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ローコード開発とセキュリティの基本を押さえよう

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ITセレクト編集部

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ローコード開発とセキュリティの基本を押さえようのメインビジュアル

ローコード開発の普及により、誰でも簡単にアプリ開発が可能となりました。しかし、その一方でセキュリティ対策の重要性も増しています。本記事では、ローコード開発で発生しやすいリスクや、選定・運用時に注意すべきセキュリティの基本ポイント、ベンダーと自社の責任分担、具体的な対策まで網羅的に解説します。安全かつ有効にローコード開発を活用するためのヒントを知りたい方は、ぜひご一読ください。

 

この1ページでまず理解!ローコード開発・ノーコード開発ツールの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイント|人気・定番・おすすめの製品をチェック

ローコード開発におけるセキュリティの重要性

ローコードは、ビジネス部門のメンバーでもアプリを作れる環境を広げ、DX推進します。その一方で、アプリ開発がIT部門だけの仕事ではなくなり、リスクが組織の末端にまで分散しやすくなります。少数の大規模アプリを守る発想から、数多くの小規模アプリを安全に動かす発想へ、守り方の軸を切り替える必要があります。

ローコード開発のセキュリティリスク

ローコード開発は業務効率化を実現する一方で、独自のセキュリティリスクにも注意が必要です。代表的なリスクとその対策ポイントを解説します。

ガバナンスや全社最適の視点については「情報システム部必見:ネイティブアプリのメリット・デメリット、内製・SaaS/ノーコード開発活用戦略」をご覧ください。

 

一緒にチェック!情シス部必見:ネイティブアプリのメリット・デメリット、内製・SaaS/ノーコード開発活用戦略

アクセス権限設定ミス

アクセス権限の設定ミスは、もっとも起こりやすい落とし穴です。社内向けの顧客情報を「全社員」や「公開」にしてしまえば、意図せず情報が広がります。役割ベースのアクセス制御(RBAC)と最小権限の考え方を基準にし、誤設定を起こしにくいルールと仕組みで抑え込みましょう

シャドーITや未承認ツールの利用

また、現場が未承認ツールで独自に開発する「シャドーIT」も課題です。ただし、禁止するだけでは根本解決になりません。安全に使える公式プラットフォームを用意し、スピードを保ちながら統制を効かせる方向に舵を切ることが重要です。

ベンダーロックインやサービス依存のリスク

プラットフォーム自体の脆弱性や、特定ベンダーに依存しすぎるベンダーロックインも無視できません。もし提供終了や大きな障害が起きれば、移行できずに事業へ影響が及びます。選定時の見極めが、実はセキュリティそのものを左右します。

API連携やバックアップの設定ミス

さらに、API連携の設定ミスやバックアップ未設定といった技術的な手違いは、データ消失や不正アクセスの温床になります。ローコードは操作が直感的だからこそ、危険な設定も「簡単にできてしまう」点に注意が必要です。

人的ミスや知識不足によるヒューマンエラー

最後に、人の知識不足が引き金になるヒューマンエラーです。市民開発者はセキュリティ専門家ではありません。認証情報をアプリ内に平文で置いたり、過度に広い共有設定にしてしまったりと、起こりがちなミスを具体的に学ぶ教育が欠かせません。

現場向けの作り方・基本を体系的に学ぶには「はじめてのノーコードアプリ開発ガイド」をご覧ください。

 

関連はじめてのノーコードアプリ開発ガイド

ローコード開発で求められるセキュリティ意識

プラットフォームの機能に「任せる」のではなく、提供される機能を「使いこなして守る」姿勢が必要です。個人情報などを扱う場合は、社内ルールや個人情報保護法、GDPRなどの法令を前提に設計しましょう。理想は、現場とIT・セキュリティ部門が協力する体制です。Center of Excellence(CoE)のような相談窓口やレビュー体制があると、スピードと安全性の両立がしやすくなります。

より詳しくSSO/MFA/GDPRなど基礎用語を整理・確認するには「SaaS関連の難解用語&略語まとめ|サクッと解説」をご確認ください。

自社とベンダー、セキュリティの責任範囲

オンプレミス型とクラウド型では、守る範囲が変わります。クラウドでは、ベンダーが基盤を、ユーザー企業がアプリやデータを中心に守る「責任共有」の考え方が基本です。まずは全体像を共通認識にしましょう。

ベンダーが担うセキュリティ範囲

データセンターの警備やネットワーク機器の保護、OSやミドルウェアのパッチ適用など、基盤側の安全性はベンダーが担います。プラットフォーム全体の脆弱性管理、定期的なアップデート、SOC 2やISO 27001などの外部監査への対応も含まれます。

ユーザー側で担うべきセキュリティ範囲

ID管理と権限設計、多要素認証の利用、公開範囲や暗号化の設定、アプリのロジックやデータの扱い方はユーザーの責任です。自社のセキュリティポリシーに沿って運用し、ガイドラインや教育、レビューの仕組みを整えることが求められます。

責任範囲の対応表

セキュリティ層 オンプレミス環境 クラウド(PaaS)ローコード
物理セキュリティ(データセンター) ユーザー ベンダー
ネットワークインフラ(ルーター等) ユーザー ベンダー
仮想化基盤 & ホストOS ユーザー ベンダー
ミドルウェア & ランタイム ユーザー ベンダー
アプリケーションロジック ユーザー 共有(ベンダーが部品提供、ユーザーがロジック構築)
データ & コンテンツ ユーザー ユーザー
ユーザーID & アクセス管理 ユーザー ユーザー(権限設定と管理)
クライアント端末 ユーザー ユーザー

