アイ・オー・データ機器は、デジタルハイビジョン放送のストリーム記録が可能なHDDレコーダー「Rec-POT M」を4月中旬に発売する。今回は、コピーワンス番組の“ムーブ”をサポートし、録画ファイルをD-VHSなどに書き出せるようになった。価格はオープンプライス。店頭では5万円台前半(税込み5万5000円前後)で販売される見込みだ。
同社の「Rec-POT」シリーズは、ハイビジョン番組を高画質のまま保存できるストリーム記録に対応する数少ないHDDレコーダーの1つだ。同じくストリーム記録に対応しているデバイスとしてD-VHSも挙げられるが、録りためておく便利さ、ランダムアクセスといった“ディスク方式ならでは”の機能が支持されている。
新モデルの「Rec-POT M」は、2002年11月に発売した「Rec-POT S」の後継機という位置づけ。きょう体デザインの一新にくわえ、機能面も強化された。
たとえば、新たに早送り・巻き戻し速度に「100倍速」が追加され、従来からの3/6/12/24倍速を合わせ計5段階となった。またプログラム再生やムーブの作業を行うための「プログラム」画面を備えた。「従来機もプログラム再生機能は持っていたが、再生の順番を表示することはできなかった」(同社)。
内蔵HDDは160Gバイトのみ。前回は240Gバイトモデルが用意されていたことを考えると不満が残りそうだが、従来通り、i-Link経由で複数のRec-POT Mをデイジーチェーン接続することは可能だ。1台あたりの録画時間は、地上デジタル放送のHDTVで約17時間、BSデジタル放送なら約14時間、SD画質の場合は約42時間となる。
今回の目玉である「ムーブ」機能は、HDDに録画したハイビジョン番組をi-Link経由で移動するというもの(“M”は「ムーブ」の意味)。既報の通り、BS/地上デジタル放送は、4月から全てコピーワンス番組になり、私的録画であっても番組のデジタルコピー(録画ファイル)は1つしか作れなくなる。このため、HDD録画した番組を外部メディアに保存するには、ムーブ(移動)して元ファイルを消す仕組みを設けなくてはならない。
Rec-POT Mの場合、移動先はD-VHSもしくは他のRec-POTに限られるものの、ハイビジョン画質のまま移動可能だ。これにより、再生時にはHDDを使い、ライブラリ化したいときにはD-VHSへムーブなど、用途に応じてメディアを使い分けることができるようになった。
「高精細の画質が特徴のデジタルハイビジョン放送だが、保存に従来のビデオデッキやDVDレコーダーでは、せっかくの高画質が損なわれてしまう。しかしRec-POT Mなら、EPG連携の予約録画などHDDレコーダーの使い勝手を実現しながら、D-VHSへ残すこともできる」(同社マルチメディア事業部AVネットワーク課の増田憲泰プロダクトマネージャー)。
接続するデジタルチューナーは、家電各社の製品をほぼカバーしている。ただし、メーカーによって、i-Link端子がサポートするプロトコル(コマンド)に差があるため、Rec-POT Mには「VCR」「Disc」という2つのモードが用意された。
「VCR」モードは、チューナーがRec-POTをD-VHSデッキとして認識するモードだ。ほとんどのデジタルチューナーに対応できる汎用性の高さが魅力だが、もともとビデオデッキ用のコマンドのため、それ以上の機能は利用できない。
一方の「Disc」モードは、チューナーがRec-POTを“専用HDD”として認識し、すべての制御をチューナー側で行うモードだ。したがって、チューナー側の“作り込み”次第で、さまざまな機能を追加できるという。たとえば、ソニーの新しい「WEGA」シリーズなら、録画番組の一覧画面などもチューナー側のUI(ユーザーインタフェース)を使って表示可能。さらに東芝の液晶テレビ「L400V」シリーズとの組み合わせなら、“同時録再”“追いかけ再生”といったHDD録画本来のメリットも享受できる。
いまのところ、Discモードに対応しているのは、東芝やソニーの一部機種のみだが、今後は対応チューナーが増えてくることが予想される。対応製品の詳しい情報は、3月17日から同社サイトに掲載される予定だ。
そのほかの主な仕様は下記の通り。
製品名 | Rec-POT M |
---|---|
HDD容量 | 160Gバイト |
インタフェース | i-Link×2 |
サイズ | 280(幅)×200(奥行き)×35(高さ)mm |
重量 | 約1.9kg |
著作権対応機能 | DTCP著作権保護、内部暗号記録 |
対応機種 | BS/CS110度/地上波デジタル対応の各社製チューナーおよびチューナー内蔵テレビ |
価格 | オープン(実売5万5000円前後) |
発売日 | 4月中旬 |
発表会で挨拶に立ったアイ・オー・データ機器の細野昭雄社長は、コピーワンス番組への対応が遅れ気味のレコーダー製品を挙げ、「大手メーカーの製品だけではデジタル放送への対応が十分ではない」と指摘。その上で、同社がこれまで展開してきたPC関連ビジネスのように、家電分野の周辺機器分野にコミットしていく姿勢を明らかにした。
「家電の増設、拡張性を周辺機器メーカーならではの視点で展開していきたい。デジタル家電にも、痒いところに手が届く製品が必要だ」(細野氏)。
家電各社と同様に“オリンピック特需”に狙いを定めたアイ・オー。7-10月の需要拡大期を前に、積極的なプロモーション活動を展開する予定だ。なお、その後の年末商戦に備え、11月頃を目途にHDD容量や機能をアップしたRec-POTの次期モデルを投入する計画も明らかにしている。
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