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「今が大画面の好機」――三菱、新・液晶TV“REAL”発表

» 2004年05月26日 19時44分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 デジタル放送の本格的な幕開けやアテネオリンピックなど大型テレビ需要期を前に、老舗テレビメーカーが本腰を入れてきた。

 三菱電機は5月26日、液晶テレビ新シリーズ“REAL(リアル)”5機種を6月21日から順次発売すると発表した。新製品では、液晶テレビとしては大画面となる37V型から普及タイプの20V型まで幅広くラインアップ。20V型を除いた上位4機種がBS/110度CS/地上デジタルチューナーを搭載したハイビジョン対応機となっている。価格はオープン。

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 ラインアップや実売予想価格などは以下の通り。

画面サイズ チューナー対応 型番 実売予想価格 発売時期
37V型 BS/110度CS/地上デジタル・ハイビジョン対応 LCD-H37MRH4 65万円前後 9月1日
32V型 BS/110度CS/地上デジタル・ハイビジョン対応 LCD-H32MX4 45万円前後 9月21日
27V型 BS/110度CS/地上デジタル・ハイビジョン対応 LCD-H27MX4 35万円前後 6月21日
23V型 BS/110度CS/地上デジタル・ハイビジョン対応 LCD-H23MX4 30万円前後 11月1日
20V型 地上アナログ LCD-20V4 13万円前後 6月21日

 最上位機種の37V型には1080p表示が可能なリアルフルHDパネル(1920×1080ピクセル)を採用した。画素間引きをせずに高精細なハイビジョン信号をストレートに表示できる。「フルHD対応は37V型液晶テレビでは世界初」(同社)。輝度は550カンデラ/平方メートルでコントラストは600対1と高輝度・高コントラスト。

photo 世界初フルHDパネルを採用した37V型のLCD-H37MRH4

 また32V/27V/23V型には、画面アスペクト比が16対9のWXGAリアルワイドパネルを搭載した。「従来のワイド画面ではアスペクト比が15対9のものが多く、左右両端の映像が欠落したり、映像が縦長になっていたりした。デジタルハイビジョン放送信号の正規アスペクト比に対応した新製品は、ハイビジョンをありのままに表現できる」(同社)

 20V型を除いた上位4機種には、あらゆる入力ソースに対応した同社独自の高画質回路「Diamond EngineII」を搭載。1080pまで対応した高性能I/P変換回路、R/G/B/Y/M/Cを独立コントロールできる「3次元カラーマネージメント」、輪郭補正技術「ダイナミックイメージプロセッサー」、階調再現性を高めた「ダイナミックレベルエキスパンダー」、デジタルゴーストリダクション回路といった高画質化技術によって、デジタルハイビジョン放送だけでなく、DVDソフトやアナログ地上波などあらゆる映像ソースを高画質で楽しめるという。

 また、新聞のテレビ欄と同じ画面レイアウトにしたEPG(テレビ番組ガイド)も搭載。AV周辺機器の入力端子ごとに映像設定が行える「入力ダイレクトAVメモリー」や、DVI×1/iLINK×2/D4×2など多彩な映像入力端子を装備したほか、2つの異なる映像ソースを1画面で同時に視聴できる2画面機能も備えた(すべて20V型は除く)

photo テレビ欄と同じ画面レイアウトにしたEPG
photo 異なる映像ソースを同時に視聴できる2画面機能。D4×2画面もOK

今、大画面テレビ事業に本格参入する理由

 発表会では参考出展として、50V/42V型プラズマテレビやDLPタイプ62V型/LCOSタイプ82V型のプロジェクションテレビ(PTV)など大画面テレビが紹介されていた。82V型PTV以外の3機種は2004年度中に国内発売する予定だという。

photo プラズマテレビ(左が42V型で右が50V型)
photo DLPタイプ62V型(左)とLCOSタイプ82V型(右)のプロジェクションテレビ

 同社は1987年に37型(国内)を、1993年には42型(米国)という大画面ブラウン管テレビを業界で初めて市場投入。1997年には40型のプラズマテレビを米国で発売したほか、2000年にはDLP方式を採用した65型PTV、2003年にはLCOS採用の82型PTVを発売するなど、これまで大画面テレビや新デバイス投入に積極的だった。「特に米国での当社大画面テレビへの評価は高く、40インチ以上ではシェア20%を確保している」(同社)

 だが国内では市場ニーズがブラウン管からフラットパネルテレビへ移行するにともない、テレビラインアップも縮小。特にBS/110度CS/地上デジタルチューナーを内蔵した製品は32型ブラウン管の32T-GD303のみという状況だった。

 同社執行役員副社長の大草文夫氏は「これまで新デバイスを採用した業界初/世界初の大画面テレビを展開してノウハウを蓄積してきた。当社の先端技術総合研究所には、映像圧縮/映像処理/映像表示/ネットワーク/光学系/半導体の分野で独自技術を数多く持っている。今、デジタル放送の本格化やDVDの普及が進み、表示デバイスも多彩になってブラウン管では不可能だった大画面化が可能になった」と大画面テレビ事業への参入について語る。

photo 同社執行役員副社長の大草文夫氏

 ただし同社は表示デバイスの製造拠点を持たないため、液晶/PDPパネルやDLP/LCOSなどPTV向けデバイスは他社からの供給に頼る形になる。

 「(高画質化回路など)技術さえあればデバイスメーカーともWin-Winの関係になれる。大画面・高画質テレビの土壌が整った今こそ事業参入の絶好のチャンス。国内ではCRT/液晶/プラズマ/DLPリアプロというマルチデバイスでラインアップし、競争力ある製品を展開していく」(大草氏)

photo 同社の2004年度テレビ製品ラインアップ
photo 発表会では同社スピーカーブランド「DIATONE」の技術を使ったテレビ向け超薄型スピーカーも参考出展された。全面駆動型でスピーカー部の厚さは7ミリ、スタンドベースがサブウーハーを兼ねており、薄型ながらも重低音が再生できるという。スピーカーの支柱はアルミ無垢材を使用。発売日・価格ともに未定
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