※PaaS(Platform as a Service):ベンダーがOS・ランタイム・ミドルウェアまで提供/管理し、ユーザーはアプリ構築(設定/ロジック)と権限設計・データ保護を担う。

ローコード開発で意識したい3つのセキュリティ要素

情報を守る基本は「機密性・完全性・可用性」の3要素です。ローコードでも、この視点で対策を整理すると行動に移しやすくなります。

  • 機密性を高める
  • 完全性を確保する
  • 可用性を守る

機密性を高める

許可された人だけが見られる状態を保ちます

例えば、「RBAC(役割ベースのアクセス制御)」は、社員それぞれの役割ごとにデータや機能へのアクセス範囲を細かく分ける仕組みです。また、「SSO(シングルサインオン)」を使えば、一度のログインで複数のシステムへ簡単にアクセスでき、パスワード入力の手間や管理ミスを減らせます。さらに、「MFA(多要素認証)」を組み合わせることで、パスワードだけでなくスマートフォンでの認証コード入力や指紋認証なども加わり、より強力に不正アクセスを防止できます

共有設定は初期状態で厳しくし、アクセスできる範囲を必要最低限にとどめましょう。データは通信中や保存時も必ず暗号化し、特に大切な情報については、そもそも持ち込む範囲自体を最初から見直すことが効果的です。

完全性を確保する

変更履歴やアクセスログを残し、誰がいつ何をしたかを追える状態を作ります。ログはSIEMなどに連携して自動で分析し、異常を早めに気づけるようにします。あわせて定期バックアップと復旧テストを計画的に回し、改ざんや破損があっても戻せる体制を保ちます

可用性を守る

必要なときに使える状態を維持します。バックアップはもちろん、故障時に引き継げるよう冗長化も考えます。クラウドを使うなら、ベンダーの事業継続計画(BCP)や災害復旧(DR)の内容、復旧にかかる目安時間が自社の求める基準に合っているかも必ず確認することが必要です。

より詳しくBCP観点のクラウド活用は「クラウドシステムとは? 種類とメリット・デメリット」をご確認ください。

ローコード開発基盤のリスクと対策

起こり得るリスクを洗い出し、実行しやすい対策から手を打つのが得策です。

権限管理とアクセス制御の徹底

最小権限を基準に、役割ごとに権限を分けます。

たとえば、閲覧だけで足りる担当者に編集権限を与えないなど、具体的に線引きします。付与した権限は定期レビューで棚卸しし、異動や退職に合わせて速やかに見直します。IDのライフサイクルは人事システムやディレクトリサービスと連携して自動化し、不要なアカウントを残さないようにします

ログ管理とモニタリングの強化

誰が、いつ、どんな操作をしたかといった情報は必ず記録し、あとから確認できるようにしておきます。人の手だけで完璧にチェックするのは非現実的です。自動監視ツール(SIEMやUEBAなど)を活用し、「普段とは違う時間帯の大量操作」や「海外など通常では考えられない場所からのアクセス」もすぐ検知できる体制を作りましょう。

プラットフォーム選定時の注意点

パスワード定期変更や強度の設定などが自社のルールに適合しているか、データの保管場所(国内か海外か)、認証取得状況(例:ISO 27001やSOC 2)もしましょう。万が一、導入したサービスが終了になってしまうことも考慮して、データの受け渡しがスムーズにできるかも含めて検討しておきます。

より詳しくプラットフォーム選びの比較視点は「ノーコード・ローコード開発ツール17選」をご確認ください。

 

おすすめSaaS導入前に考慮しておくべき3つの基本ポイント SaaS導入前に考慮しておくべき3つのポイント

現場主導の開発でも安心できる体制づくり

自由に作れる環境は価値です。ただし、アプリが乱立しないように、ガバナンスとサポートをあわせて整えることが大切です。

ガバナンス強化とルール策定

公式の「ローコード開発ガイドライン」を用意しましょう。

作ってよいアプリの範囲、利用できるデータソース、命名やテストの基準、公開までのステップを明文化し、現場と管理部門で共有します。リスクの大きさに応じてレビューの重さを変える階層型のモデルを取り入れると、スピードと統制のバランスが取りやすくなります。機密データを扱う全社アプリは専門チームで丁寧にレビューし、個人向けの単純ツールは自動チェックで進める、といった運用です。

教育・サポートの仕組みを用意

座学だけでなく、実際のプラットフォーム上でハンズオンを行い、権限設定や認証情報の扱いなど、よくあるミスをその場で正せる内容にします。

社内ヘルプデスク、CoEの相談会、開発コミュニティ、ベンダーの公式サポートを組み合わせ、現場が困ったときにすぐ頼れる導線を複数用意します。

安全なローコード開発を実現するために、今できること

ローコードのセキュリティ対策は、イノベーションを止めるためではなく、リスクを軽減してイノベーションを推進するためのものです。

まずは権限設計と共有設定の見直し、バックアップとログ連携の確認といった「すぐできること」から始めてみませんか。段階的に体制を整え、必要に応じて外部パートナーの意見も取り入れながら、貴社に合ったやり方でDXを前に進めていきましょう。

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