国内ポータルサイトとして初めての音楽配信参入をエキサイトが発表した(関連記事参照)。大手レーベルの楽曲を1曲150−270円で販売し、エキサイトはマージンを得る仕組み(マージン率は非公開)。数年内に月間10万曲のダウンロードを目指している。なぜ今、エキサイトが音楽配信なのか。山村幸広社長に聞いた。
――なぜ音楽配信に参入したのですか。
エキサイトの収益を安定させるために、広告モデル以外の収入源として、コンテンツビジネスに力を入れてきました。中でも音楽配信とオンラインゲームは事業の柱になると判断し、参入を決めました。エキサイトのターゲットである20歳から34歳までの層にとって、音楽とゲームは生活に必須だからです。
――このタイミングで参入した理由は?
音楽配信は2年前から計画していましたが、著作権管理システム、レーベルとの交渉、課金インフラの整備などさまざまなハードルがあり、サービスインまでに時間がかかってしまいました。
ブロードバンドが整備され、コンテンツへの課金が受け入れられ始めた今年は、国内の音楽配信元年になるでしょう。5−10社が新規参入し、競争が激化すると予測しています。
――他の音楽配信サービスと比較して、エキサイトの強みは?
音楽サイト「エキサイトミュージック」で音楽ファンを数多くつかんでいることです。同サイトはYahoo!ミュージックに次ぐ規模で、コンテンツへの信頼は厚く、ユーザーの多くに音楽を購入してもらえると見ています。
WMA形式を採用したため、Windows PCさえあれば誰でも利用できることや、30万人に利用されているエキサイトの課金システムをそのまま利用できることもメリット。数年内にはエキサイトの週間ユニークユーザー600万人のうち1-2割が音楽配信を利用すると見込んでいます。
――レーベル側は音楽配信をどう捉えていると感じていますか?
アメリカでは音楽配信市場が拡大しており、国内でもレーベルゲートが新しい販路を開拓したとの手ごたえから、各社とも配信には積極的です。カメラがデジタル化することで、シャッターを押す回数が10倍に増えたように、音楽がデジタル化すれば新しい音楽鑑賞の形が生まれ、購入層も広がるでしょう。
ただ、市場は急速には拡大しません。インフラへの信頼が広がって初めて爆発的に普及すると見られ、それまでに5年かかると見ています。
――著作権についてはどうお考えですか。
コンテンツホルダーの権利を守らない限り、音楽配信は成り立ちません。「WMT(Windows Media Technology)」のDRMを採用し、音楽の転送は3回まで、CD-Rなどへのコピーは不可能にすることで、著作権を強固に保護しています。
現時点でWMTに対応した携帯音楽プレーヤーはクリエイティブメディアとリオ・ジャパンの2社から出ており、著作権保護機能の検証が終わったクリエイティブの製品を推奨していますが、推奨プレーヤーは順次増やす予定です。
――スカイパーフェクト・コミュニケーションズやスペースシャワーネットワークとの提携も発表されました(関連記事参照)。音楽、ゲームに加え、動画コンテンツの販売にも本腰を入れるのですか?
今期はあくまでもゲームと音楽を柱にするつもりで、今期の売り上げの15%、10億円程度はこの2つから稼ぎ出したいと思っています。動画コンテンツをどうするかは今後の課題です。
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