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「Webサイトからの問い合わせは増えたが、なかなか商談に繋がらない」「メルマガを配信しているが、誰が本当に興味を持ってくれているのか把握できない」「営業部門からは『もっと確度の高い見込み客が欲しい』と言われる」。こうした課題は、多くの企業のマーケティング・営業活動における共通の悩みではないでしょうか。
MA(マーケティングオートメーション)は、このような課題を解決し、マーケティング活動を自動化・効率化するための強力なツールです。 本記事では、「MAにはどんな機能があるの?」という基本的な疑問から、「その機能をどう活用すれば成果に繋がるのか?」という実践的な問いまで、マーケティングのプロセスに沿って解説します。自社のマーケティング・営業活動を次の段階へ進めるためのヒントを見つけてください。
機能で比較「MA(マーケティングオートメーション)ツール」おすすめ製品一覧

目次
MA(マーケティングオートメーション)の基本機能
MAツールにはどのような基本機能が備わっているのでしょうか。ポイントを挙げて解説していきます。
MAとは
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化し、効率的に運用するためのツールやソフトウェアの総称です。主に、マーケティングチームが顧客情報を効果的に管理し、ターゲットとなる見込み顧客に対するマーケティング活動の成果を最大化するために用いられます。
この1ページで解決!MAツールの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを徹底解説
MAツールに備わる基本機能
MAの基本機能には、リード管理、メールマーケティング、スコアリング、セグメンテーション、ワークフロー自動化などが含まれます。これらの機能を統合することで、マーケティングプロセス全体を効率的に運用し、見込み顧客の育成から顧客維持までのすべての段階でのメリットと成果を最大化します。
- リード管理機能
- メールマーケティング機能
- スコアリング機能
- ランディングページ作成機能
- セグメンテーション機能
- ワークフロー自動化機能
- 簡単なインタフェースとユーザビリティ
リード管理機能
リード管理機能は、見込み客の情報を収集・整理し、各リードのステータスを追跡します。これにより、マーケティングチームは見込み客の興味や関心を把握し、適切なフォローアップが可能となります。また、リードの育成プロセスを可視化し、営業部門との連携を強化します。
メールマーケティング機能
メールマーケティング機能は、ターゲットとなる顧客に対して個別のメールを自動的に配信します。これにはテンプレートの作成、メール配信のスケジューリング、送信結果の分析などが含まれます。これにより、効果的なコミュニケーションが実現し、開封率やクリック率の向上が期待できます。
スコアリング機能
スコアリング機能は、見込み顧客の行動や属性に基づいてポイントを付与し、見込み客の質を評価します。これにより、最も見込みのあるリードを特定し、営業部門に優先的に提供することができます。また、見込み顧客の行動履歴を基に、効果的なマーケティング戦略を策定するためのデータを提供します。
ランディングページ作成機能
ランディングページ作成機能は、専門知識やコーディングなしに魅力的なランディングページを作成する行程を効率化する機能です。これにより、リード獲得やキャンペーンの効果を高めることができます。
セグメンテーション機能
セグメンテーション機能では、顧客データをさまざまな基準で分類し、ターゲットとなる対象を細分化します。これにより、特定のセグメントに対して個別のマーケティングキャンペーンを実施することが可能です。これによりメッセージの関連性が高まり、マーケティングの成果が向上します。
ワークフロー自動化機能
ワークフロー自動化機能は、マーケティングプロセスを自動化し、一貫性のある顧客体験を提供します。例えば、特定の行動を取った顧客に対して自動的にフォローアップメールを送信したり、特定の条件を満たしたリードを営業部門に転送するなどの処理を自動化します。これにより、マーケティングチームの作業負担が軽減され、効率が向上します。
簡単なインタフェースとユーザビリティ
多くのMAツールは、直感的なインタフェースを持ち、使いやすさを重視しています。これにより、マーケティングチームは専門的な技術知識がなくても、簡単にキャンペーンの設定やデータ分析を行うことができます。また、ドラッグ&ドロップ機能やテンプレートライブラリを活用することで、迅速にマーケティング活動を開始することができます。
参考おすすめ記事無料で始められる「MA(マーケティングオートメーション)」実施の基礎知識|無料プランを用意するMAツール5選、有料版との違い
【マーケティングファネルで理解】MAの機能一覧と活用プロセス
MAが持つ多彩な機能は少し別の目線で、顧客の購買意欲を高めていく「マーケティングファネル」の段階に沿って理解するとその役割が分かりやすくなります。ここでは、「リード獲得」「リード育成」「リード選別」という3つのステップで、各機能がどう活躍するのかを見ていきましょう。
STEP1:リード獲得(リードジェネレーション)段階の機能
この段階の目的は、自社の製品やサービスに興味を持つ可能性のある見込み顧客(リード)の顧客情報を獲得することです。
フォーム作成機能
