日本ビクターは4月20日、独自の高画質技術をシステムLSI化したTV向け映像処理LSI「GENESSA(ジェネッサ)」を開発したと発表。同日都内で、新技術の説明会が行われた。
同社が“映像知能”と呼ぶ新開発のLSIは、従来難しかった動画部での階調制御最適化処理を大幅に強化するため、映像処理専用の32ビットプロセッサをLSI内に1チップ化。これにより、シーン別映像情報解析数が従来の数パターンから約200万パターンへと拡大し、その膨大な演算を同社独自アルゴリズムのソフトウェアでリアルタイム処理できるようになった。「高画質化エンジンに映像処理専用32ビットCPUを搭載したのは世界初」(同社)
この新LSIによって階調をリアルタイムに自動最適補正(「インテリジェントγ(ガンマ)」機能)できるようになったほか、表示デバイスの特性に合わせて階調/色調情報を処理可能になった(「カラークリエーション」機能)。
「GENESSAの狙いは、ディスプレイの限られたダイナミックレンジ(輝度・色)を有効活用すること。CPUによるインテリジェントな画つくり処理を開発することで、狭いダイナミックレンジでも最大限の階調復元が可能。従来のTVでは見えなかったモノ・部分が見えるようになる。当社が以前からTVで目指していた“原色探究”(より実物に近い明るさや色の映像)を再現できるようになった」(同社)
同社は2001年9月に、通常のNTSC信号(525i)からBSデジタルハイビジョン放送(1125i)までの映像ソースをアップコンバートして従来の3倍(1500i)に高精細化して表示できる新技術「DET」(Digital Emotional Technology)を開発。翌月10月にDETを搭載した高精細TV“1500i”シリーズ「AV-36Z1500」「AV-32Z1500」を発表した(関連記事参照)
「DETで映像を正確かつ美しく再現できるようになったが、GENESSAは表示デバイスの能力を生かした“感動の画作り”を実現する」(同社)
今回の新技術GENESSAは、プラズマ/液晶/D-ILAなど特性の異なる表示デバイスにおいても対応可能。今後は同技術を大画面ディスプレイ向け基幹技術として幅広い製品群に搭載していく構えだ。
「大きな成長が期待されるディスプレイ市場だが、当社は2001年から統合映像処理システム“DET”を各社に先駆け世界展開してきた。今回の新技術は、DETの新ステージを開くもの。従来、画質改善のICに頭脳(CPU)が入ったものはなかった。GENESSA搭載製品は来月に発表予定。今後展開するフラットパネルディスプレイは、すべてGENESSA搭載となる」(同社AV&マルチメディアカンパニー商品企画部兼技術統括部長の並木康臣氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR