DivXプレーヤーにカノープスの「MuitiR DVD」が登場した。ネットワーク再生には対応せず、DVD/CDメディアだけのスタンドアロンタイプだが、MPEG4でもスムーズな可変速再生や豊富な添付ソフトなど、なかなか魅力的な製品に仕上がっている。今回は、製品版でその使い勝手を試してみたい。
昨年あたりから数多くの製品が登場しているのが、DivXなどのMPEG-4ベースでエンコードされたファイルを再生できる、いわゆる“DivXプレーヤー”だ。DVDメディアを再生できる製品、LAN経由でパソコンの中にあるファイルを再生する製品、そして両方を可能とした製品が、多くのベンダーから登場しており、PCペリフェラルの1ジャンルとして定着しつつある。
これらの製品で、1つの課題となっていたのが可変速再生だ。MPEG-1/2/4といったフォーマットは動画を構成する全てのフレームを静止画として保存してはいないため、もともと可変速再生は苦手。MPEG-4再生時などは、ほとんど紙芝居のような動きが標準的になっていた。これは多くの製品がデコードチップに米Sigma Designsの「EM85xx」を採用していた関係もあるだろう。
MultiR DVDは、デコードチップに台湾MediaTekの「MT1389」を採用することでスムーズな可変速再生を実現した。では、その可変速再生はどの程度のものだろうか。
MultiR DVDでは、“早見”“早戻し”ともに2/4/8/16/32倍速が可能で、ボタンを押してから可変速再生が始まるまでの待ち時間はほぼ皆無。画面の動きも、4倍速までは極めて滑らかだ。8倍速ではさすがに映像の不連続性が目立ち始め、16倍速以上では不連続な映像となる。
もっとも、この点は民生機のDVD/HDDレコーダーなどでも同様だ。16倍速以上ともなれば、映像の不連続性が目立つのは当たり前。可変速再生がどこまで重要なのかは個人差もあるだろが、普段使っている民生機と比べても、あまり違和感を感じないのは事実だ。また、可変速再生を始めるとき、待ち時間が発生するようなこともない。可変速再生に限れば、DVDプレーヤーやHDDレコーダーとほとんど変わらぬ操作性を実現しているといえる。
MultiR DVDのもう一つの特徴が、ドルビーデコーダを内蔵していることだ。アナログの6ch出力を備え、マルチスピーカーシステムと組み合わせて5.1ch再生が可能になっている。最近はドルビーデコーダー内蔵アンプなどの価格も安くなっているが、低コストにマルチチャンネル再生環境を構築できる。
リモコンは、当然ながら日本語表記。一部の機能についてはマニュアルにしっかり目を通さないと操作がわからないこともあるが、操作性は悪くない。
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