Microsoftは3月31日、次期「Windows CE 5.0」のVoIP対応新機能を披露した。このほか、同OSを採用するメーカーおよびインテグレータ数社との提携も発表している。
Windows CE 5.0は、Microsoftの組み込み機器、車載コンピュータ、携帯端末に向けプラットフォームの基盤をなすOS。Microsoftエンベデッドデバイスグループのプロダクトマネジャー、ジョン・スタークウェザー氏によると、多くのベンダーがワイヤレス対応のPDAなどの機器にVoIP対応アプリケーションを盛り込もうと考えている。Microsoftはカリフォルニア州サンタクララで開催のVoice on the Net(VON)カンファレンスでVoIP対応の新機能を紹介した。
MicrosoftはCE 5.0に、複数人が参加できる電話会議機能、統合型メッセージング、連絡先検索・予定表機能を備えたExchange Serverとの統合を盛り込む。これらの機能は、CE 4.2に組み込まれた簡素な一連のテレフォニー機能を補完するものになる。
しかし大半の顧客は、自社ソフト開発のためのプラットフォームとしてCEを採用しているのであって、こうした機能は主な採用理由としては挙がっていないとスタークウェザー氏。CE 5.0で改善されたほとんどの個所は、ベンダーの開発作業期間を短縮させ、製品の市場投入を早められるようにするためのものだという。MicrosoftはWindows Serverなどの既存インフラとの統合も売り込んでいる。
MicrosoftはVoIPを、さまざまな機器で使えて、サービス会社から顧客に提供される多数のアプリケーションの中の1つと位置付けている。サービス会社やソフト・ハードメーカーは、音声サービスで収益を上げるという目的から、ビデオ会議機能、CRMソフトとの統合といった機能を音声サービスに付加していく考えだとスタークウェザー氏は解説している。
Microsoftが31日に発表した製造パートナーは、韓国の家電メーカーLG Electronics、日本のNECインフロンティア、中国のZTEなど。また同社はこの日、Datacraft Asia、Net2Com、BSquareなどのシステムインテグレータ(SI)とパートナー契約を締結したことも明かした。これらSIは、企業やサービス会社向けに、Windows CE 5.0を使ったシステム導入に当たる。
さらに、Microsoftは提携先のサービス会社としてVonage Holdingsを紹介。Vonage HoldingsはVoIP通話機能を提供するため、CE 5.0ベースの「ソフトフォン」をWi-Fi対応PDAなどの機器にインストールして顧客に提供する考えだとスタークウェザー氏は話している。
現在CE 4.2搭載のオフィス向けIP電話を販売しているInter-telの技術責任者ジェス・ニールセン氏は、CE 5.0は電話プラットフォームとしての完成度を増しているという同社の見方を示した。次世代電話の開発に取り組むニールセン氏は、VONで現行モデルをデモしている。Inter-telはCE 5.0を導入することで、シングルプロセッサでCEと完全な電話機能を実行できるようになるかもしれないと同氏。Inter-telのCE 4.2採用電話「Model 8690」は、CEの機能に割り当てるプロセッサに加え、高度な電話機能を実現するためのプロセッサを用意している。複数ユーザー対応の電話会議機能をはじめとする機能に対応していくことで、Windows CEの機能はさらに包括的なものになるはずだ。
Inter-telは、次世代モデルの電話機を2005年1〜3月期に市場投入する考えだとニールセン氏は話している。電話からの音声操作用に音声認識機能を加え、機能に応じたさまざまな価格帯で製品を送り出すことになるかもしれない。Model 8690の価格は1495ドルとなっている。
IPテレビ電話機能のデモを行っている韓国のAtrium C&Iは、複数ユーザー対応ビデオ会議機能を、CE 5.0採用の次世代モデルで実現しようと検討している。現行のCE 4.2搭載WebQ Plusモデルは、1対1のビデオ会議機能のみサポートしているとAtriumの副社長、ジョン・キム氏。CE 5.0版の電話機はおそらく年内に登場するだろうと同氏は話している。
スタークウェザー氏によると、CE 5.0の正式版は今年の6〜8月に登場する見通し。Microsoftは、CE 4.2からの価格変更があるかは明らかにしていない。
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