Webサイトに設置する「資料請求」や「セミナー申し込み」などのフォームを簡単に作成する機能です。ユーザーが入力した情報は自動的にMAツール内のデータベースに蓄積されます。
ランディングページ(LP)作成機能
Web広告やメールマガジンからの訪問者を受け止める、コンバージョン目的のWebページ(LP:ランディングページ)を作成する機能です。プログラミングやコーディング、デザインの知識がなくてもテンプレートを活用して訴求力の高いページを構築できます。
STEP2:リード育成(リードナーチャリング)段階の機能
この段階の目的は、獲得した見込み顧客に対し、継続的に有益な情報を提供し、コミュニケーションを通じて購買意欲を高めていくことです。
メール配信機能
リストアップした見込み顧客に対し、メールマガジンやステップメールを配信する機能です。「誰が」「いつ」「どのメールを開封し、どのリンクをクリックしたか」といった行動履歴を把握できます。
シナリオ作成・キャンペーン管理機能
「資料をダウンロードした人には3日後に導入事例メールを送る」「料金ページを閲覧した人には、営業担当から電話でアプローチする」といった、ユーザーのアクションに応じた一連のコミュニケーションの流れ(シナリオ)を設計し、自動実行します。これにより、一人ひとりに合わせたOne to Oneのアプローチが実現します。
Webサイト行動履歴のトラッキング
自社のWebサイトを訪れた見込み顧客が、「どのページを」「どれくらいの期間」「何回閲覧したか」といった行動履歴をデータとして蓄積します。これにより、顧客が何に興味・関心を持っているかを深く理解できます。
セグメンテーション機能
蓄積した顧客情報や行動履歴をもとに、「役職が部長以上で、料金ページを3回以上閲覧した人」といった条件で顧客をグループ分け(セグメント化)する機能です。ターゲットを絞った、より効果的な施策の実施を可能にします。
STEP3:リード選別・営業連携段階の機能
この段階の目的は、育成した見込み顧客の中から、特に購買意欲が高い「ホットリード」を選別し、営業部門へ引き渡して商談を創出することです。
スコアリング機能
「料金ページの閲覧で10点」「セミナーへの参加で30点」のように、見込み顧客の属性や行動に応じて点数を付け、興味・関心の度合いを可視化する機能です。スコアが一定の基準を超えた見込み顧客を「確度が高い」と判断し、営業への引き渡し対象とします。
SFA/CRM連携機能
MAで獲得・育成したリードの情報やスコアを、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)に自動で連携します。これにより、営業担当者は顧客のこれまでの行動履歴を把握した上で、効果的なアプローチを開始できます。
営業担当への通知機能
見込み顧客のスコアが急上昇したり、特定のページ(例:導入事例)を閲覧したりといった「ホットなタイミング」を検知し、営業担当者にメールやチャットでリアルタイムに通知します。絶好のアプローチ機会を逃しません。
【主要機能の深掘り解説】MAの成果を最大化する3つの心臓部
数ある機能の中でも、特にMAの導入効果を左右するのが「スコアリング」「シナリオ」「SFA/CRM連携」の3つです。その重要性と活用のポイントを解説します。
なぜ「スコアリング」が重要なのか?
スコアリングは、マーケティング部門と営業部門の間の「言葉」を統一する役割を果たします。「確度の高いリード」などはよく聞かれますがこのような曖昧な表現ではなく、「スコアが100点以上のリード」というような客観的な指標で共有することがポイントです。営業担当者は客観的なスコアから質の高いリードにのみ注力でき、活動の効率と成約率を向上させることができます。
成果に繋がる「シナリオ」の作り方
効果的なシナリオとは、単なるステップメールではありません。顧客の行動に応じて、最適なコミュニケーションを自動化する仕組みです。以下の3ステップで、自社のシナリオを設計してみましょう。
STEP1:ターゲットとゴールを決める
まず、「誰に」「何を達成してもらうか」を明確にします。
- ターゲット(誰に): 例「“料金”に関する資料をダウンロードした見込み顧客」
- ゴール(何を): 例「個別相談会やセミナーに申し込んでもらう」
STEP2:トリガーとアクションを設計する
次に、シナリオを開始する「きっかけ(トリガー)」と、それに続く「働きかけ(アクション)」を具体的に設計します。
- トリガー: 資料のダウンロード
- アクション1: ダウンロード直後に、お礼メールを自動送信
- アクション2: 3日後に、関連する導入事例の案内メールを配信
- アクション3: 7日後に、個別相談会の案内メールを配信
STEP3:分岐条件(IF)でパーソナライズする
最後に、「もし~だったら」という分岐条件を加えることでシナリオはより効果的になります。
- もし(IF): アクション2の導入事例メールを開封し、リンクをクリックした場合
- その後のアクション: より詳細な機能紹介資料を自動で送付する
- もし(IF): 開封しなかった場合
- その後のアクション: 別の切り口の導入事例を再度案内する
このように、顧客一人ひとりの興味・関心に合わせたOne to Oneのコミュニケーションを自動化することで、関係性を長期的に構築し、購買意欲を最大限に高めていくのが、MAにおけるシナリオの役割です。
「SFA/CRM連携」がマーケと営業の壁をなくす
