伊東に恋の予感が……
ところ変わって、IT企画推進室。
加藤が資料を届けに坂口を訪ねてきた。坂口は、記事がどう作り込まれたのかを把握しようと、推敲(すいこう)段階の原稿を見せてほしいと加藤に依頼していた。
加藤 「あのー、坂口さんはいらっしゃいますか?」
伊東 「坂口さんですか? ちょっとお待ちく……」
加藤の顔を見上げた伊東は、固まった。
伊東 「か、か、か、加藤しゃん……。ごぶさたしてます。伊東でっしゅ!」
加藤 「あら、総務部にいらした伊東さん? あの時はどうもありがとうございました」
伊東 「いえいえ、と、と、と、とんでもないでしゅ!!」
伊藤は真っ赤な顔で、目をドギマギさせている。
加藤に気付いた坂口が声を掛けた。
坂口 「あ、加藤さん、どうも。お忙しいところありがとうございます」
加藤 「いいえ。これ、おっしゃっていた資料です」
坂口 「ありがとうございます。おい、どうした伊東?」
坂口はそういうと、真っ赤な顔で固まっている伊東に声を掛けた。
伊東 「え、いや、あの、その……」
加藤 「坂口さん、実はですね。伊東さんが総務部にいらしたときに、助けていただいたことがあるんですよ」
坂口 「へぇ、じゃあお知り合いだったんですね」
加藤 「ええ、そうなんです。伊東さん、そのころとだいぶ雰囲気が変わられましたね」
坂口 「どういうふうにですか?」
加藤 「こんなことを申してよいのか分かりませんが、なんだか凛々(りり)しくなられたというか……」
坂口 「伊東、良かったな〜。加藤さんが褒めてくれてるぞ!」
伊東 「いや、あの、その、ぼ、ぼ、ぼ、ぼきゅ、ぼきゅ……」
ますます真っ赤になる伊東。
加藤 「それでは、戻りますね。お2人と一緒にお仕事ができるの、楽しみにしています」
加藤はそういって、その場を後にした。
伊東は加藤の去っていった方向をずっと見つめ続けていた。坂口はそれには気付かず、資料を持って自席に戻っていった。
◆次回予告◆
マスコミへのリークを重く見た西田副社長は、プロジェクトの強化を図り、坂口を課長級に昇格させる。坂口は谷田の支えもあって、1ランク上の視点でプロジェクトを動かそうと奮闘する。
一方で、納期短縮のためには協力が必須と思われる工場で予想以上の抵抗にあい、苦戦する伊東。しかし、伊東の熱意を快く感じた加藤は社内報でのツテを利用して手伝うことに……。
IT企画推進室
室長 名間瀬 勝也(なませ かつや) 46歳
主任 坂口 啓二(さかぐち けいじ) 31歳
社員 伊東 敦史(いとう あつし) 24歳
今回登場メンバー
(注:SD=サンドラフト、SDS=サンドラフトサポート)
SD 副社長 西田 義行(にしだ よしゆき) 59歳
SD 専務取締役兼CIO IT企画部長 佐藤 光一(さとう こういち) 52歳
SD 営業企画部長 天海 有紀(あまみ ゆうき) 39歳
配送センター副センター長 岸谷 小五郎(きしたに こごろう) 42歳
製造部主任 藤木 直哉(ふじき なおや) 34歳
情報システム部主任 八島 秀樹(やしま ひでき) 36歳
マキシムアンドコンサルティング シニアコンサルタント 豊若 越司(とよわか えつし) 39歳
マキシムアンドコンサルティング シニアコンサルタント 松嶋 七海(まつしま ななみ) 38歳
松嶋七海の娘 松嶋 真鈴(まつしま まりん) 10歳
ホテイドリンク 社長 布袋 泰博(ほてい やすひろ) 45歳
ホテイドリンク システムセンター長 園村 純(そのむら じゅん) 51歳
ホテイビール 社長 布袋 四郎(ほてい しろう) 70歳
情報システム部 生産管理システム担当 谷橋 章介(たにはし しょうすけ) 35歳
情報システム部 営業支援システム担当 小田切 要(おだぎり かなめ) 31歳
西東京物流センター 配送計画担当 小沢 隆夫(おざわ たかお) 39歳
松嶋七海の夫。教師 松嶋 隆史(まつしま たかし) 39歳
SD 広報室主任 加藤 三咲(かとう みさき) 27歳
筆者プロフィール
シスアド達人倶楽部
「シスアド達人倶楽部」は、経済産業省が実施する情報処理技術者試験の1つ、上級システムアドミニストレータ試験の合格者9名で構成される執筆チーム。本連載「目指せ! シスアドの達人」は、シスアドの日常を知り尽くしたメンバーが、シスアドの働く現場をリアルに描くWeb小説だ。
執筆メンバー9名は、上級システムアドミニストレータ試験合格者と試験合格を目指す人々で構成される任意団体:上級システムアドミニストレータ連絡会(JSDG)の正会員。
小山 俊一(こやま しゅんいち)
上級システムアドミニストレータ連絡会正会員。コンサルティング会社勤務
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