総務省は7月6日、平成16年度の情報通信白書を公開した。これによると、携帯電話を含むインターネット利用者数は平成15年末時点で7730万人となり、普及率は初めて60%を突破したという。着実に浸透しているインターネットは、生活にどのような変化を与えているのか。情報通信白書から、主なトピックを抜き出してみた。
7730万人のインターネット利用者のうち、ADSLなどのブロードバンド回線を契約している人は、前年度比33.4%増となる2607万人となった。内訳は、ADSL利用者が1120万、CATVインターネットが258万、FTTHが114万契約だ。「既にインターネット利用者の3人に1人以上がブロードバンドを利用している」(情報通信白書・7月27日修正データ反映)。
一方、ISDNや電話回線によるダイヤルアップは減少のスピードを速めた。インターネット利用者に占めるダイヤルアップ利用者の割合は、昨年が56.1%だったのに対し、今年は38.4%。実に17.7ポイントも下げている。
ただし、ブロードバンドインフラの整備状況から見れば、まだまだ利用比率は低い。各サービスが利用できる“加入可能世帯数”に対する実加入者の割合は、DSLでも約30%、CATVが約11%。FTTHに至っては約6%と低い水準にとどまっている。
「日本のブロードバンドインフラは整備されているものの、利用可能な資源を有効に活用し切れているとは言い難い。利用者にとって魅力のある新しいアプリケーションの提供が期待される」。
なお、有力アプリケーションの1つと目されているIP電話(個人向け)は、平成15年末で7.3%の世帯が導入済みだという。
個人のインターネット利用の状況を端末別にみると、平成15年末において、パソコンを使っている人は6164万人、携帯電話やPHS、PDAを含む携帯端末を使っている人が4484万人となった(通信利用動向調査の結果)。両方を使っている人は2834万人で、全体の36.7%。複数の端末を使い分けるユーザーが増えてきたことが伺える。
このほか、ネットワーク対応テレビなどを使ってインターネットを楽しんでいる人も339万人に上った(他端末との重複利用を含む)。
インターネットの利用率を年代別にみると、60歳以上のインターネット利用が急速に拡大していることがわかる。昨年度末の利用率は21.6%と、対前年比1.33倍(総務省の通信利用動向調査)。
インターネットを使い始めた動機については、「仕事のため」「情報収集」が1位と2位。ここまでは若い世代と同じだが、「時代に乗り遅れたくなかった」ことを挙げた人も4割を超えていたという。
インターネットの用途は「メール」が主で、そのほか「ニュースなどの情報収集」、「ホームページ上の懸賞・プレゼント」、「旅行や天気関連の情報入手」など。「生活のさまざまな場面で積極的にインターネットを取り入れており、今後も生活の中に徐々に浸透していくものと考えられる」(情報通信白書)。
インターネットは、日々の生活や行動・活動にも変化を与えている。携帯電話を含むインターネット利用者全体を対象に“生活面の変化”について尋ねたところ、全体として「家族や友人と連絡を取る頻度」が増加したと答えた人が多かった。また、ブロードバンドの利用者では「睡眠時間」や「テレビを見る時間」「余暇の時間」が減少している。
「インターネットの利用は生活時間に影響を与える一方で、家族・友人など親しい人とのコミュニケーションの活発化をもたらしていると考えられる」。
同白書は、Webサイトで公開しているほか、CD-ROM付きの書籍版も7月7日から2600円(税込み)で販売する。
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