようになったらスケジュールを変更する必要があるか」という判断です。

 わずかに遅れが発生しているだけでスケジュールを変更すれば、膨大な手間が掛かります。一方、大きな遅れを放置すれば、プロジェクトの納期を守ることはできません。

 その1つの解としてよく用いられるのが、「リカバリー限界の法則」です。この法則は、「20%より遅れが大きくなった場合、スケジュールを変更せよ」というもので、このままのスケジュールでいいのか、思い切って実態を反映したスケジュールを引き直すかの判断を与えてくれます。

ALT リカバリー限界の法則とは

 本連載は6回にわたってWBSの書き方とその使い方を解説してきました。プロジェクトマネージャは決して楽な仕事ではありませんが、責任や必要とされる能力は高く、いろいろな面で非常にやりがいのある仕事ではないでしょうか。本連載がすべてのプロジェクトマネージャに対するエールとなれば幸いです。

筆者プロフィール

安達 裕哉(あだち ゆうや)

トーマツ イノベーション株式会社 シニアマネージャ

筑波大学大学院環境科学研究科修了後、大手コンサルティング会社を経てトーマツ イノベーション株式会社に入社。現在、主としてIT業界を対象にプロジェクトマネジメント、人事・教育制度構築などのコンサルティングに従事する。そのほかにもCOBIT、ITサービスマネジメント、情報セキュリティにおいても専門領域を持ち、コンサルティングをはじめとして、企業内研修・セミナー活動を積極的に行う。


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