
日々の業務において、「どの作業にどれだけの時間を使っているのか」を正確に把握するのは、簡単なことではありません。Excel管理では手作業が多いゆえどうしても入力漏れや集計ミスが起きやすく、作業負担や確認の手間が課題になっていると思います。
この記事では、工数の基本的な考え方から、ツール導入の背景、実際にできること、ツールを選ぶ際のチェックポイント、さらにITセレクトに掲載されたおすすめのツールまでを詳しく紹介します。
機能で比較「工数管理システム」おすすめ製品一覧
目次
工数管理ツールとは?
工数管理ツールを理解するためには、まず「工数」という概念を押さえ、その上でツールが担う役割を知ることが大切です。次の節では、工数の定義とツールによる可視化のメリットについて具体的に説明します。
そもそも「工数」とは何か
工数とは、ある作業を完了するために費やされた人数と時間の掛け算で表す指標です。たとえば、担当者一人が8時間働いた作業は「8人時」と表現し、5人で3日間かかった作業なら「5人×3日=15人日(=120人時)」と計算します。この統一された単位により、プロジェクト全体の作業量を把握しやすく、納期の予測やコストの見積もりに活用できるのが大きな特徴です。
工数管理ツールの役割とは
工数管理ツールは、各メンバーがどのプロジェクトのどのタスクにどれだけの時間を費やしたかを正確に記録することが出発点です。その上で、データを自動集計して全体の進捗状況を「見える化」し、残作業時間や実績との乖離をリアルタイムに把握できます。さらに、社員ごとの時間単価を設定することで、労務費を自動で算出し、原価管理や収益性の分析にも応用可能です。こうした情報をもとに、必要な人材配置の見直しや業務プロセス改善の判断材料を得られる点が、ツール導入の大きな利点と言えるでしょう。
詳細については「工数管理システムとは?」の記事もご覧ください。
この1ページで解決工数管理システムの主な機能と選定ポイント|Excelとの大きな違い、無料ツール、失敗しない選び方を徹底解説
手作業の限界と工数管理ツール導入の背景
従来、Excelなどの表計算ソフトで工数を管理してきた企業は多いものの、プロジェクトの規模拡大やメンバー増加に伴い手作業の限界が露呈しています。ここでは、その具体的な課題と、専用ツールへのニーズが高まった背景を見ていきます。
Excelやスプレッドシートで管理する難しさ
表計算ソフトは手軽に始められる反面、日々の手入力に伴う転記ミスや計算式の誤りが起こりやすく、データの正確性が揺らぎます。さらに、複数ファイルや個人別のフォーマットが混在すると、全社的な整合性を保つために膨大な時間を要するほか、特定の担当者にノウハウが偏る属人化リスクも避けられません。結果として、更新漏れや古い情報に基づく判断が発生し、プロジェクト運営に支障を来すケースが増えています。
プロジェクトの規模拡大とデータの煩雑化
プロジェクト数や参加メンバーが増えるほど、誰がどのタスクにどれだけ関与しているかを把握するのは容易ではありません。多様なプロジェクト特性や進捗状況を一つのシートで管理しようとすると、二次元的な表計算では情報の関連性を表現しきれず、過去の作業履歴を参照するのにも膨大な工数がかかるのが現実です。
情報のリアルタイム共有が難しい
各メンバーが自分のタイミングでファイルを更新し、サーバーやメールで共有する運用では、常に最新の情報が参照されるとは限りません。場所やデバイスによる閲覧・編集制限も情報共有を遅延させ、意思決定の遅れや対応ミスにつながるリスクが高まります。
工数管理ツールでできること
専用ツール導入によって工数管理は大きく効率化され、多面的な活用が可能になります。以下では代表的な機能を4つの観点で解説します。
- 進捗管理の効率化
- 原価管理への応用
- 入力者の負担軽減
- 見える化による現場の改善
進捗管理の効率化
タスクごとの進捗状況や担当者、期限などを一覧表示し、開始日と終了予定日の設定も直感的に行えます。メンバーが入力した実績工数をもとに、進捗率や残作業時間を自動集計。さらに、ガントチャート機能を使えば、プロジェクト全体の流れやクリティカルパスを視覚的に把握でき、問題箇所の早期発見が可能です。
原価管理への応用
あらかじめ社員ごとの時間単価を登録しておくと、入力された工数に応じて労務費を自動算出できます。見積時の予定工数・原価と実績を比較することで予実差異分析ができ、見積精度の向上やコスト削減策の検討に役立ちます。
入力者の負担軽減
カレンダー形式やプルダウン選択による簡易フォーム、あらかじめ登録した定型作業のクイック入力機能、スマホアプリ対応など、誰でも迷わずスムーズに入力できるよう工夫されています。これにより、工数入力が「余計な作業」と感じられず、継続的なデータ収集を促します。
見える化による現場の改善
収集した工数データはグラフやダッシュボードで「見える化」され、ボトルネックや作業時間の偏りが直感的に把握できます。感覚では捉えにくかった非効率な工程や負荷集中の状況を数値で示すことで、データに基づく具体的な改善策をチームで共有しやすくなります。
工数管理ツールを選ぶポイント
多様なツールの中から自社に最適なものを選ぶ際には、以下の観点を押さえておくと失敗を防ぎやすくなります。
- 勤怠管理など他システムとの連携
- プロジェクト単位での設定が可能か
- アラートや通知機能の有無
- 使いやすさと定着率
勤怠管理など他システムとの連携
出退勤データと工数情報を突合できれば、実作業時間の正確な把握や残業管理、割増賃金の自動計算が可能となり、二重入力の手間も省けます。
プロジェクト単位での設定が可能か
短期・長期、大規模・小規模など多様なプロジェクトごとにタスク粒度やレポート項目を柔軟にカスタマイズできるかを確認しましょう。
アラートや通知機能の有無
未入力のリマインドや期限超過の警告を自動送信できる機能があれば、入力漏れや遅延への早期対応が期待できます。上司へのエスカレーション設定も有効です。
使いやすさと定着率
日常的に使いやすいインターフェースか、現場の声を反映してトライアル利用が可能かを事前に試し、従業員の当事者意識を高める導入プロセスを検討しましょう。
おすすめの工数管理ツールを紹介
ITセレクト掲載の主要ツールを以下の表にまとめました。機能や価格、対象企業がひと目で比較できます。
| ツール名 | 提供形態 | 主な特徴 | 価格帯目安 |
| asmana | クラウド(β版) | リソース可視化とアサイン計画特化 | オープンβ版のため無料 |
| FactoryAdvance | クラウド | 中小製造業向けガントチャート・原価管理 | 初期50万円~+月額要問合せ |
| MAEYES | SaaS/SaaS+/オンプレ | 作業実績・売上予測・ERP統合 | 個別見積もり |
| manage(マネージ) | クラウド | 工数・勤怠・経費統合、スマホ入力対応 | 月額140円/人+初期費用 |
| RobotERPツバイソ | クラウド | AI自動化、PSA・ERP一体 | 個別見積もり |
| クラウドERP ZAC | クラウド | リアルタイム損益可視化、ワークフロー標準搭載 | 初期10万円~/月額16万円~ |
| デジロー | クラウド | ワークフロー効率化による間接的工数削減 | 無料~月800円/人 |
| プロジェクト日報[PJ] | パッケージ/クラウド | 日報連動の工数・生産性管理、ポイント評価制 | 初期155万円~/月2.5万円 |
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