DVDフォーラムは米シアトルで開いている会合で、HD-DVD-ROMフォーマット初の商用版となるバージョン1.0の承認を目指している。
HD-DVD-ROMの開発にかかわった関係者数人の話では、同フォーラムはこの規格を承認する見通しだ。そうなれば、事実上の“ポストDVD”をめぐるHD-DVD対Blu-ray、およびそれを支持する企業間の対立が鮮明になる。
NECマルチメディア研究所の稲田博司研究部長によれば、9日から始まったDVDフォーラム運営委員会の会合では、HD-DVD-ROMのバージョン1.0が議題に上っており、この場で同規格が承認される見通しだ。バージョン0.9は昨年11月に承認済み。
NECは6月10日、HD-DVDドライブ商品化に向けた最新の取り組みを披露、稲田氏はこの場でHD-DVD-ROMが承認される見通しだと明らかにした。
予想通りに規格が承認されれば、NECからは約1年以内に初の商用ドライブが登場するはずだと稲田氏。NECはPCメーカーや家電メーカー向けにこのドライブを売り込む計画だという。
これに対してソニーは昨年、初の商用Blu-rayレコーダーを発売した。しかし30万円という価格がついたこの製品は、まだ大衆市場向けとは到底言いがたい。今年はさらに数社がBlu-ray製品投入に踏み切る計画で、そうなればもっと値段も下がると見られる。
もっとも稲田氏は、商品化でBlu-ray陣営に先を越されたことはそれほど気に留めていない様子だ。
両規格の行方を左右するのはコンシューマーではなくハリウッドの映画会社になるだろうと稲田氏は言い、対ハリウッドではHD-DVDが有利かもしれないと話す。
HD-DVDディスクは記録層が0.6ミリのプラスティック層にはさまれているという点で、現行のDVDに似ているというのがその理由。これにより、既存の製造ラインをHD-DVDディスクの製造ラインに転換するのが容易になる。この点は、先日台北で開かれたCOMPUTEXで台湾のディスクメーカーも確認している。
一方、Blu-rayディスクでは新しい製造ラインが必要になるが、毎年何億枚ものDVDディスクを製造しているハリウッドの映画会社は、製造コストのわずかな上昇にも非常に敏感だと稲田氏は指摘している。
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