MAはマーケティング、SFAとCRMは営業が主に使うツールですが、両者を連携させることでデータが一元管理され、部門間の壁をなくせます。マーケティング担当者は商談の進捗状況を把握でき、施策の効果を売上ベースで検証できます。一方、営業担当者は、顧客がどんなWebページを見て、どんなメールに反応したかを事前に把握した上で提案できるため、商談の精度が格段に向上します。
この1ページで解決!「SFA」の主な機能、活用シーンとメリット・デメリット、製品選定のポイントを分かりやすく解説
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「導入したが使われない」を防ぐために
MAは強力なツールですが、導入するだけで成果が出るわけではありません。ツールを最大限に活用し、失敗しないための体制づくりも同時に検討しましょう。
- マーケティング部門と営業部門の連携体制
- 継続的なコンテンツ作成体制
- KPI(重要業績評価指標)の設計とPDCA
ポイント1:マーケティング部門と営業部門の連携体制
MAの導入を機に、両部門がリードの定義や引き渡しルール、KPIといった目標を共有する体制を構築することが成功の鍵です。
ポイント2:継続的なコンテンツ作成体制
見込み顧客を育成するためのメールやWebコンテンツ、ダウンロード資料などを継続的に作成する体制や計画が必要です。
ポイント3:KPI(重要業績評価指標)の設計とPDCA
「リード獲得数」「商談化率」「受注件数」など、各段階でのKPIを定め、定期的にレポートを分析し、シナリオやコンテンツを改善していくPDCAサイクルを回す仕組みが不可欠です。
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MAの活用事例
MAによって実際にどのような効果が得られるのでしょう。以下に、いくつかの代表的な参考活用事例シナリオを紹介します。
参考事例1: BtoB企業のリードジェネレーション
あるBtoB企業は、MAツールを導入してリードジェネレーションを効率化しました。リード管理機能とナーチャリング機能を活用し、見込み顧客の属性や行動に基づいたターゲティングを行いました。具体的には、Webサイト訪問者の行動データを分析し、興味のあるコンテンツやサービスに基づいたフォローアップメールを自動的に送信しました。また、CRMおよびSFAとの連携により、営業部門との情報共有を強化し、商談の成功率を高めることができました。その結果、リードジェネレーションの効率が大幅に向上し、見込み客の獲得数が30%増加しました。
参考事例2: BtoC企業の顧客維持
あるBtoC企業は、MAツールを導入して顧客維持率を向上させました。特に、パーソナライズ機能とダイナミックコンテンツを活用して、顧客ごとに最適化されたプロモーションやリコメンデーションを提供しました。これにより、顧客の再訪率が向上し、リピーターからの売上が20%増加しました。また、カート放棄者に対して自動的にリマインダーメールを送信することで、カート回収率が15%向上しました。さらに、CRMとの連携機能を活用し、顧客情報を一元管理することで、より効果的なマーケティング施策を展開しました。
参考事例3: 教育機関の学生リクルート
ある教育機関は、MAツールを利用して学生リクルート活動を効率化しました。リード管理機能を活用して、見込み学生のデータを一元管理し、興味や行動に基づくターゲティングを行いました。また、メールマーケティング機能を使用して、志望校訪問や説明会の情報を自動で配信しました。その結果、リクルート活動の効率が大幅に向上し、志望者数が25%増加しました。さらに、SFAとの連携を通じて、営業活動の進捗状況をリアルタイムで把握し、迅速な対応が可能となりました。
参考事例4: ソフトウェア企業のトライアルコンバージョン
あるソフトウェア企業は、MAツールを導入してトライアル版から有料版へのコンバージョン率を改善しました。リードナーチャリング機能を活用して、トライアルユーザーに対して使用方法や成功事例を紹介するフォローアップメールを自動送信しました。また、スコアリング機能を使用して、トライアル期間中のユーザーの行動を分析し、コンバージョン可能性の高いユーザーに対して特別なオファーを提供しました。この結果、トライアルから有料版へのコンバージョン率が40%向上しました。さらに、CRMおよびSFAとの連携により、営業部門が迅速に対象ユーザーをフォローアップし、商談の成功率を高めることができました。
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MAの機能を理解し、マーケティング活動の成果を最大化しよう
MA(マーケティングオートメーション)の各機能は、バラバラに運用するのではなく、「リード獲得」「育成」「選別」という一連のマーケティング・営業プロセスの中で連携させることで、その効果を最大限に発揮します。
自社の課題がどの段階にあるのかを把握し、目的に合った機能を活用することで、見込み顧客とのコミュニケーションは最適化され、営業部門との連携もスムーズになります。それは、売上の向上という最終的な成果に繋がる、強力な仕組みとなるでしょう。本記事を参考に、自社のマーケティング活動を自動化・効率化し、ビジネスを加速させるMAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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