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DellとHPが「家電市場」に色気を見せる理由(1/2 ページ)

» 2004年01月21日 15時02分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 International CESで家電に色気たっぷりなところを見せたHewlett-PackardとDell。成長産業から成熟産業への転換期を迎えていているIT企業にとって、今後数年間で急速に普及すると言われているデジタルテレビとその周辺は、非常に魅力的な市場に見えるようだ。

 前回のコラムで紹介したように、IntelはPCの業界構造を家電業界にも持ち込もうとしている。HPとDellがそろって本格的にテレビ業界に打って出るという可能性は否定できない。DellはすでにPCともつながる液晶テレビ3機種を昨年11月に発売。その売り上げは好調だという。

 もっとも、競争が激しいテレビ業界に、どこまで本気で力を注ぐ気なのか、疑問を呈する人も少なくない。彼らはなぜTV業界に色気を見せ、何をしたいのか?

+RWで味をしめたHPとDell

 家電がデジタル化し、コンピュータが家電化するなか、両者はこれまでにないほど近い関係にある。それゆえ、利害関係も複雑だ。そうした中で、HPとDellが家電業界に強く働きかけるきっかけになったのは、両社がDVD+RWアライアンスで“濡れ手に粟”的な状況を得たからだと言われている。

 HPとDellはDVD+RWの熱心なサポーターとして知られ、ワールドワイドでの記録型DVDにおけるシェア向上に大きな役割を果たした。しかし、彼らはDVD+RWアライアンスの中で、実際にどのような役割を果たしたのだろうか?

 実はこの両社は、光ドライブやその上で映像を扱うことに関して、基本特許を何ら持っていない。純粋に技術的な面から言えば、HPもDellも光ドライブのアライアンスに必要な存在ではない。

 しかしながら、DVD+RW/+Rアライアンスに参加し、熱心に普及活動を行ってきた結果、両社は技術を持つ他の参加企業と同じようにDVD+RWドライブの売り上げに対してロイヤリティを手にすることができた。

 PC向け記録型DVDドライブは、家電向け記録型DVDドライブの4倍以上が出荷されているという。ドライブ単価を引き下げと普及に、米国PC市場で大きなシェアを持つHPとDellの参加は大きな役割を果たす。そうした、普及に対する大きな貢献に対して“お金”という形で利益を受けているわけだ。両社が同様の利益を、次世代光ディスクでも享受しようと考えても不思議ではない。

 実はこの両社、1年ほど前には当時AODと言われていたHD DVDの開発を行っていた東芝などにも同様の話を持ちかけたが断られていた。DVD+RWを推進している企業の多くが参画するBlu-ray Disc Foundersではなく、HD DVD側と最初に交渉を持った理由は明らかではない。しかし既存のCDやDVDとの互換性、ノートPC向けなど薄型ドライブ開発の容易さ、コストなどを考え、PCを軸にした普及論をHD DVDの方が展開しやすかったからであろう。

 だがまだPC分野における市場性も見えていない段階で、次世代光ディスク普及の鍵として自ら名乗りを挙げ、何ら知的財産を持たないまま組織に与するというストーリーには、さすがに無理がある。HD DVD側に示したという、HPとDellの“取り分”が相当に常識を外れていたこともあり「全くの論外だった」と、複数のHD DVD側関係者が証言している。

 これらの事実からすると、HPとDellがBlu-ray陣営へと参加した背景が見えてくる。

HPとDellがBlu-ray Disc Foundersへ参加?

 HPとDellはBlu-ray対応ドライブを将来の自社製品に搭載するとともに「HD DVDの採用はあり得ない」とまで言い切った。普及は2007年以降と言われている次世代光ディスクに対し、この時期にここまでのコミットするのは異例なことだ。

 ソニー関係者によると、現在Blu-ray Disc FoundersではHPとDellの加入を検討しており、「まだ確実ではない」とはいうものの、現在の情勢が大きく変化しなければ2月にも正式に加入が発表される見込みだという。

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