日本IBMは6月12日、昨年10月に買収したPlatform Computing社のソフトウェア製品群「IBM Technical Computing」の提供を開始すると発表した。6月15日から出荷を開始する。日本アイ・ビー・エム システム製品事業 マーケティング&ソリューション 理事 星野裕氏は、「IBM Technical Computingは、ビッグデータの高度な分析力や大量のコンピュータ資源を提供することで、スーパーコンピュータの領域で利用されていた技術を一般の企業でも活用できるようにするものだ」と意気込みを語った。
IBMは2011年10月にPlatform Computingを買収。同社は株式非公開企業ながら、分散コンピューティング環境用のクラスタ管理ソフトウェアや、グリッド管理ソフトウェアの分野でリーダー的存在だった。今回発表した「IBM Technical Computing」は、買収したPlatform ComputingのソフトウェアとIBMのハードウェア・ソフトウェアを組み合わせて統合したもの。
ソフトウェアは「IBM Platform Computing」「IBM Platform LSF family」や「IBM Platform Symphony family」など8製品、ストレージ「IBM DCS3700 Enhancements」、ハードウェア「IBM System x iDataPlex dx360 M4」や「IBM Intelligent Cluster」など8製品で構成される。おおよその価格は、「IBM System x iDataPlex dx360 M4」1ノードで42万円、84ノード1ラック構成で3897万円(税別)。
Platform LSF familyは、ミッションクリティカルな異種混在環境における複雑なアプリケーションのワークロードを管理する製品。Platform Symphony familyは、MapReduceによるビッグデータ分析などを取り入れた分析アプリケーション。「IBM Platform Cluster Manager」はHPC(High Performance Computing)環境におけるクラスタのプロビジョニングと管理を行うソフトウェアだ。
ハードウェア面では、IBM System x iDataPlex dx360 M4が特徴的。1シャーシあたり最大2GPU、512GBメモリ、InfiniBandをサポートするなど、HPC向けに設計。水冷式を採用したことで、スペースの大幅削減を実現したという。また、Intelligent ClusterはHPCを実現するためにサーバやストレージ、ネットワークとIBM Platform HPCソフトウェアを統合したシステム。アプライアンスとして統合したことで、短時間でクラスタを構築できるほか、設置スペースや消費電力を抑えることができるという。
星野氏は、「従来、HPCは科学技術計算から始まり、自動車の衝突安全性能解析や気象予測、新薬開発における分子シミュレーションなど、専門性が高い特殊な分野での利用が中心だった。しかし、企業におけるビッグデータ分析の需要が急増し、多くのユーザーがHPCを求めるようになったことから、HPCのリソースを幅広いビジネス分野で利用できるようにしたのが『IBM Technical Computing』だ。そのため、リソースを簡単に管理できるようにしたほか、高度な分析技術を実現できるようにサポートする。当社は、以前からビックデータ分析やHPC分野での研究開発経験が多い。この経験やノウハウを生かして競合他社と差別化していきたい」と説明した。
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